ここから本文です。
統計Today No.92
日本政府初のMOOC講座
「社会人のためのデータサイエンス入門」の開講
総務省統計研修所長
大臣官房統計情報戦略推進官
須江 雅彦
我が国の国際競争力を強化し、経済成長を加速させるためには、ビジネスの現場においても、データに基づいて課題を解決する能力の高い人材、いわゆるデータサイエンスを身に着けた人材が不可欠です。
総務省統計局及び統計研修所では、日本統計学会等と協力し、これまでも統計力向上サイト「データサイエンス・スクール」の開設等、『データサイエンス』力の高い人材育成のための取組を進めてきました。
今般この取組を更に推し進めるために、自らの学びをサポートするウェブ上で誰でも参加可能な「データサイエンス・オンライン講座」を設けることとし、3月17日に、この講座の第1弾として、「社会人のためのデータサイエンス入門」を開講いたしました。
「社会人のためのデータサイエンス入門」紹介用画像
この講座を広く皆様に御活用いただくため、講座の内容を紹介いたします。
「社会人のためのデータサイエンス入門」とは
「社会人のためのデータサイエンス入門」は、統計学の基礎やデータの見方など、データ分析の基本的な知識を学ぶことができる内容となっています。
この講座は、MOOCプラットフォーム「gacco」を通じて提供します。MOOCとは、インターネット上で誰でも無料で参加可能な、大規模でオープンな講義のことで、ビデオ講義と試験やレポートに加え、ディスカッション可能な掲示板を提供し、修了証を発行する仕組みです。米国の大学を中心に展開され、いま世界中に広がりつつあります。
「社会人のためのデータサイエンス入門」は、約4週間にわたり提供する予定で、短い幾つかのビデオ講義(各週合計60分程度)で学習いただいた上で、確認テスト及び最終テストにチャレンジしてもらい、得点率60%以上で修了証を交付します。各週の内容は以下のとおりです。
第1週:統計データの活用
第1週では、「統計学が最強の学問である」の著者で、著名な統計家である西内 啓氏や統計局の奥田・永井が、社会でデータがどのように活用されているかについて、実際のデータを用いた分析事例を含め御紹介していきます。
講義用動画より
【学習内容】
|
第2週:統計学の基礎
第2週では、統計数理研究所 土屋 隆裕准教授が、統計学の基礎として、データを理解し、分析する際に必要な統計の基礎知識について、御説明します。
【学習内容】
|
第3週:データの見方
第3週では、東京大学 佐藤 整尚准教授が、データの見方について、普段目にすることの多い統計表、比率の見方や時間を追って観測される時系列データの扱いなどを中心に御説明します。
【学習内容】
|
第4週:公的データの入手とコースのまとめ
第4週では、統計局の神林から、誰もが手に入れることができるデータ、すなわち公的統計データについて、インターネットを用いて簡単に取得する方法や提供サイトである政府統計の総合窓口(e-Stat)の使い方について御紹介し、最後に私が講座のまとめを行います。
【学習内容】
|
講座の受講申込は、既に1万人を超えており、皆様から大きな反響を頂いています。
本講座紹介用ウェブサイト(http://gacco.org/stat-japan/)から、受講登録が可能ですので、是非御活用ください。(受講の登録は閉講日(5月18日(月))まで行うことが可能です。)
今後の展開〜次回の講座に向けて〜
今回開講する講座は入門編であり、基本的な内容を学んでいただく内容となっています。
平成27年度に開講する次回の講座(応用編)では、「ビジネスで使うデータ分析(仮称)」として、ビジネスの現場で使われている統計分析手法等、より実践的な内容を盛り込んだ講座を提供するため、準備を進めています。また、オンラインの講義と併せて、講座の受講後、実際に講師の授業を受ける「反転授業」の仕組みも取り入れる予定ですので、今後の取組に御期待ください。
こうした取組を通じて、日本の企業活動の活性化やオープンデータの利活用を促進し、地方創生にもつながることを期待しています。
(平成27年3月17日)