戦後の統計制度確立に貢献した
統計の偉人たち

日本の統計学発展に寄与し、大きな功績を残した偉人たちを紹介します。

〉統計の偉人たちリスト

日本における社会統計学の先駆者

高野 岩三郎 1871~1949 Iwasaburo Takano 統計学は社会の測量学である。統計学にとって数字上の知識は必要であるが、それより一層必要なものは、社会上の知識である。

統計学者として、社会調査の実施、中央統計委員会での提言、意見など、戦前戦後の統計行政や統計調査の改善と確立に貢献

1 統計行政や統計調査の改善と確立に貢献

経済学者、統計学者であるとともに、労働運動の理論的指導者であり、東京帝国大学の経済学部の独立、大原社会問題研究所の所長、日本放送協会の会長など、多彩な活動を行いました。

社会統計学史研究、目次のページの見開き画像

日本の統計における貢献も多彩でした。明治32年(1899)に留学のためドイツに赴き、経済学と統計学を学んだ高野は、帰国後、東京帝国大学教授(統計学の講座を担任)を務め、「社会統計学史研究」(大正14 年)などを著述し、ヨーロッパの統計学古典を翻訳刊行しました。また、昭和23年(1948) 日本統計学会の初代会長を務めました。

社会調査としての「東京における20 職工家計調査」(大正5年)などを自ら実施したほか、中央統計委員会での数々の提言、意見など、戦前戦後の統計行政や統計調査の改善と確立に貢献しました。

2 高野岩三郎と大内兵衛

戦後日本の統計制度の再建は、高野岩三郎が大内兵衛をライス氏や吉田茂に推薦したことから始まったといわれています。〜ライス氏の訪問〜私(大内兵衛)が、はじめてライスさんにお目にかかったのは、NHK の会長室であった。その時の会長は高野岩三郎先生であった。ライスさんは、アメリカ政府予算局の統計基準部長でもあって、特に日本に来たのは、マッカーサー元帥に頼まれて、日本の統計が戦時中あまりにもひどく破壊されていて、進駐軍の統治上に役に立たないので、それをどうして建て直すかということを調査するためであった。ライスさんは、高野先生に相談にのってもらいたいといった。高野先生は、自分は統計制度の再建に関心をもっているが、いまは地位上直接それに当ることはできない。幸にここに大内という男が来ている。この男がそれに関心をもっているから、万事はそれにお話をしたらいいだろうといわれた。
戦後統計事始め(「統計情報」昭和32 年8月号)より
※ライス(Stuart A. Rice, 1889〜 1969)アメリカ合衆国の社会学者、統計学者。第二次世界大戦後、占領下の日本において、統計再建のためコンサルタントとして尽力した。

バック ホーム