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小売物価統計調査に関するQ&A(回答)
- 消費者物価指数については,「消費者物価指数に関するQ&A」を参照して下さい。
小売物価統計調査とは
1 小売物価統計調査はどのような調査なのですか?
小売物価統計調査は,国民の消費生活上重要な商品の小売価格,サービスの料金及び家賃を全国的規模で小売店舗,サービス事業所及び関係機関から毎月調査し,消費者物価指数(CPI)その他物価に関する基礎資料を得ることを目的として,1950年6月から小売物価統計調査を統計法(昭和22年法律第18号)に基づく「指定統計第35号」を作成するための調査として開始し,2009年4月から統計法(平成19年法律第53号)に基づく「基幹統計調査」として実施しています。
2 小売物価統計調査はどんなことを調べるのですか?
小売物価統計調査は,「価格調査」及び「家賃調査」に大別され,それぞれ,次のとおり調査しています。
- 価格調査は,全国の167市町村から選定した約28,000の小売店舗及び事業所から,約500品目の商品の価格又はサービス料金を調査しています。
(調査に当たっては,原則として,消費者が実際に購入している価格を調査します。)
- 家賃調査は,全国の167市町村から選定した約7,000事業所から,家賃の月額を調査しています。
3 小売物価統計調査の結果はどのように利用されているのですか?
小売物価統計調査の結果は,消費者物価指数(CPI)を作成するための基礎資料として利用されるほか,家計で消費される主要な消費財及びサービスの内外価格差の調査におけるデータや地方公共団体における消費者物価指数(CPI)の作成に利用されています。
〈参考〉
4 どうしても答えなければいけないのですか?
小売物価統計調査の基となっている統計法では,報告の義務に関する規定があります。また,報告をしない場合の罰則の規定もあります。
しかし,統計調査は,その趣旨を皆様にご理解いただくことによって成り立つものです。皆様のご回答なしには正確な統計はできませんので,調査の趣旨をご理解いただき,ご回答をお願いします。
※ 報告義務の規定については統計法(平成19年法律第53号)をご覧ください。
4-1 商品の価格は,店頭表示されていますが,報告義務を課して調査するのはどうしてですか?
店舗によっては,表示価格よりも安価で販売している商品もあることから,調査する価格は,商品についている値札や表示価格ではなく,店舗が消費者に販売している実売価格を調査しています。
このため,小売物価統計調査では,「小売物価統計調査規則(e-Gov)」において店舗の代表者等に報告義務を課して,消費者に販売している実売価格を聞き取ることにより,調査を実施しています。
調査方法について
5 小売物価統計調査はどのように行われるのですか?
小売物価統計調査は,総務省統計局が基本的な計画を立案し,都道府県を通じて実施していますが,調査の流れは次のようになっています。
- 総務省統計局は,都道府県に対して調査方法等の説明をします。
- 都道府県は,調査員に対して正しい調査を行うために必要な事項等について指導します。
- 調査員は,総務省統計局から調査に必要なデータを調査員端末に受信します。
- 受信後,店舗や事業所において価格・家賃等を聞き取り,調査員端末に入力します。
- 調査後,調査結果データを総務省統計局に送信します。
5-1 プライベートブランド(PB)商品は調査されていますか?
プライベートブランド(PB)商品については,調査の規定(同品質のものを比較できるよう,代表性,市場性,継続性などを考慮して「最も売れており,出回りが安定している」機能や商標等を「基本銘柄」として設定)に合致していれば,調査の対象となります。
したがって,調査店舗で,基本銘柄の規定に合致しているPB商品が最も売れていれば調査されることとなります。例えば,牛乳,食パン,食用油,果実飲料などの食料品では,多くの品目(約7割)でPB商品が基本銘柄に該当しており,調査対象に含まれています。
一方,特定の商品(商標)の市場占有率が高い,同一品質や同一規格の商品が他にないなどの一部品目については,特定の商品(商標)を基本銘柄としています。このような品目については,現段階では,PB商品が調査の対象となりませんが,基本銘柄については,随時見直しを行っているため,市場の状況等に変化が生じれば,このような品目においても,PB商品が調査の対象に含まれることとなります。
〈参考〉
PB商品とは,大手スーパーストアなどが自ら企画・開発し,ストア自身のブランドをつけて販売する商品
5-2 特売価格は調査されていますか?
小売物価統計調査では,価格の代表性の低い短期の特売(7日以内のもの)を除いて,特売価格も調査しています。
小売物価統計調査の価格は,消費者物価指数の計算に用いられています。消費者物価指数は,各品目の代表的な価格による,毎月の変動をとらえることを目的としています。したがって,調査日にたまたま行っていた短期間の特売価格は,必ずしも当月の当該品目を代表する価格とはいえず,このような価格を採用するとしたら,消費者物価指数は物価のすう勢を安定してとらえることが困難となります。また,通常,特売の対象となる商品(財やサービス)は,特定の銘柄に限られるため,調査品目の特売価格を調査することは,当該品目全体の価格の代表性という点からも注意が必要です。
6 調査対象はどのように選ばれるのですか?
