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個人企業経済調査に関するQ&A(回答)
個人企業経済調査とは
1 個人企業経済調査はどのような調査なのですか?
個人企業経済調査は、国が実施する統計調査のうち、統計法により特に重要なものとされる「基幹統計調査」として実施する統計調査です。我が国における民間企業の4割以上を占める個人企業の経営実態を調査し、中小企業振興など各種行政施策のための基礎資料を得ることを目的として実施しており、個人企業のみを対象として国が行う調査としては唯一のものとなっています。
2 個人企業とは何ですか?
「個人企業」とは、法人としての登記をしていない個人が経営する経営体を意味します。例えば、街中の法人登記をしていない個人営業の工場、工務店、小売店、飲食店、美容室、学習塾、税理士などは個人企業です。また、例えば、複数の店舗を持つ美容のチェーン企業であっても法人登記していなければ個人企業になります。
なお、本調査の対象となる個人企業については、「事業所母集団データベース」から、一定の統計上の抽出方法
に基づき抽出を行っています。
3 個人企業経済調査ではどんなことを調べるのですか?
営業上の収支(売上金額等)、事業主の年齢、従業員数や事業経営上の問題点など構造的特質を把握することとしています。
なお、売上金額等の営業収支項目については、確定申告書類(青色申告決算書など)からの転記が可能となっています。
4 個人企業経済調査の結果はどのように利用されているのですか?
個人企業経済調査の結果は、国や地方における中小企業振興のための基礎資料や各種事業・施策の分析資料となるほか、国民経済計算(GDP)の推計にも利用されています。また、この他にも、研究機関、民間企業、報道機関などに、幅広く利用されています。
5 ほかにも似たような調査があるのではないのですか?
いわゆる「中小企業」といわれる法人組織の事業所を含む中小事業所を対象にした調査はほかにもありますが、「個人企業」といわれる個人が経営している事業所のみを対象とした調査は、国が行う調査としては、この「個人企業経済調査」のほかにはありません。
個人企業経済調査で調査している項目は、いずれも個人企業の経営実態を把握する上で大切なものとなっており、国の経済施策の基礎資料とするためにも、なくてはならない大切な調査です 。
6 仕事が忙しい場合でも、個人企業経済調査の調査票に答えなければならないのですか?
正確なご回答をいただけないと経済の実態を正確に把握できないため、本当に必要な施策が実施できなくなるおそれがあります。このため、個人企業経済調査には「統計法(e-Gov)(平成19年法律第53号)」という法律に基づき回答する義務(報告義務)(第十三条)とこれに反したときの罰則(第六十一条第一号)が定められています。
7 個人企業経済調査で回答した内容は、どのように保護されるのですか?
守秘義務
調査に従事するもの(国の職員、民間事業者など)には、統計法により守秘義務が課されており、守秘義務違反があった場合の罰則も定められています。
回答内容の保護
個人企業経済調査により集められた回答内容は、統計法によって厳重に保護されています。
回答内容は、統計法に定められている利用目的以外(例えば徴税資料など)に使用することは、絶対にありません。
集められた調査票は、外部の目に触れないように厳重に管理し、集計が完了した後、溶解処分します。
暗号化通信
インターネット回答における通信は、すべて暗号化されています。また、不正なアクセスなどの監視を24時間行っています。
8 税務資料を利用すれば、このような調査を実施しなくてもよいのではないですか?
税務資料を統計調査の代わりとして使用してはならないとされています。また、回答内容は、統計法に定められている利用目的以外(例えば徴税資料など)に使用することは固く禁じられていますので、安心して調査へのご回答をお願いいたします。
9 個人企業経済調査には、個人情報保護法が適用されないのですか?
個人企業経済調査を始め、「統計法」に基づいて行われる統計調査で集められる個人情報は、統計法により統計以外の目的での調査票の使用が禁止されているなど、個人情報の取扱いに必要な制度上の規律が厳格に整備されていることから、個人情報保護法は適用されないことになっています。
調査方法について
10 個人企業経済調査はどのように行われるのですか?
