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家計調査の概要
目次
1 調査の対象
2 調査世帯の選定
(1) 抽出単位
(2) 調査市町村の選定
(3) 調査市町村の交替
(4) 調査世帯数の決定とその配分
(5) 調査単位区の選定と交替
(6) 調査世帯の選定と交替
3 調査方法
(1) 調査の流れ
(2) 調査期間
(3) 調査事項と調査方法
4 集計方法
(1) 集計の手順
(2) 推定式(非農林漁家世帯)
(3) 推定値の標本誤差
5 結果表
(1) 概要
(2) 地域区分
(3) 表側区分
6 結果の公表
7 家計調査の沿革
(1) 消費者価格調査(CPS)の時期(昭和21年7月〜25年8月)
(2) 消費実態調査の時期(昭和25年9月〜27年12月)
(3) 家計調査(拡大改正前)の時期(昭和28年1月〜37年6月)
(4) 家計調査(拡大改正後)の時期(昭和37年7月〜現在)
調査の概要
家計調査は,全国の全世帯(単身世帯を除く。)を対象として家計収支の調査を行い,都市別,地域別,収入階級別,そのほか世帯の特性による集計結果によって,国民生活の実態を毎月明らかにし,国の経済政策・社会政策の立案のための基礎資料を得ることを目的としている。
家計調査は,国が行う重要な統計調査として統計法の規定に基づく指定統計第56号を作成するための調査になっており,家計調査規則
(昭和50年11月12日総理府令第71)に従って実施されている。
この調査は,昭和21年7月に始められた消費者価格調査から発展したもので,37年7月に調査対象地域が全国の市町村に拡大(拡大改正)されるまで,何回かの改正が行われた。この「家計調査の概要」は,拡大改正後のものである。なお,拡大改正前の調査の概要については,昭和37年家計調査年報を参照されたい。
1 調査の対象
家計調査は単身世帯を除いた全国の世帯について行っている。
また,次に掲げる世帯は世帯としての収入と支出を正確に計ることが難しいことなどの理由から,除外している。
(1) 外国人世帯
(2) その他
ア 料理飲食店,旅館又は下宿屋(寄宿舎を含む。)を営む併用住宅の世帯
イ 賄い付きの同居人がいる世帯
ウ 住み込みの営業使用人が4人以上いる世帯
エ 世帯主が長期間(3か月以上)不在の世帯
2 調査世帯の選定
標本設計の資料としては,平成7年国勢調査の結果を用い,単身世帯を除く一般世帯について標本設計を行った。
(1) 抽出単位
調査世帯の抽出には,層化3段抽出方を用いた。第1次抽出単位として市町村,第2次抽出単位として調査単位区(原則として,平成7年国勢調査のために設定された調査区で,隣接する2調査区を1調査単位区とする。以下「単位区」という。),第3次抽出単位として世帯をとった。
(2) 調査市町村の選定
全国を168層(昭和52年12月以前は170層)に分け,単身世帯を除く一般世帯の数に比例した確率比例抽出により各層から1市町村を選定した。
層別の方法は,次のとおりである。
各都道府県庁所在市,川崎市及び北九州市については,それぞれを1層とした。それ以外の市町村については,まず市部と郡部(町村)に分け,市部は,さらに, 次の基準によって71層に分割した。
ア 地方・・・・
- 北海道
- 東 北(青森県,岩手県,宮城県,秋田県,山形県,福島県)
- 関 東(茨城県,栃木県,群馬県,埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県,山梨県,長野県)
- 北 陸(新潟県,富山県,石川県,福井県)
- 東 海(岐阜県,静岡県,愛知県,三重県)
- 近 畿(滋賀県,京都府,大阪府,兵庫県,奈良県,和歌山県)
- 中 国(鳥取県,島根県,岡山県,広島県,山口県)
- 四 国(徳島県,香川県,愛媛県,高知県)
- 九 州(福岡県,佐賀県,長崎県,熊本県,大分県,宮崎県,鹿児島県)
- 沖 縄(沖縄県)
の10地方
イ 都市階級・・
- 人口15万以上100万未満の市(中都市)
- 人口5万以上15万未満の市(小都市A)
- 人口5万未満の市(小都市B)
の3階級
ウ 非農林漁家世帯数比率
(世帯員が2人以上の一般世帯に対する非農林漁家世帯の割合)
エ 人口増加率
(平成2年から平成7年までの5年間の人口増加率)
オ 人口集中地区人口比率
カ 産業的特色
(事業所総数に対する第2次及び第3次産業の事業所数の割合)
郡部は,市部と同様,まず地方によって10地域に区分した後,地方別に地理的位置(海沿い,山地等),非農林漁家世帯数比率,人口増加率によって,48層に分けた。