小売物価統計調査は,「価格調査」及び「家賃調査」に大別されます。
「価格調査」及び「家賃調査」は,全国の167市町村を調査市町村とし,調査市町村ごとに,商品の価格及びサービス料金を調査する価格調査地区と,借家の家賃を調査する家賃調査地区を設けています。
- 価格調査
調査対象店舗等は,調査品目ごとに,各価格調査地区内で販売数量又は従業者規模等の大きい店舗の順に,価格取集数に応じた店舗を選定し調査店舗とします。 ただし一部の調査品目については,調査市町村内又は都道府県内に所在する店舗のうち利用者の多い順に,価格取集数に応じた店舗を選定しこれを調査店舗とします。 - 家賃調査
民営家賃については,各家賃調査地区内に所在する民営借家を賃貸している事業所を選定し,これを調査対象事業所とします。
公営家賃(公的住宅)については,公的住宅を管理している所管関係機関を調査対象とします。
6-1 調査対象にディスカウント店などは入っていますか?
ディスカウント店が「販売数量の多い代表的な店舗」である場合には調査店舗となります。
小売物価統計調査の調査対象店舗の選定に当たっては,まず,調査市町村ごとに,その人口規模に応じて決められた数の調査地区を設定します。次に,品目ごとに,各調査地区内で販売数量の多い代表的な店舗を選び,毎月,その店舗での販売価格を調査しています。なお,品目ごとに選んだ「販売量の多い代表的な店舗」は随時見直しを行うこととしています。
7 調査員はどのような人がどのような方法で選ばれるのですか?
調査員は,一般の人の中から,次の要件を考慮して選考され,都道府県知事が特別職の地方公務員として任命します。
- 関係書類の作成等の事務を適正に行うことができる者であること
- 原則として20歳以上の者であること
- 秘密の保持に関し信頼のおける者であること
- 選挙に直接関係ない者であること
- 税務・警察に直接関係ない者であること
公表時期について
8 調査の結果はいつごろ公表されるのですか?
小売物価統計調査では,主要品目の都市別小売価格(県庁所在市及び人口15万以上の市)を,原則として翌月の19日を含む週の金曜日に公表しています。また,東京都区部及び全国統一価格品目の価格を,原則として当月の26日を含む週の金曜日に公表しています。さらに,年平均価格については,毎年主要品目の都市別小売価格(県庁所在市及び人口15万以上の市)の3月分公表時に合わせて公表しています。
なお,「自動車ガソリン」の全国の都市(都道府県庁所在市及び人口15万以上の市)別小売価格については,2010年3月分から公表を早期化し,原則として,毎月20日までに前月分の結果を公表しています。
9 小売物価統計調査の「ガソリン」の公表が早期化された理由は何ですか?
2010年度税制改正大綱(平成21年12月22日閣議決定)において,国民生活を守るため,原油価格の異常な高騰が続いた場合は,ガソリン及び軽油について燃料課税(揮発油税・地方揮発油税)の本則税率を上回る課税を停止できるような法的措置を講ずることとされました。
これを受けて,指標となるガソリン価格の平均が,連続3か月にわたり,1Lにつき160円を超えることとなった場合には,燃料課税の本則税率を上回る部分の課税措置を停止する内容を含む所要の法改正がなされました。注)
「指標となるガソリン価格」としては,小売物価統計調査による「ガソリン」の全国の都市(都道府県庁所在市及び人口15万以上の市)別小売価格が使用されることとなっています。
このため,当該制度において,ガソリン価格の状況の判断が迅速に行えるよう,2010年3月分の結果から,「ガソリン」の全国の都市(都道府県庁所在市及び人口15万以上の市)別小売価格の公表を早期化することとしました。
(公表予定)
注) 当該課税措置の停止等に係る法令上の規定については,東日本大震災の復旧及び復興の状況等を勘案し,一時その適用を停止されています。
お答え頂いた内容の秘密保護について
10 調査に答えた内容が,他に漏れることはありませんか?
秘密の保護の徹底
小売物価統計調査は,統計法等の法令に基づいて行われます。
調査に従事する人(国・地方公共団体の職員,指導員,調査員)には,調査上知り得た秘密を他に漏らしてはならない守秘義務が課されています。また,調査票情報等の利用制限も定められており,秘密の保護の徹底が図られています。
また,報告された内容は,調査員端末に入力され,総務省統計局に送信されますが,調査員端末の操作や送信に当たって,外部に漏れることのないよう厳重に管理されています。
調査員への指導
個人情報の保護を一層徹底させるために調査員用に調査事務マニュアルを作成し,秘密保護等について指導を徹底しています。
その他
(調査銘柄に関すること)
11 基本銘柄とはどのようなものですか?