個人企業経済調査は、総務省統計局から委託を受けた民間事業者から調査対象事業所に調査票を郵送し、記入された調査票を統計局宛に郵送していただくか、インターネットによって回収していただく方法で実施しています。
11 調査方法の説明をみると、民間事業者に委託していると記載されていますが、具体的にはどのような業務を民間事業者に委託していますか?
調査関係書類の作成・郵送、調査対象事業所への照会等の調査実施事務局の運営については、民間事業者に委託しております。
12 調査対象はどのように選ばれるのですか?
全国すべての個人企業について調査を行うには、多くの費用と時間と人手が必要になります。そこで、この調査では、統計理論に基づき、全国から、コンピューターによって、無作為に約40,000を選び、調べることによって、日本全体の姿を推計する方法をとっています。
なお、具体的な調査対象の抽出方法の詳細はこちらをご覧ください。
13 昨年もこの調査の対象になりました。調査の対象は毎年変わるものではないのですか?
調査の対象となる個人企業は、「標本交代」という手法で、毎年、調査の実施ごとに調査対象企業の3分の1ずつ交替する方法をとっています。したがって、同じ個人企業に対しては、3年間継続するローテーション方式によって調査しています。これは、一度に対象を替えてしまうと、調査の連続性が損なわれてしまうためです。
以上の趣旨をご理解いただき、本調査にご回答をお願いいたします。
14 別の調査の対象になっていますが、何度も対象とならないように配慮できないのですか?
個人企業経済調査の対象となる個人企業は、総務省で整備している「事業所母集団データベース」から選ばれています。事業所母集団データベースには、 全国の事業所・企業に関する情報が収められており、行政機関の行う統計調査の調査対象の抽出に用いられるなど、国や地方公共団体において、経済統計を正確に作成するための名簿情報の提供及び管理のための重要なインフラとなっています。
このデータベースには、どの企業が何の調査で対象になったかの履歴も登録されており、できるだけ同じ時期に同じには調査依頼が重複しないように配慮されています。
しかし、対象となる企業は、調査の精度を高めるために、都道府県・産業・売上高階級のグループ別に選ばれており(これを「層化抽出」といいます。本調査の抽出方法は「抽出方法」をご覧ください。)、グループ内で事業所数が少ない場合には、どうしても重複して選ばれることもあります。
以上の趣旨をご理解いただき、調査にご回答くださいますようお願いいたします。
15 私の事業所はいつも調査に回答していますが、事業所によっては答えていないところもあるのではないですか?
調査の精度を高めるためには、調査の対象になった皆様のご回答が必要です。調査実施事務局では、調査票の提出締切日の前に、提出を促すハガキの送付、提出締切日の後に、提出督促のハガキの送付、電話及び訪問による督促を行い、調査票の確保に努めております。
16 調査票はどのように提出するのですか?
調査は、調査対象に対して調査票を郵送しますので、記入された調査票を総務省統計局宛に郵送していただくか、インターネットによりご回答していただきます。
17 個人企業経済調査の調査票が送られてきましたが、いつまでにどこに提出すればいいのですか?
総務省統計局では、毎年6月1日現在で「個人企業経済調査」を実施しております。なお、調査票の提出期限は6月末日です。郵送又はインターネットによりご回答ください。
調査の趣旨や重要性をご理解いただき、調査にご回答くださいますようお願いいたします。
18 インターネットでも回答を受け付けているようですが、ネットでの回答はどのくらいありますか?
本調査は、郵送での回答送付とインターネットでの回答送信の2種類の方法を用いていますが、令和6年調査では、標本数のうち、インターネットで回答した人は24.9%でした。
19 調査票にあらかじめ印字している内容は何に基づいて作成しているのですか?
あらかじめ印字されている内容は、調査対象の方の回答負担を少しでも軽くするため、「令和3年経済センサス‐活動調査」等の結果をもとに印字したものです。
調査の結果について
20 調査の結果はいつごろ公表されるのですか?
