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平成8年社会生活基本調査 結果の要約
社会生活基本調査は,日々の生活における「時間のすごし方」と1年間の「余暇活動」
の状況について調査し,国民の暮らしぶりを明らかにするための統計調査です。
この調査は,昭和51年の第1回調査以来5年ごとに実施され,今回は5回目に当ります。
- 1日の生活時間……1日24時間がどのような行動に使われているかを調べたものです。
- 1年間の生活行動…「スポーツ」,「学習・研究」,「社会的活動」,「趣味・娯楽」,「旅行・行楽」の5つについて,過去1年間の活動状況を調べたものです。
● 詳しくは調査の概要へ
の項目は,政府統計の総合窓口「e-Stat」掲載の統計表です。
1日の生活時間
1.行動の種類別生活時間
1日の生活時間 ― 2次活動時間が減少し,1次・3次活動時間が増加
15歳以上の人について,週全体を平均した1日の生活時間をみると,男子は1次活動時間が10時間26分,2次活動時間が7時間15分,3次活動時間が6時間19分で,女子はそれぞれ10時間39分,7時間21分,6時間となっている。
平成3年と比べると,男女とも2次活動時間が減少し,1次及び3次活動時間が増加している。(表1)
- 1次活動…睡眠,食事など生理的に必要な活動
- 2次活動…仕事,家事など社会生活を営む上で義務的な性格の強い活動
- 3次活動…余暇活動など
睡眠時間 ― 土曜日が最も大きな増加
1次活動時間のうち睡眠時間は,男子が7時間52分,女子が7時間36分となっている。平成3年と比べると,男女とも増加しており,特に土曜日の増加が大きくなっている。(表2)
仕事時間 ― 土曜日で大幅に減少
2次活動時間のうち仕事時間は,男子有業者が7時間,女子有業者が5時間11分となっている。平成3年と比べると,男女とも減少しており,特に土曜日が大幅に減少している。(表3,図1)
家事関連時間 ― 依然大きい男女の差
2次活動時間のうち家事関連時間は,男子が27分,女子が3時間46分となっている。平成3年と比べると,男子が増加し,女子が減少したものの,依然として大きな差がある。(表4)
育児時間 ― 女子が20歳代後半で減少,30歳代で増加
配偶者のある女子について,育児時間をみると,20歳代後半が2時間2分,30歳代が1時間22分(30歳代前半1時間52分,後半54分)となっている。
平成3年と比べると,20歳代後半で減少し,30歳代で増加している。(表4,図2)
余暇活動時間 ― 在宅型余暇が増加,積極的余暇が減少
3次活動時間のうち,在宅型余暇活動時間は男子が3時間52分,女子が3時間46分で,積極的余暇活動時間はそれぞれ1時間10分,52分となっている。
平成3年と比べると,在宅型余暇活動時間は男女とも増加しており,特に若年層の増加が大きくなっている。一方,積極的余暇活動時間は男女とも減少しており,特に若年女子の減少が大きくなっている。(表5)
2.個人の属性別の生活時間
在学者 ― 「学校のない土曜日」の生活時間にゆとり
小学生(10歳以上)から大学・大学院生までの在学者の学業時間(週全体)をみると,中学生(5時間29分)と高校生(5時間23分)が長く,このうち受験学年でもある3年生が中学・高校とも長くなっている。
小・中学生及び高校生の「学校のない土曜日」の生活時間は,「学校のある土曜日」に比べ,睡眠時間や趣味・娯楽の時間が長くなっており,「学校のない土曜日」のすごし方にゆとりがみられる。(表6)
夫と妻の生活時間 ― 共働きか否かで大きく異なる妻の生活時間,夫が家族とふれあう時間は約4時間
「夫婦と子供の世帯」のうち,「共働き世帯」の妻は「夫が有業・妻が無業の世帯」の妻に比べ,家事関連時間が2時間57分短く,また在宅型余暇活動時間,積極的余暇活動時間もそれぞれ49分,20分短くなっているなど,妻の生活時間は共働きかどうかで大きく異なっている。
夫(有業)が平日に家族と一緒にいる時間(睡眠時間を除く)は約4時間で,無業の妻の約半分,有業の妻の約6割となっている。(図3)
高齢者 ― 1日のうち約12時間を一人ですごす単身高齢者
高齢者(65歳以上)が家族と一緒にいる時間は7時間23分,「一人で」いる時間(睡眠時間を除く)は6時間12分となっている。
このうち,単身高齢者は,「一人で」いる時間が12時間18分と大幅に長くなっている。(表7)
ふだん家族を介護・看護している人 ― 実際に介護・看護をしていた人の平均時間は3時間
