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家計調査収支項目分類の基本原則
目次
1 収入の分類
(1) 収入総額
(2) 実収入
(3) 実収入以外の収入
(4) 繰入金
2 支出の分類
(1) 支出総額
(2) 実支出
(3) 消費支出
(4) 非消費支出
(5) 実支出以外の支出
(6) 分割払い購入・一括払い購入
(7) 繰越金
3 現 物
(1) 品目分類
(2) 用途分類
(3) 品目分類と用途分類の差異
(1) 教育関係費
(2) 教養娯楽関係費
6 財・サービス区分
収支項目分類の基本原則
1 収入の分類
(1) 収入総額
「収入総額」の項は「実収入」,「実収入以外の収入」及び「繰入金」から成る。これは,「支出総額」と一致する。
(2) 実収入
「実収入」とは,勤労や事業の対価としての現金収入(税込み)を合計したもの及び当該世帯外より移転された収入であり,「経常収入」と「特別収入」から成る。「経常収入」とは,家計の消費行動に大きな影響を与える定期性あるいは再現性のある収入であり,「勤め先収入」,「事業・内職収入」及び「他の経常収入」から成る。
「特別収入」は,それ以外の収入で,「受贈金」及び「その他」から成る。
(3) 実収入以外の収入
「実収入以外の収入」とは,預貯金引出し,財産売却,保険取金,借入金など手元に現金が入るが,一方で資産の減少,負債の増加を生じるものであり,分割払いや一括払いでの購入額も含む。
(4) 繰入金
「繰入金」とは,前月の月末における世帯の手持ち現金である。
2 支出の分類
(1) 支出総額
「支出総額」の項は,「実支出」,「実支出以外の支出」及び「繰越金」から成る。これは,「収入総額」と一致する。
(2) 実支出
「実支出」は,「消費支出」と「非消費支出」から成る。
(3) 消費支出
「消費支出」とは,原則として日常の生活を営むに当たり必要な商品やサービスを購入して支払った現金支出及びカード,商品券等を用いた支出であるが,仕送り金や贈与金等の移転的支出も含まれる。なお,商品やサービスの購入と一体となって徴収される消費税,自動車取得税等も消費支出に含まれる。
「消費支出」は支出の目的により,食料,住居,光熱・水道,家具・家事用品,被服及び履物,保健医療,交通・通信,教育,教養娯楽及び「その他の消費支出」に大別している。
なお,自動車を買い換えた場合には,新たな自動車の購入金額から所有していた自動車の下取り金額を控除した額を「自動車購入」への支出として計上している。
(4) 非消費支出
「非消費支出」とは,税金や社会保険料など世帯の自由にならない支出及び借金利子などから成る。
(5) 実支出以外の支出
「実支出以外の支出」とは,預貯金預け入れ,投資,資産購入,借金返済等手元から現金が支出されるが,一方で資産の増加あるいは負債の減少を生じるものである。
(6) 分割払い購入・一括払い購入
リボルビング払いなどの分割払いやクレジットカードによる翌月一回払い・ボーナス一括払いで商品やサービスを購入した場合には,借金をして購入したと考える。
分割払いによる購入については,「実収入以外の収入」の「分割払購入借入金」に購入金額の全部を計上するとともに商品やサービスの購入として「消費支出」の該当項目に分類する。クレジットカードによる翌月一回払いやボーナス一括払いによる購入については,「実収入以外の収入」の「一括払購入借入金」に購入金額の全部を計上するとともに,「消費支出」の該当項目に分類する。
その後,分割払いの2回目や3回目の支払いをした場合には「実支出以外の支出」の「分割払購入借入金返済」に,クレジットカードによる翌月一回払いやボーナス一括払いの銀行口座からの引き落としがあった場合には「実支出以外の支出」の「一括払購入借入金返済」に分類する。
ただし,上下水道料,電気代,ガス代,新聞代など月ぎめ購入で代金を一括して支払うものについては,代金を支払ったときに現金で購入したものとする。
(7) 繰越金
「繰越金」とは,当月末における世帯の手持ち現金である。
3 現 物
「現物」とは,外部からのもらい物,自家菜園の産物などである。これらは,まず「現物収入」として収入の該当する項目に分類され,同時に「現物支出」として支出の該当する項目に分類されるが,「収入総額」,「支出総額」には含めず別に分類する。
なお,購入金額の一部を勤務先又は他人が負担しているために安い価格で購入した場合も,その負担された分を現物として取り扱う。ただし、持家世帯の帰属家賃(家を借りていると仮定した場合に支払うべき家賃額)は含めない。
また,商店を営んでいる世帯での自分の店の商品の家計への転用は,現金収支として取り扱う。
4 品目分類と用途分類
「消費支出」は品目分類と用途分類の二通りの方法によって分類されている。
(1) 品目分類