昭和37年7月の拡大改正時には,昭和35年国勢調査の結果に基づいて層の設定を行ったが,その後の人口の移動,市町村の廃置分合,都市階級の変更などを補正するため,43年,47年,53年,58年,63年,平成5年及び10年の7度にわたり国勢調査の結果などを用いて層の一部修正を行っており,昭和53年以降の層の数,すなわち調査市町村数は168となっている。
(3) 調査市町村の交替
家計調査の調査市町村については,昭和37年7月の拡大改正以来しばらくの間は固定して調査してきたが,41年からは,定期的に町村の交替を行うこととした。平成12年に交替した調査町村名については「付録 調査市町村交替等の経緯(平成12年)」を参照されたい。調査市は原則として固定している。
(4) 調査世帯数の決定とその配分
調査世帯数の決定及びその調査市町村への配分は,次に示す結果利用上の観点,実査上の制約を考慮して行われた。
結果利用上の観点
ア 全国平均及びその世帯階層別(所得階層別,職業別など)月別増加率をみる。また,都市階級別平均及び地方別平均の年平均増加率をみる。
イ 都道府県庁所在市別平均の年平均増加率をみる。
実査上の制約
ア 1調査員が2単位区,12世帯を調査する。
イ 調査世帯は6か月間調査され,7か月目に他の世帯と交替するが,その交替は1単位区,6世帯を単位として行われ,全国で毎月6分の1ずつ行う。
調査世帯数は8,076世帯とし,その調査市町村への配分は,原則として,表1のように行った。なお,大都市を除く県庁所在市には96世帯を配分した。(調査市町村については,「付録 調査市町村一覧表」参照)
なお,沖縄県については,経済開発施策等の基礎資料に用いるため,一つの地方として結果表章する必要があることから,抽出率を他府県より高くし,276世帯を選定してある。
表1 調査世帯数の割当て
地域 |
調査市町村数 |
調査世帯数 |
抽出率 |
全国 |
168 |
8,076 |
― |
まず,調査市町村内の全域(平成7年国勢調査調査区のうち,特別調査区<特別な施設のある地域等>,水面調査区<水上生活者がいる地域等>などを除く一般調査区全域)を,国勢調査調査区を単位として,当該市町村に配分された調査員の数と同数の地域に分割する。分割に当たっては,分割された各地域に含まれる調査対象世帯数がほぼ同数になるようにしている。分割された一つの地域が1調査員が担当する地域範囲となる。
分割した地域について,調査対象世帯数が1,500以上3,000未満になるように区分して複数のブロックを設定し,それらのブロックから1ブロックを任意抽出する。この抽出されたブロックから,一定の方法により二つの単位区を設定する。単位区は,1年に1回交替しブロック内で単位区の交替が終わった場合は,次のブロックに進み,単位区の交替を同様に行う。
調査員は,選定された単位区内を実地踏査して,単位区内に居住するすべての世帯をリストした「単位区世帯名簿」(GIF:104KB)を作成する。この名簿から,調査対象外の世帯を除外して,農林漁家世帯,勤労者世帯及び勤労者以外の世帯別に,「調査世帯抽出番号表(乱数表)」(GIF:116KB)を用い,調査世帯を選定する。なお,農林漁家世帯,勤労者世帯及び勤労者以外の世帯の割当世帯数は,単位区内の農林漁家世帯,勤労者世帯及び勤労者以外の世帯の数に比例して6世帯を案分する。
調査世帯は6か月間調査され,7か月目に同一単位区内で他の世帯(調査世帯抽出番号表を用いて選定する。)と交替する。交替に先立って調査員は再度単位区内を実地踏査し単位区世帯名簿を補正する。1年間調査すると単位区そのものを交替する。
3 調査方法
(1) 調査の流れ
調査は,総務庁統計局を実施部局として,次の流れにより行っている。
総務庁長官―都道府県知事―統計調査員(指導員)―統計調査員(調査員)-調査世帯
(2) 調査期間
調査は毎月行う。調査世帯は,原則として6か月間継続して調査され,毎月6分の1ずつが,順次,新たに選定された世帯と交替する。また,単位区は1年間調査され,毎月12分の1ずつが新たに選定された単位区と交替する。
(3) 調査事項と調査方法
調査は,「世帯票」,「家計簿」及び「年間収入調査票」の3種の調査票を用いて行う。
ア まず,調査を行う世帯の世帯員及び住居に関する事項を「世帯票」(GIF:137KB)によって,調査員が質問して調査する。
イ その後,6か月間,勤労者世帯及び勤労者以外の世帯のうちの無職世帯については,家計上の収入及び支出を,勤労者以外の世帯(無職世帯を除く。)については,家計上の支出のみを,調査世帯が日々「家計簿」(GIF:104KB)に記入する。
記入は,品目ごとに,購入金額のみならず購入数量も記入する。購入数量は,総務庁から配布された「はかり」を用いて量る。なお,家計簿は1か月を2期に分け,月2冊を調査世帯に配布し,半月ごとに調査員が収集する。