21 統計表に示されている数字は、どうやって計算されていますか? 調査の対象は全ての個人企業ではなく、一部の個人企業であり、また、回答しない個人企業もあると思いますが、数字に誤差などはありますか?
統計調査の結果には、必ず何らかの誤差が生ずることは避けられません。例えば、標本調査では、調査されなかった調査対象があるので、全数調査を行えば得られたはずの値(これを「真の値」といいます。)と調査結果には差が生じます。全数調査を行わずに標本調査を行ったことにより生ずる差のことを「標本誤差」といいます。
また、全数調査を行ったとしても、例えば誤回答や未回答などによる誤差があり、これを「非標本誤差」といいます。非標本誤差には、調査を行う段階で発生する様々なものがあります。詳細については、以下のリンクをクリックしてご覧ください。
- 回答をしなかったことにより生ずる誤差(これを「非回答誤差」といいます。)
- 集計の際の誤りによる誤差(これを「データ処理による誤差」といいます。)
- 標本が正しく母集団の縮図となっていなかったことによる誤差(これを「カバレッジ誤差」といいます。)
- 調査票のデザイン、回答者のミスなどによる誤差(これらを総称して「測定誤差」といいます。)
標本誤差とは
調査の結果は、標本調査で調査票が回収された標本から得られた推定値なので、標本誤差を含んでおり、全数調査をすれば得られるはずの値(以下「真の値」といいます。)とは必ずしも一致しません。集計結果の推定値には、標本調査による一定の統計的誤差を含んでいます。
「推定値の標本誤差」に示した「標準誤差率」は、全数調査を行った場合に得られるはずの「真の値」の存在範囲を示す目安となるものです。推定値を中心として、その前後に標準誤差の2倍の幅を取れば、その区間内に真の値があることが約95%の確率で期待されます(20回のうちおおよそ19回は正しい)。
非標本誤差とは
非標本誤差には、非回答誤差、カバレッジ誤差、データ処理による誤差、回答者の誤りによる誤差などがあり、調査の過程において介在する人間が多くなれば、それだけ非標本誤差も大きくなります。このような誤差は、標本誤差と違って、どの程度の誤差が発生しているのか、数字で評価することができません。したがって、調査の設計の際には細心の注意を払って、なるべく起こらないようにすべきであることから、本調査での取組を以下のとおり紹介します。
非回答誤差を減らすための取組
調査では、集計対象となる調査項目についてはすべて回答してもらうのが原則ですが、必ずしも調査項目がすべて正確に回答されているわけではありません。このような回答誤りや回答漏れによる誤差を「非回答誤差」といい、「調査票の記入のしかた」による丁寧な説明など、また提出後には回答誤り等の部分の民間事業者による確認などの方法で、できるだけ減らすように努めなければなりません。
本調査では、非回答を減らすために、次のような方法をとっています。
- 「記入のしかた」での説明
「記入のしかた」では、できるだけ回答誤り等をなくすために、調査票イメージの上に記入が必要な部分(項目)が明確になるように枠で囲い、さらに記入にあたり特に気をつけていただきたい点については、記入部分に吹き出しを利用して注意喚起をしています。 - 民間事業者による検査
民間事業者では調査票の回収後、回答漏れや回答誤り等がないかを確認し、発見した場合には、再回答をお願いしています。
データ処理による誤差を減らすための取組
非標本誤差のうち、調査票の回答内容を電子化して、これらを集計するまでの段階で発生する「データ処理による誤差」があります。
このうち代表的な誤差は、データを電子化(データパンチ)する際の入力ミスなどにより発生する可能性があります。
本調査では、民間事業者での入力において、1次入力者とは異なるオペレータによる検査入力(ベリファイ)を行うことで入力ミスの防止に努めています。
カバレッジ誤差を減らす取組
