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小売物価統計調査(構造編)について(2021年1月現在)
1 調査の目的
小売物価統計調査は、国民の消費生活において重要な商品の小売価格及びサービスの料金について調査し、毎月の動向及び地域別、事業所の形態別等の物価を明らかにすることを目的としており、統計法に基づく基幹統計調査(基幹統計である小売物価統計を作成するための調査)である。
本調査は、物価の毎月の動向を明らかにする「動向編」と、地域別や店舗の形態別等の物価構造を明らかにする「構造編」から成り立っており、更に、「構造編」はその目的により、1.地域別価格差調査、2.店舗形態別価格調査及び3.銘柄別価格調査の3つの調査の種別を設けている。
2 調査の沿革
物価構造については、過去、5年ごとの全国物価統計調査により把握してきたが、消費・流通構造の変化が加速する中で、5年周期の統計では物価構造の変化を的確に把握することが困難な状況となったことから、全国物価統計調査で把握してきた地域別価格差、店舗形態別価格及び銘柄別価格を毎年把握するための調査を「構造編」として小売物価統計調査に盛り込み、2013年(平成25年)1月から実施している。
なお、これにより、従前の小売物価統計調査を「動向編」と位置付け、全国物価統計調査は2007年(平成19年)調査を最後に中止した。
2016年(平成28年)には、調査結果の利活用の推進及び結果精度の向上に向けた取組として、調査品目の見直しを初めて実施した。今後、同様の見直しを毎年実施し、適時適切に品目を選定することとした。
※「構造編」創設の経緯及び調査品目の見直しの実施については、以下を参照されたい。
- 統計委員会「諮問第41号(平成23年11月18日)
」及び 「諮問第41号の答申(平成24年1月20日)
」
- 統計委員会「諮問第80号(平成27年6月25日)
」及び 「諮問第80号の答申(平成27年9月17日)
」
- 統計委員会「諮問第91号(平成28年7月26日)
」及び 「諮問第91号の答申(平成28年8月25日)(PDF:409KB)
」
- 統計委員会「諮問第142号(令和2年6月25日)
」及び 「諮問第142号の答申(令和2年9月9日)(PDF:286KB)
」
3 調査の流れ
調査の流れは、次のとおりである。
総務大臣 ―― 都道府県知事 ―― 指導員 ―― 調査員 ―― 報告者
- 指導員: 都道府県統計主管課の職員のうちから都道府県知事により任命され、調査員の実査事務の指導を担当する。「構造編」の調査では、全国で約130人を設置している。
- 調査員: 民間人の中から都道府県知事により任命され、調査を担当する。「構造編」の調査では、全国で約140人を設置している。
4 調査市
以下のとおり、全国の138市を調査市(2020年1月から)(PDF:195KB)とする。 (参考 2019年12月までの調査市(PDF:129KB))
調査の種別 | 調査市 |
---|---|
地域別価格差調査 | 「動向編」の調査地域となっていない全国の都道府県庁所在市以外の市(91市)※ ※「動向編」の調査市町村(167市町村)と併せて、各都道府県において人口の50%をカバーすることを目標に、経済圏のバランスを考慮して調査市を選定している。 なお、調査市は、定期的に見直しを行っている。 |
店舗形態別価格調査 | 全国の道府県庁所在市(46市) |
銘柄別価格調査 | 東京都区部(1市) |
5 調査店舗
調査市全域を価格調査地区として設定し、以下のとおり、各調査地区内で、調査の種別ごとに指定した属性を持つ店舗について、調査品目ごとに、販売数量が多い順(これにより難い場合は、従業者数や売場面積などの経営規模の大きい順)に、所定数を選定し、調査店舗に指定する(全国で約3,000店舗)。
なお、調査店舗は、調査品目ごとに調査員や都道府県職員が調査地区内にある最新の代表的な店舗を調査対象として有意抽出している。このため、無作為抽出による標本調査で生じる標本誤差という概念は存在しない。また、事業所母集団データベースや他の情報を母集団情報として使用していない。このように、小売物価統計調査は、有意抽出であることから、目標精度を設定しておらず、また、常に代表的な店舗を設定する必要があるため、重複是正措置も行っていない。
調査の種別 | 調査店舗の選定方法 |
---|---|
地域別価格差調査 | スーパーを中心に代表的な店舗を所定数選定 |