「ふだん家族を介護・看護している人」は15歳以上人口の 3.6%で,女子の割合( 4.4%)が男子( 2.7%)を上回っている。このうち,調査当日に実際に介護・看護を行った人の介護・看護時間は,平均で3時間となっている。男女別にみると,男子が2時間46分,女子が3時間4分と,女子が長くなっている。(表8)
1年間の生活行動(余暇活動)
1. スポーツ
4人に3人が「スポーツ」,男子で盛んな屋外球技と「つり」,女子は美容・健康関連など
過去1年間(平成7年10月〜8年9月)に何らかの「スポーツ」を行った人(10歳以上)は約8462万人で,行動者率は76.0%となっている。行動者率が高い種類は「ボウリング」「軽い体操」「運動としての散歩」「水泳」などとなっている。
男女別にみると,男子の行動者率が高くなっている。男子で盛んなものは屋外球技の「野球」「ゴルフ」「サッカー」や「つり」など,一方女子では「エアロビクスダンス・ジャズダンス・美容体操」「軽い体操」「バドミントン」などとなっている。(図4)
行動者率が上昇した「つり」,若年層で低下した 「ゴルフ」,「テニス」
「スポーツ」の種類別の行動者率を平成3年と比べると,上昇したのは「運動としての散歩」「つり」「バスケットボール」の3種類となっている。一方,平成3年に大きく上昇した「ゴルフ」は20歳代の男子で大きく低下し,また「テニス」も20歳代で大きく低下している。(図5)
2. 学習・研究
「商業実務・ビジネス関係」は男子,「家政・家事」は女子が高く,「外国語」は男女とも高い行動者率
「学習・研究」の行動者率は30.6%で,男女ともほぼ同じ行動者率となっている。男女別に「学習・研究」の種類をみると,男子は「外国語」の行動者率が最も高く,次いで「商業実務・ビジネス関係」「人文・社会科学」となっている。一方,女子は「家政・家事」が最も高く,次いで「外国語」「芸術・文化」となっている。なお,「外国語」は,20歳代前半までの若年層で際立って高くなっている。(図6)
3. 社会的活動
4人に1人が「社会的活動」,行動者率が最も高いのは「地域社会や居住地域の人に対する奉仕」
「社会的活動」の行動者率は26.9%で,4人に1人が何らかの「社会的活動」を行っている。男女別では,女子の行動者率が高くなっている。
「社会奉仕活動」の種類別に行動者率をみると,男女とも「地域社会や居住地域の人に対する奉仕」が最も高くなっている。(表9)
女子30歳代後半の行動者率が高く,居住地域とのつながりが大きい「社会奉仕活動」
「社会奉仕活動」の行動者率をみると,女子30歳代後半が最も高く, 10〜50歳代前半までは女子が男子より高くなっている。
「社会奉仕活動」をした人の活動形態をみると,「町内会・老人クラブ・青年団等」に加入して行った人が最も多く,次いで,団体に加入せず「地域の人と」行った人となっている。(図7)
「社会的活動」に参加する人の割合が高い町村,行動者の行動日数が多い大都市
「社会的活動」の行動者率を都市階級別にみると,ほぼ人口規模が小さいほど高く,町村が最も高くなっている。
一方,行動者の 1年間の平均行動日数は,人口規模が大きいほど多く,大都市が最も多く なっている。(図8)4 趣味・娯楽
10歳代で盛んな「テレビゲーム」, 高齢層で盛んな「園芸・庭いじり」
「趣味・娯楽」の行動者は1億人を上回り,行動者率は90.5%となっている。行動者率が高いものは「レコード・テープ・CD等による音楽鑑賞」「ドライブ」などとなっている。
10歳代で行動者率の高いものは「テレビゲーム」「レコード・テープ・CD等による音楽鑑賞」,20歳代では「ドライブ」「カラオケ」, 30歳代では「写真の撮影・引き伸ばし」「ビデオの撮影」,また高齢者では「園芸・庭いじり」「日曜大工」などとなっている。
なお,「パソコン」は男女で盛んな年齢層(男子30歳代,女子10〜20歳代前半)が異なっている。(図9)
5 旅行・行楽
7割以上の人が「旅行」,家族で旅行した人が増加
「旅行・行楽」の行動者率は82.8%となっている。このうち,「行楽(日帰り)」が行動者率が65.9%,「旅行(1泊2日以上)」が71.5%となっている。(表10)
平成3年と比べると,「職場の人」と旅行した人の割合が低下し,「家族」と旅行した人の割合が上昇している。
1割を超えた外国観光旅行,20歳代女子は5人に1人が外国へ
「国内観光旅行」の行動者率は平成3年に比べ低下している。一方,「外国観光旅行」は顕著な上昇を示し,10%を超えている。
特に,20歳代の女子の「外国観光旅行」の行動者率は高く,5人に1人の割合となっている。(表10,図10)