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4.高齢者の家計
交際費、保健医療への支出割合が相対的に高い高齢者世帯
世帯主が65歳以上である二人以上の世帯(高齢者世帯)について、2017年の消費支出の10大費目別構成比を世帯主が65歳未満の世帯(非高齢者世帯)と比較すると、「保健医療」が1.69倍と最も高くなっています。内訳をみると、「健康保持用摂取品」が2.33倍と高くなっており、健康の維持・増進のため保健医療に費やす支出割合が高いという特徴がうかがえます。次いで「光熱・水道」が1.26倍、「食料」及び「家具・家事用品」が1.17倍などとなっています。(図16、表5)
「その他の消費支出」の内訳をみると、「交際費※)」が1.79倍と高くなっており、子や孫の世帯など世帯外への金品の贈与などが高くなっています。(表5)
また、高齢者世帯のうち世帯主が75歳以上の世帯の項目別の構成比の非高齢者世帯に対する倍率は、65歳以上の世帯と比較すると、「保健医療」で0.14高く、「交通・通信」で0.14低くなっています。(図16、表5)
※)「家計調査」における交際費とは、世帯外の人への贈答品・祝い金などのほか、接待用支出や職場、地域などにおける諸会費及び負担費。なお、「世帯」とは、住居及び家計を共にしている人の集まりのこと。
高齢者世帯の貯蓄現在高は1世帯当たり2386万円、中央値は1560万円
高齢者世帯の貯蓄現在高は、2017年は1世帯当たり2386万円となっています。貯蓄現在高の推移をみると、2014年は増加しましたが、2017年は2015年、2016年に続き3年連続の減少で、定期性預貯金などが減少しています。
なお、1世帯当たり平均の貯蓄現在高は、貯蓄額の高い世帯によって引き上げられます。そこで、貯蓄額の低い世帯から高い世帯へ順番に並べた際にちょうど中央に位置する世帯の値(中央値)をみると、2017年は1560万円となっています。(図17)
10年間で2.6倍に上昇した高齢者世帯のネットショッピングの利用
高齢者世帯について、ネットショッピングを利用した世帯割合をみると、2017年は18.2%となり、2007年(7.0%)からの10年間で2.6倍となっています。また、高齢者世帯のうち世帯主が75歳以上である世帯では、2017年に1割を超え、12.5%となりました。若い世代の利用が多いと思われがちなネットショッピングですが、高齢者でも利用が増えていることがうかがえます。(図18)
なお、二人以上の世帯全体では、2017年は34.3%となり、2007年(15.7%)からの10年間で2.2倍となっています。
医薬品・健康食品の支出割合が相対的に高い高齢者世帯のネットショッピング
高齢者世帯のネットショッピングの支出金額について、2017年の項目別の構成比をみると、「旅行関係費」が25.1%と最も高く、次いで「食料」が15.7%などとなっています。(表6)
また、ネットショッピングで購入した項目別の構成比を、非高齢者世帯と比較すると、「医薬品・健康食品」が1.64倍と最も高く、次いで「保険」が1.16倍、「食料」が1.14倍などとなっています。(表6、図19)
さらに、高齢者世帯のうち世帯主が75歳以上の世帯の項目別の構成比を、非高齢者世帯と比較すると、「医薬品・健康食品」は2.31倍と高くなり、「旅行関係費」は0.84倍と低くなっています。(表6、図19)