ここから本文です。
社会生活基本調査結果からわかること
社会生活基本調査の結果からわかることについて,平成18年調査の結果をもとに解説します。
どのようなことがわかるのですか?
- どのような行動にどのくらいの時間を費やしているのか
- 一人暮らしの高齢者が一人で過ごす時間
- 高齢者はどのような行動にどれくらいの時間を費やしているのか
- 介護をしている人としていない人の仕事や家事に費やす時間の違い
- 通勤時間の違いによる睡眠時間の違い
- この1年間にどのくらいの人が自由時間に学習活動をしたか
- この1年間にどのくらいの人がボランティア活動をしたか
- 若年層で盛んなスポーツ,趣味・娯楽と高齢層で盛んなスポーツ,趣味・娯楽
- この1年間にどのくらいの人が旅行・行楽をしたか
- 子供の年齢の違いによる夫と妻の仕事や育児に費やす時間の違い
- 共働き世帯における妻の家事の負担割合の推移
- 両親が子供と一緒に過ごす時間
- 家事関連時間の世界の国々との比較
調査結果はどのように利用されていますか?
どのような行動にどのくらいの時間を費やしているのか
男女,年齢階級別に1日の生活時間をみると,仕事関連時間,家事関連時間及び学業の合計は,男女共に40〜44歳が最も長くなっています。また,いずれの年齢階級でも男性は仕事関連時間が,女性は家事関連時間が大きなウエイトを占めています。
一人暮らしの高齢者が一人で過ごす時間
60歳以上の一人暮らしの人について,1日のうち「一緒にいた人」別の時間をみると,子供がいない人よりも子供がいる人の方が一人でいる時間は短く,また,子供が住んでいる場所が近いほど,一人でいる時間は短くなっています。
高齢者はどのような行動にどれくらいの時間を費やしているのか
高齢者は仕事時間が減った分の多くを,テレビ等のメディアに振りむけているという現状が浮かび上がっています。
介護をしている人としていない人の仕事や家事に費やす時間の違い
ふだん介護・看護をしている人は,男女共に,していない人に比べ家事関連時間が長く,仕事関連時間が短くなっています。
通勤時間の違いによる睡眠時間の違い
雇用されている人のうち男性について片道の通勤時間別に平日の睡眠時間をみると,男性は通勤時間が長くなるほど睡眠時間は短くなっています。
この1年間にどのくらいの人が自由時間に学習活動をしたか
男性は「パソコンなどの情報処理」の割合が最も高く,次いで「商業実務・ビジネス関係」となっています。女性は「家政・家事」の割合が最も高く,次いで「芸術・文化」となっています。
この1年間にどのくらいの人がボランティア活動をしたか
男女共に「まちづくりのための活動」の割合が最も高くなっています。次いで高いのは,男性は「自然や環境を守るための活動」で,女性は「子供を対象とした活動」となっています。
若年層で盛んなスポーツ,趣味・娯楽と高齢層で盛んなスポーツ,趣味・娯楽
若年層で盛んなスポーツは野球(キャッチボールを含む),趣味・娯楽はカラオケ,テレビゲーム・パソコンゲーム(家庭で行うもの・携帯用を含む)となっています。
高年層で盛んなスポーツはウォーキング・軽い体操,趣味・娯楽は園芸・庭いじり・ガーデニング及び日曜大工となっています。
この1年間にどのくらいの人が旅行・行楽をしたか
昭和61年と平成18年の結果を比較してみると,「旅行・行楽」をした人の割合は,20年間に高齢層ではそれほど大きな変化はありませんが,若年層では大幅に減少しています。
子供の年齢の違いによる夫と妻の仕事や育児に費やす時間の違い
育児時間は,末子が小さいほど夫,妻ともに長くなっており,その差も大きくなっています。また,夫の仕事関連時間は末子の年齢による変化はありませんが,妻の仕事関連時間は末子が0歳の時に他と比べて大幅に短いなど,大きく影響されています。
共働き世帯における妻の家事の負担割合の推移
夫婦と子供の世帯のうち共働き世帯の夫婦の家事関連時間は,夫よりも妻の方がかなり長くなっています。しかし,夫と妻の家事関連時間に占める妻の家事関連時間の割合(妻の分担割合)について,過去20年間の推移をみると,夫の家事関連時間が長くなっていることから,その割合は低下する傾向がみられます。
両親が子供と一緒に過ごす時間
末子の年齢が3歳未満の父親と母親が子供とふれあう時間を曜日別に「一緒にいた時間」でみると,母親が子供と一緒にいる時間は大きな差はありませんが,父親は日曜日が最も長く,曜日による差が大きくなっています。