調査では調べる対象となる「母集団」(これを「目標母集団」といいます。)があり、標本調査の場合は、この母集団に相当する名簿(これを「枠母集団」又は「標本抽出枠」といいます。)から標本抽出(サンプリング)を行いますが、目標母集団と枠母集団が必ずしも一致しているとは限らず、それによって生じる誤差を「カバレッジ誤差」といいます。
個人企業経済調査ではほぼ全産業(調査対象産業の詳細は「調査の対象」を参照)の個人企業を母集団とし、標本抽出枠は総務省で整備している「事業所母集団データベース」を用いていますが、この名簿は経済センサスを基に各種行政記録情報等により整備されたものなので、廃業、新設などによるカバレッジ誤差が発生する可能性はありますが、きわめて小さいものと評価できます。
測定誤差を減らす取組
もともと測定誤差とは、自然科学の分野で、ものの大きさや重さなどを測定する際に発生する誤差のことで、その原因は測定機器の不完全さ、測定者の能力による違い、測定条件の変動などによるものです。
調査の分野でも、測定機器に相当する調査票のデザインや言葉遣いなどによって回答者が質問を誤解したり懸念したりして事実と異なる記入をした場合の誤差、測定条件である調査方法(郵送調査か調査員調査かなど)による誤差など様々な測定誤差があります。
個人企業経済調査では、調査票の作成段階における言葉遣いなどへの細心の注意、民間事業者に対する指導の徹底などを行い、これらの測定誤差をできるだけ減らすように努めています。
22 調査票に回答がなかった場合は、集計の際にどのように処理していますか?また、行政記録情報を利用した補足・訂正は行っていますか?
個人企業経済調査では、調査票の未回答項目や記入内容の矛盾について集計の前段階で調査対象企業へ照会していますが、主要な経理項目(売上高、棚卸高(期首・期末)、仕入高、営業費及び給料賃金)において欠測値が生じた場合は、以下の方法により補完を行った上で集計しています。
項目 | 抽出方法 |
---|---|
売上高 | 同一標本の過去データ(抽出時の名簿上の売上高の値)を時点調整した数値により補完 |
棚卸高(期首・期末) | 層化平均値補完(平均値代入法) |
仕入高 | 同一調査年の他の標本の数値により補完(最近隣ホットデック法。ドナー選定に当たっては外れ値処理を実施) |
営業費 | |
営業費のうち給料賃金 |
なお、回答がなかった調査票については、乗率により補正を行っています(詳細は、「推計方法」を参照)。
23 調査対象の個人企業の中には、売上高等が大きな個人企業も含まれることもあると思いますが、その場合、そのまま平均値を算出すると実態とはかけ離れた数値になるのではないですか?
個人企業経済調査では、産業別にみて、特に売上高等が大きい場合は、調査客体に対し重点的な確認を依頼し、その確認結果を基に訂正をし、集計を行っています。また、2019年度調査からは、標本を抽出する際に、売上高を売上高90%点で上位層と下位層に分け、それぞれ標本を均等配分しています。これにより、売上高上位層の標本数が厚くなり、売上高が高い企業の捕捉率が高まるなど、結果精度の向上に努めています。
24 個人企業経済調査ではわからない企業(法人)や市区町村別の売上高等について知りたい。
以下の表を参考にしてください。
知りたい内容 | 調査名等 |
---|---|
法人の売上高等 | 法人企業統計調査(財務省)![]() |
市区町村別の売上高等 | 経済センサス―活動調査(総務省統計局)![]() |
その他
25 「かたり調査」とはどういうものですか?
「かたり調査」とは、個人企業経済調査など、政府の統計調査を装い、事業所を訪問して記入後の調査票をだまし取ったり、調査票の内容などを電話で聞き出す不正行為のことです。
個人企業経済調査では、金銭を要求することや、銀行口座、クレジットカードの番号をお聞きすることは絶対にありません。不審な訪問者や電話・電子メールがあった場合は、速やかに個人企業経済調査問い合わせ先までご連絡ください。