小売物価統計調査の調査品目は,家計調査の結果による当該品目への支出額が家計の消費支出総額の1万分の1以上であるかどうかを目安として選定され,さらに調査品目ごとに統計局長が一定の銘柄を指定して調査しており,これを「基本銘柄」といいます。
基本銘柄は,品目ごとに品質,性能,特性(特徴)を規定し,規定された商品を一定して,かつ全国で調査できるように設定しています。これは,調査品目の品質や機能の差を除いて純粋な価格変化を的確に把握するためです。
これを誤ると,価格が値上げ・値下げによって変動したのか,調査した銘柄が異なるために変動したのか分からなくなってしまいます。
(詳しくは「12 基本銘柄の設定はどのようにして行われるのですか?」を参照)
12 基本銘柄の設定はどのようにして行われるのですか?
調査品目の中には数種類から数十種類の商品があり,その商品の中には消費者が多く購入するものもあれば,あまり購入しないものもあります。小売物価統計調査では,一般消費者が最も多く購入している商品(家計における消費割合が高い銘柄)を選ぶことを前提としています。
例えば,「電気冷蔵庫」でいいますと,製造販売している大手の会社だけでも数社あり,その種類も「冷凍冷蔵庫」と「冷蔵庫」に分けられます。また,定格内容積による容量の違いや,ドア数も2ドアから6ドアまで,様々な商品があります。このように様々な商品の中から基本銘柄を設定する場合,調査品目の品質や機能の差を除いて純粋な価格変化を的確に把握するために,以下の四つの設定基準を満たすようにメーカー情報や業界の資料,市場における出回り状況を基に検討した上で基本銘柄を設定しています。
- 代表性 その品目の価格変動を代表する銘柄
- 市場性 全国的に出回っている銘柄
- 継続性 継続的に調査が可能な銘柄
- 実地調査の容易性 調査員が識別しやすい銘柄
(調査の対象に関すること)
13 私たちの身の回りには多くの商品やサービスがあるのに,小売物価統計調査の調査品目数は少なすぎませんか?
小売物価統計調査の調査品目は,約500品目ですが,この選定基準は,原則として家計調査の結果,その品目への支出額が家計の消費支出総額の1万分の1以上であることとしています。1万分の1以上の品目をすべて調査品目としますと,品目数は相当な数になりますが,これらの品目を類型別にグループ化してみると,そのグループごとの値動きを知るのに,必ずしもすべての品目を調べる必要のないことが分かります。例えば,果物関係では現在,16品目を調査しています。この16品目の類における代表度(家計の果物類における支出金額全体に対する果物関係の調査品目の支出金額の割合を,果物類の代表度と呼んでいます。)は80%以上あり,更に品目数を増やしたとしても,重要度の小さい品目が増えるだけで,果物類全体の値動きを知るには16品目で十分であるといえます。
(その他)
14 小売物価統計調査では全国平均価格は算出しないのですか?
小売物価統計調査では,調査品目ごとに全国に共通する一定の銘柄を設定し,原則として167市町村でこれを継続的に調査することにしています。これは,一定の銘柄の月々の価格の動向を正確に,かつ,継続的に把握するためです。
しかし,調査市町村によっては,この全国に共通する銘柄が出回っていないときがあります。そのような場合は,その市町村を代表する銘柄を市町村銘柄として設定し,調査を行うことにより,月々の動向を把握しています。このように,ある市町村では,全国的に共通しない銘柄を調査しているため,これらの異なった銘柄の価格を含めた全国平均価格を算出しても,どの銘柄の全国平均価格なのか分からないので,全国平均価格を算出する意味がありません。
したがって小売物価統計調査では,全国平均価格を算出していません。
(「市町村銘柄」とは,気候風土,食文化の違いや専ら地元の特産等が消費される場合などに,品質,規格,容量などが基本銘柄に最も近く,かつ出回りが多く,継続的に調査できる銘柄を市町村ごとに設定します。)
15 新型コロナウイルス感染症が発生している中で、小売物価統計調査は、どのように実施していますか?
小売物価統計調査の結果は,感染症による社会経済への影響を知る上でも必要不可欠なため、感染防止に最大限留意した上で、継続して調査を実施しています。
店舗の休業などにより調査ができなかった場合には、調査できた価格のみを用いて都市別小売価格を公表します(1価格も調査できなかった場合は「−」で表章します)。