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統計調査結果の活用事例「統計は国民の共有財産」 平成27年版 経済センサス
経済センサス 周期:5年(基礎調査) 5年(活動調査)
目的:我が国の全産業分野における事業所及び企業の経済活動の実態や産業構造を全国的及び地域別に明らかにするとともに、事業所及び企業を調査対象とする各種統計調査の精度向上に資する母集団情報を得ることを目的とする。
※経済センサスは、事業所及び企業の基本的構造を明らかにする「経済センサス‐基礎調査」と事業所及び企業の経済活動の実態を明らかにする「経済センサス‐活動調査」の二つから成り立っています。
1 各種法令に基づく利用
地方税法
地方消費税の清算(地方税法第72条の114、同法施行令第35条の20、同法施行規則第7条の2の10及び12)
- 地方消費税は最終的に消費が行われた都道府県の税収となるよう、各都道府県の「消費に相当する額」に応じてあん分されています。この「消費に相当する額」は、地方税法施行令及び同法施行規則に定められた「消費に関連する指標」に基づいて計算されており、その指標の一つとして都道府県別の従業者数及びサービス業対個人事業収入額が利用されています。
地方消費税の市町村に対する交付(地方税法第72条の115、同法施行規則第7条の2の15)
- 清算の後に都道府県の収入となった地方消費税の1/2は、安定的な財政基盤確立のため、市町村へあん分して交付されています。あん分は、経済センサスで把握した各市町村の従業者数等に基づいて行われています。
2 行政上の施策への利用
1 経済政策
- 各省の審議会等において産業別構成比、中小企業に占める小規模企業数の割合、企業の業種別開廃業数など、経済政策に係る調査審議の基礎資料となっています。
2 環境政策
- 環境に有害なおそれのある化学物質の事業所からの排出・移動量の推計に利用されています。
- 工業用水の需給計画、下水道計画策定のための基礎資料となっています。
3 雇用政策
- 事業所の従業者数に基づく地域別、年度別の最低賃金引上げ率推移の把握に利用されています。
- 各地の労働基準監督署別に事業所数及び従業者数等を集計、地域別産業構造等の把握など労働基準行政に活用されています。
4 中小企業政策
- 中小企業の開廃業率等の地方別時系列集計による各指標から地域格差を把握しています。
- 中小企業事業資金融資斡旋事業のための基礎資料や中小製造業等設備投資補助金の制度設計に利用されています。
5 男女共同参画
- 女性が経営に参画する企業の従業者数等の調査・分析による、女性の社会活動進出のための支援施策立案のための基礎資料となっています。
6 各種補助金
- 国・自治体による業界・企業への産業振興策や助成政策などの策定のための基礎資料となっています。
7 地方創生施策
- 地域の産業・雇用創造チャートの作成により、各市町村の強みのある基盤産業を把握、地方創生に資する地域の現状分析に利用されています。
3 国民経済計算、産業連関表の推計への利用
- 国民経済計算における経済活動別就業者数の推計の基準改定に際し、産業別の従業者数の結果が利用されています。
- 国民経済計算における商品別出荷額等の推計に際し、製造品出荷額等の結果が利用されています。
- 産業連関表(基本表)の推計に際し、売上(収入)金額や費用総額及び費用内訳のほか、各事業における事業収入内訳等の結果が利用されています。
4 最近の白書等における分析での利用
1 中小企業白書
- 中小企業・小規模事業者の実態や構造を把握
- 小規模事業所の地方圏における雇用の受け皿としての役割の大きさについて分析
- 海外市場に挑戦する中小企業が増加傾向であると分析し、今後の海外展開の支援を模索
2 ものづくり白書
- 各産業集積地における製造品出荷額の推計を把握
5 地方公共団体における利用
1 産業振興施策
- 地域経済の現状把握や将来分析として、商店街等の活性化の目標値及び実数値の分析、大型店出店の影響分析を行うなど、地域産業振興施策立案の基礎資料として利用されています。
2 交通計画策定
- 小地域単位での事業所数、従業者数等の実態把握による交通路線整備、地下鉄需要、駐車場整備効果等の地域交通計画策定の基礎資料となっています。
3 経営改善指導
- 地域の商工会等において、小規模事業者に対する経営改善指導に当たる経営指導員等の設置のための算定の基礎資料となっています。
4 工業団地開発計画、企業誘致、中心市街地活性化基本計画の策定及び中山間地域活性化基本方針の策定
5 防災施策
- 地域防災計画の作成、地震被害想定調査の経済被害の算定資料として利用しています。
6 民間企業による利用
企業戦略の策定
- 地域ごとの既存店舗の状況を把握するなど、新規店舗の出店計画のための基礎資料となっています。
地域開発の広報資料
- 特定の業種の事業所数、従業者数等を把握し、地域の魅力をPRするための基礎資料として利用されています。
7 教育分野における利用
- 小・中学校の社会科の副読本(補助教科書)の参考資料として利用されています。
8 各種統計調査の母集団情報としての利用
- 経済センサスの結果は、平成25年から運用を開始した「事業所母集団データベース(ビジネスレジスター)※」に収録され、データベースの基盤情報として利用されます。事業所母集団データベース(ビジネスレジスター)は、我が国の全産業の事業所・企業を網羅したデータベースであり、正確かつ効率的な統計の作成及び統計調査における調査対象となる事業所・企業の負担軽減を図ることを目的として整備されるものです。
※事業所母集団データベース(ビジネスレジスター)は、経済統計を正確に作成するための名簿情報の提供・管理のための重要なインフラであり、各国においても経済統計の基盤として整備・運用されています。経済センサスなどの各統計調査の結果と行政記録情報(労働保険情報、商業・法人登記情報等)を統合し、経常的に更新を行い、全ての事業所・企業情報を捕捉し、最新の情報を保持するデータベースです。経済センサスの結果及び行政記録情報により作成した最新の母集団情報(年次フレーム)の提供を毎年行います。