「品目分類」は世帯が購入した商品及びサービスを同一商品は同一項目に分類し,さらに,項目を使途に着目してまとめていく方法である。
しかし,商品の使途という場合,その見方は多様であり,一つの分類体系にまとめあげるのは困難である。このため,この分類では教育,旅行,冠婚葬祭については次のような特別な規定を設けてあるので利用に当たっては注意が必要である。
ア 教育の場合
「教育」に分類されるものは授業料,受験料,入学金,学級費,修学旅行費,PTA会費,教科書,学習参考教材,補習教育月謝などに限られ,ノート,鉛筆などの文房具,学習用机,本箱などは「教養娯楽」に,通学服,学帽などは「被服及び履物」に,ランドセル,学生かばんなどは「諸雑費」の中の「身の回り用品」に,通学定期代などは「交通・通信」に,給食は「食料」の中の「外食」に各々分類される。(後述の「教育関係費」参照)
イ 旅行の場合
「宿泊料」に分類されるのは宿泊と明記されているものに限られ,旅行の際の電車賃,バス代等は「交通・通信」に,拝観料などは「教養娯楽」の「入場・観覧・ゲーム代」に分類される。しかし,パック旅行の費用や,旅行費用として一括して記入されている場合は「パック旅行費」に分類される。
ウ 冠婚葬祭の場合
「婚礼関係費」,「葬儀関係費」,「他の冠婚葬祭費」に分類されるものは挙式費用,葬儀費用,祈とう料,七五三費用などに限られる。このほかの,例えば,新婚生活のために購入した衣服は「被服及び履物」,装身具は「身の回り用品」,調度品は「家具・家事用品」,新婚旅行のための交通費は「交通・通信」というように各々の項目に分類される。ただし,新婚旅行の
費用であっても,旅行費用として一括記入されているものは便宜,「パック旅行費」に分類される。
(2) 用途分類
家計調査でいう「用途分類」は,購入した商品及びサービスの用途に従って分類する方法である。商品やサービスを,まず世帯内で使うか,世帯外の人のために使うかによって大別し,世帯内で使う分については「品目分類」によって分類する。世帯外の人のために使う用途としては贈答用,接待用,仕送り用,寄付用,謝礼用などがあるが,用途分類では贈答用と接待用の商品及びサービスだけを取り上げて「交際費」としてまとめ,仕送り用,寄付用,謝礼用の商品及びサービスなどは世帯内で使う分に合わせて分類される。
なお,購入した商品又はサービスを世帯内で使うか、世帯外の人のために使うかの区別は購入時で決め,その後の変更は考慮していない。
(3) 品目分類と用途分類の差異
家計調査の品目分類と用途分類は,上に述べた方法によって行っているので,例えば,贈答用として購入した菓子は,品目分類ではその用途のいかんにかかわらず「食料」の中に分類されるが,用途分類では贈答用として「交際費」の中に分類されている。したがって,いずれの分類によっても家計支出の総額は変わらず,品目分類と用途分類との差異は家計支出の内訳の交際費に関する部分のみとなり,品目分類による各中分類の支出金額からそれぞれに該当する用途分類の各中分類の支出金額を差し引いた差額は交際用に使用された分であって,その合計は用途分類の「交際費」に一致する。
用途分類は主として家計収入との関連において消費者の行動の分析に用いられ,品目分類は約550の詳細な項目に分けられて結果表章し,個々の品目の消費動向の分析に用いられる。
詳細については,「収支項目分類」を参照されたい。
5 教育関係費と教養娯楽関係費
(1) 教育関係費
大費目の「教育」は,授業料等,教科書・学習参考教材及び補習教育に伴う支出のみであるため,それに教育に直接的,間接的に必要とされる諸経費を加えて教育関係費としている。
●教育関係費:教育(項目符号770〜790),学校給食(39X),
男子用学校制服(565),女子用学校制服(575),
鉄道通学定期代(731),バス通学定期代(734),
書斎・学習用机・いす(807),通学用かばん(925),
他の紙製品(826)及び他の文房具(829)を除く
文房具(821,825,827,828),国内遊学仕送り金(980)
(2) 教養娯楽関係費
レジャー関係の支出をとらえる目的で集計しているもので,次の品目の支出額を加えて教養娯楽関係費としている。
●教養娯楽関係費:大費目の教養娯楽(項目符号801〜889・88X)から,
書斎・学習用机・いす(807),文房具(821〜829),
自動車教習料(873)を除いた全項目,
室内装飾品(492),鉄道運賃(730),バス代(733),
航空運賃(737),旅行用かばん(926),つきあい費(971)
6 財・サービス区分
消費支出を財(商品)とサービスとに分けたもので,財については,さらに,耐久度により耐久財,半耐久財及び非耐久財の3区分に分類している。いずれの項目がどの区分に該当するかについては,「収支項目分類」を参照されたい。
なお,財・サービス区分及び上記「5」の教育関係費,教養娯楽関係費は,いずれも品目分類の結果から集計している。
用語の説明