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リサーチペーパー 第16号
タイトル
労働市場の世代効果に関する日米比較
著者 (原稿執筆時の所属)
太田 聰一 (慶應義塾大学経済学部教授)
玄田 有史 (東京大学社会科学研究所教授)
近藤 絢子 (コロンビア大学大学院)
刊行年月
2008年11月
要旨
不況期における労働市場への参入がもたらすその後の雇用と賃金への影響について、日本と米国の男性を比較検証した。その結果、不況の影響は、米国の低学歴層で参入直後の一時的なものにとどまるのに対し、日本の低学歴層では、学卒時における失業率の上昇は賃金や雇用に持続的にネガティブな影響を及ぼすことが明らかとなった。背景として、高校卒就職者への学校による斡旋システムや解雇に関する規制の強さが、初期の就業機会の喪失を回復困難なものにしていることが考えられる。不況期に参入したことによる賃金の持続的な抑制は、高学歴の日本人層でもみられるが、 低学歴層に比べると、日米間の違いは大きくないことも併せて明らかとなった。
キーワード:世代効果、日米比較、学歴差