店舗形態別価格調査 | 店舗形態別に代表的な店舗を所定数選定 |
銘柄別価格調査 | 「動向編」で指定されている店舗(事業所)と同一の店舗の中から代表的な店舗を所定数選定 |
6 調査品目及び調査銘柄
調査を行う商品についての名称又は種類を「調査品目」又は「品目」といい、その品目について実際に調査を行う商品の属性などを「調査銘柄」又は「銘柄」という。
調査の種別 | 調査品目及び調査銘柄 |
---|---|
地域別価格差調査 | 都道府県などの地域別価格差を捉えることを目的として、地域により価格差が見込まれ、かつ、家計消費支出のウエイトが大きい「うるち米」、「ラップ」、「養毛剤」などの 57品目58銘柄 について調査 |
店舗形態別価格調査 | スーパーや一般小売店など、店舗形態別の価格を把握することを目的として、スーパー以外でも価格が取集できると考えられる「うるち米」、「整髪料」などの 9品目9銘柄 を調査 |
銘柄別価格調査 | 「動向編」で調査していない銘柄の価格を把握することを目的として、今後、「動向編」の調査銘柄の候補となり得る銘柄が存在している「電気かみそり」やまとめ売りなど販売形態の異なる銘柄が存在している「ヨーグルト」などの 9品目9銘柄 を調査 |
7 調査品目区分
調査品目については、次の2区分を設けている。
調査品目区分 | 品目の基準 | 該当品目等 |
---|---|---|
a | 主として消費者が居住地区近辺で購入する品目で、構造編として調査する品目 | 食料、家事用消耗品など |
b | 主として消費者が各市町村の代表的な商業集積地、大型店舗等で購入する品目で、構造編として調査する品目 | 理美容用品など |
8 価格取集数
各調査品目・銘柄については、調査の種別、調査品目区分及び人口規模ごとに、以下のとおり価格取集数を定めている。
調査の種別 | 調査品目区分 | 人口規模 (平成25年1月現在) |
価格取集数 |
---|---|---|---|
地域別価格差調査 | a 品目 | 15万以上市 | 4 |
15万未満市 | 2 | ||
b 品目 | 15万以上市 | 3 | |
15万未満市 | 1 | ||
店舗形態別価格調査 | a 品目 | − | 4 |
b 品目 | − | 3 | |
銘柄別価格調査 | a 品目 | − | 4 |
b 品目 | − | 3 |
9 調査の時期
地域別価格差調査は、奇数月の12日を含む週の水曜日、木曜日又は金曜日のいずれか1日を調査日とする。
店舗形態別価格調査は、偶数月の12日を含む週の水曜日、木曜日又は金曜日のいずれか1日を調査日とする。
銘柄別価格調査(東京都区部)は、偶数月の12日を含む週の水曜日、木曜日又は金曜日のいずれか1日を調査日とする。
10 調査の方法
調査員は、調査を行う前に、総務省統計局(以下「統計局」という。)から調査品目や銘柄情報など、当月の調査に必要な各種最新情報を端末に受信する。
調査員は、担当する調査地区内の調査店舗を訪問し、代表者等の報告者から調査品目の価格情報等を聞き取り、その結果を調査員端末に入力する。このように、小売物価統計調査では、調査員端末を用いた調査を実施していることから、オンライン回答率は100%である。
調査員は、担当する全ての調査品目の価格情報等を入力した後、指定された日に統計局に調査したデータを送信する。
なお、入力に際して誤りが生じる場合があることから、誤りを防ぐために、調査員端末には即時チェック機能が付与されている。そして、統計局及び都道府県は、このデータの審査を行う。
11 調査価格
各品目の代表的な価格を調査するという観点から、調査店舗で消費者に販売している通常価格を調査することとしているため、短期間(7日以内)の特売価格や棚ざらえ、在庫一掃セール等の特売価格は調査しない。
12 結果の公表
集計結果は、総務省統計局で取りまとめ、原則として調査年の翌年の6月までに公表する。(消費者物価指数の基準年(西暦年の末尾が0又は5の年)の集計結果については、調査年の翌年の9月頃に公表)
なお、集計に当たり、調査品目ごとに前回の上限価格と下限価格を価格範囲として審査基準に設定し、報告されてきた価格が範囲外であれば調査員へ確認を行い、必要に応じて正しい価格に修正している。
調査の結果は、インターネット等で公表する。
13 調査の根拠法令
小売物価統計調査は、「統計法(平成19年法律第53号)」 による「基幹統計調査」として、統計法に基づいて公布された 「小売物価統計調査規則(昭和57年総理府令第6号)
」 に従って調査を実施している。