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4.高齢者の家計
交際費、保健医療への支出割合が高い高齢無職世帯
平成26年における二人以上の世帯の世帯主が高齢者の世帯(以下「高齢者世帯」といいます。)のうち、その大半を占める無職世帯(以下「高齢無職世帯」といいます。)について、消費支出の費目別の構成比を二人以上の世帯の平均と比較すると、「保健医療」が1.39倍と最も高くなっており、健康の維持・増進のため保健医療に費やす支出割合が高いという特徴がうかがえます。次いで「光熱・水道」の1.16倍、「食料」及び「家具・家事用品」の1.11倍の順で高くなっています。
「その他の消費支出」の内訳をみると、「交際費※」が1.36倍と高くなっており、子や孫の世帯など世帯外への金品の贈与などが多くなっています。
一方、世帯主が65歳未満の勤労者世帯では、「教育」が1.58倍、「交通・通信」が1.17倍などとなっています。(図12、表4)
※)「家計調査」における交際費とは、世帯外の人への贈答用金品及び接待用支出並びに職場、地域などにおける諸会費及び負担費。なお、「世帯」とは、住居及び家計を共にしている人の集まりのこと。
健康に気を配り、旅行などの趣味を楽しむ高齢者
二人以上の世帯について、世帯主の年齢階級別に国内旅行や海外旅行などの「パック旅行費」の支出金額をみると、最も多いのは世帯主の年齢が60歳代の世帯で、次いで70歳以上の世帯となっています。最も多い60歳代の世帯の支出金額は、最も少ない30歳未満の世帯と比べ3.2倍になっています。「園芸品・同用品」は最も多いのが70歳以上の世帯で、次いで60歳代の世帯となっています。
「スポーツクラブ使用料」やサプリメントなどの「健康保持用摂取品」についてみると、「スポーツクラブ使用料」は60歳代、「健康保持用摂取品」は70歳以上の世帯で最も多くなっています。(図13)
このように、運動やサプリメントなどにより健康管理に気を配りながら、旅行やガーデニングなどの趣味を楽しむ高齢者のすがたが見てとれます。
高齢者世帯の貯蓄現在高は1世帯当たり2499万円
二人以上の世帯のうち高齢者世帯の貯蓄現在高をみると、平成26年は1世帯当たり2499万円となりました。貯蓄現在高は平成25年、26年と2年連続で増加しており、24年に比べると有価証券が大きく増加しています。
なお、1世帯当たり平均の貯蓄現在高は貯蓄額の高い世帯によって引き上げられます。そこで、貯蓄額の低い世帯から高い世帯へ順番に並べた際にちょうど中央に位置する世帯の値(中央値)をみると、平成26年は1588万円となっています。(図14)
◆「家計調査」の詳しい結果は、こちら(http://www.stat.go.jp/data/kakei/index.htm)を御覧ください。
12年間で5倍に増加した高齢者世帯のネットショッピングの利用
二人以上の世帯のうち高齢者世帯について、1世帯当たり1か月間のネットショッピングでの支出総額の推移をみると、平成26年は3,264円となり、調査を開始した14年(659円)からの12年間で5.0倍に増加しています。
また、ネットショッピングを利用した世帯割合をみると、平成26年は12.0%となり、14年(2.1%)からの12年間で5.7倍に上昇しています。若い世代の利用が多いと思われがちなネットショッピングですが、高齢者でも利用が増えていることがうかがえます。(図15)
医薬品・健康食品の支出割合が高い高齢者世帯のネットショッピング
二人以上の世帯のうち高齢者世帯について、平成27年1-6月期のネットショッピングで購入した品目・サービスの構成比をみると、「旅行関係費」が23.4%と最も高く、次いで「食料」の16.7%の順で高くなっています。実店舗よりも購入可能な商品・サービスの種類が多く比較も容易で、店頭販売よりも安価で購入できるというネットショッピングの特性を活用している様子が見てとれます。(表5)
また、ネットショッピングで購入した品目・サービスの構成比を、世帯主が65歳未満の世帯と比較をすると、「医薬品・健康食品」が1.67倍と最も高くなっており、次いで「保険」の1.44倍、「食料品」の1.21倍、「贈答品」の1.19倍、「旅行関係費」の1.16倍の順で高くなっています。(表5、図16)
このように、ネットショッピングを活用して、食事・サプリメントや保険などで健康管理に気を配り、旅行や友人・子供世帯と交流しつつ楽しんで暮らしている高齢者のすがたが見てとれます。
高齢者世帯の3割が電子マネーを利用
二人以上の世帯のうち高齢者世帯について、電子マネーを利用した世帯員がいる世帯の割合の推移をみると、平成26年は29.4%となり、20年(11.9%)からの6年間で2.5倍に上昇しています。
また、電子マネーを利用した1世帯当たり1か月間の平均利用金額の推移をみると、平成26年は11,609円となり、調査を開始した20年(9,560円)からの6年間で1.2倍と、緩やかではありますが着実に増加しています。若い世代の利用が多いと思われがちな電子マネーですが、高齢者でも利用が増えていることがうかがえます。(図17)
◆「家計消費状況調査」の詳しい結果は、こちら(http://www.stat.go.jp/data/joukyou/index.htm)を御覧ください。