家事関連時間の世界の国々との比較
男女別にみると,日本では男性の家事関連時間が他国に比べて短くなっています。
国や地方公共団体の施策のための基礎資料として
国民の生活時間や生活行動の実態を明らかにする社会生活基本調査は,仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進,男女共同参画社会の形成,少子高齢化対策といった行政施策のための基礎資料として利用されているほか,地方公共団体におけるスポーツや文化振興,ボランティア活動の推進といった地域振興などに幅広く利用されています。
仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進のために
政府の「仕事と生活の調和推進のための行動指針」(平成22年6月29日 仕事と生活の調和推進官民トップ会議にて策定)では,「仕事と生活の調和が実現した社会」を実現するため,企業や国民の効果的な取組,国や地方公共団体の施策の方針を定めています。
同方針の中で,社会生活基本調査からわかる「6歳未満の子どもを持つ夫の育児・家事関連時間」が,男女が協力して子育てに関わることによる多様な働き方の選択の実現に関する数値目標として利用されています。
また,仕事と生活の調和の進展度合いの把握を目的として「仕事と生活の調和」実現度指標が定められており,そこでも社会生活基本調査からわかる生活時間やさまざまな活動の状況が利用されています。
項目 | 社会生活基本調査の結果 |
---|---|
仕事・働き方 | 出勤時間の多様性 通勤時間 |
家庭生活 | 有業者の家族と一緒にいた平均時間 家事・育児・介護等の総平均時間の男女比率 6歳未満の子どものいる者の家事・育児の総平均時間の男女比率 |
地域・社会活動 | ボランティア活動・社会参加活動の総平均時間 交際・つきあいの総平均時間 ボランティア活動・社会参加活動の年間行動者率(有業者・無業者別) 交際・つきあいの年間行動者率(有業者・無業者別) |
学習や趣味娯楽等 | 学習・研究の総平均時間 趣味・娯楽等の総平均時間 学習・研究の年間行動者率(有業者・無業者別) 趣味・娯楽等の年間行動者率(有業者・無業者別) |
健康・休養 | 休養・くつろぎの総平均時間 |
男女共同参画社会の形成のために
男女が共にその個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の形成は,我が国の重要な政策課題の一つです。このため政府は,男女共同参画社会基本法を制定し,さまざまな施策を推進しています。
この法律に基づく基本計画では,男女の置かれた状況を客観的に把握するための統計の整備を,重要な施策の一つとしてあげています。特に男女の家事,育児,介護等,無償労働の把握のための基礎資料として,社会生活基本調査における生活時間の把握が欠かせないものとなっています。
少子化社会への対策のために
少子化の背景には,育児の負担感が大きいこと,仕事と家庭生活との両立が困難であること,若年層の失業者や低所得者の増大など若者の社会的自立を難しくしている社会経済状況といった問題が指摘されています。
政府では,少子化社会対策基本法に基づき,「子ども・子育てビジョン」(平成22年1月29日閣議決定)を策定し,社会全体で子育てを支えることにより,家庭を築き,子どもを産み育てるという個々人の希望がかなえられる社会を実現するための施策を推進しています。
平成23年社会生活基本調査では,新たに育児支援の利用状況を調査することとしており,子育ての手助けを受けている世帯と受けていない世帯の生活時間の違いが明らかになります。
また,社会生活基本調査では,生活時間の過ごし方の中で,行動するときに「一緒にいた人」を併せてとらえています。ここから親子のふれあい時間,子供の生活の実態なども分かります。
高齢社会への対策のために
急速に進む高齢化への対策のためには,高齢者の就業・社会参加や,健康・福祉など多方面にわたる取組を進めていくことが必要です。
国や地方公共団体では,一人でいた時間や家族といた時間など高齢者の時間の過ごし方や,スポーツ,趣味・娯楽,ボランティア活動などを行った高齢者の割合などに関して,社会生活基本調査の結果を活用しています。