ウ 記入開始後1か月目の後半に調査世帯が自ら「年間収入調査票」(GIF:135KB)に記入することによって記入開始月を含む過去1年間の収入を調査する。
エ 調査をどうしても引き受けられない世帯の場合には,世帯員及び住居に関する事項と1か月間の家計費総額を「準調査世帯票」(GIF:135KB)によって調査員が質問して調査する。
4 集計方法
(1) 集計の手順
調査票は調査員が取り集め,都道府県統計主管課で審査した後,総務庁統計センターに送付される。統計センターでは調査票を受付後,家計簿については1行1行の記入に対し「収支項目分類」に従って内容審査と同時に分類格付けを行う。この収支項目分類の項目数は約550項目にのぼる。分類格付けされた調査票の内容は,統計センターの電子計算機によって集計される。
(2) 推定式(非農林漁家世帯)
全国平均や地方別平均の推計は,市町村(層)別に調査世帯の抽出率が異なるため,世帯数が母集団の大きさの323分の1になるように定められた市町村別調整係数を集計世帯の収支項目ごとに乗じて行う。
月平均の推定式は次のように表される。
ここでXnij:n月におけるi市町村,j世帯のある項目の金額又は数量
Ki:i市町村の調整係数
Hni:n月におけるi市町村の集計世帯数
_
Xn:n月における全国,地方別,階級別などのある項目の平均の金額又は数量
また,年平均は月別結果の単純平均として算出する。(ただし,昭和42年,43年は月別の調整集計世帯数に基づく加重平均により算出した。)
年間収入五分位階級別データの年平均値は,年間収入五分位階級別の月別結果を単純平均したものである。(昭和47年までは,年間収入階級別の年平均結果から年平均五分位を算出した。)
なお,「世帯人員」,「有業人員」及び「世帯主の年齢」の年平均もそれぞれ月別結果の単純平均で求めている。
(3) 推定値の標本誤差
平成12年10月調査分の集計データを用いて,平均値すなわち公表値に対する標本誤差の推定を行った結果は表2のとおりである。
表2 収支金額の標準誤差率(%)
(非農林漁家世帯)
|
全世帯 |
勤労者世帯 |
|||||
全 国 |
|
全 国 |
|||||
大都市 |
中都市 |
小都市A |
小都市B |
町 村 |
|||
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(注)
5 結果表
(1) 概要
平成12年の結果表は,「付録 結果表一覧」に示されているとおりである。全世帯については支出のみ,勤労者世帯及び無職世帯については収入と支出のデータが集計されている。消費支出は,用途分類と品目分類の二通りの分類方法に従って集計されており,結果表には,用途分類による結果表と品目分類による結果表の2種類がある。また,結果表は,毎月集計されるものと,年1回だけ集計されるものとに分けられる。
結果表章で最小単位の地域区分は市町村であり,この市町村別の結果をまとめて,都市階級別,地方別及び大都市圏別の結果を集計している。
都市階級の分類基準は,次のとおりである。
大都市・・・人口100万以上の市
札幌市,東京都区部,横浜市,川崎市,名古屋市,京都市,大阪市,神戸市,広島市,北九州市,福岡市
中都市・・・人口15万以上100万未満の市
小都市A・・人口5万以上15万未満の市
小都市B・・人口5万未満の市
また,「人口5万以上の市」とは,大都市,中都市及び小都市Aをまとめたものである。人口の大きさは平成7年国勢調査時のものである。
なお,調査市がどの都市階級に属しているかは,「付録 調査市町村一覧表」に掲載されている。また,「付録 調査市町村交替等の経緯(平成12年)」も参照されたい。
地方の分類基準は次のとおりである。
- 北海道地方・・・北海道
- 東北地方・・・・青森県,岩手県,宮城県,秋田県,山形県,福島県
- 関東地方・・・・茨城県,栃木県,群馬県,埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県,山梨県,長野県
- 北陸地方・・・・新潟県,富山県,石川県,福井県
- 東海地方・・・・岐阜県,静岡県,愛知県,三重県
- 近畿地方・・・・滋賀県,京都府,大阪府,兵庫県,奈良県,和歌山県
- 中国地方・・・・鳥取県,島根県,岡山県,広島県,山口県
- 四国地方・・・・徳島県,香川県,愛媛県,高知県
- 九州地方・・・・福岡県,佐賀県,長崎県,熊本県,大分県,宮崎県,鹿児島県
- 沖縄地方・・・・沖縄県
大都市圏は,平成7年国勢調査による通勤・通学人口を基に設定された大都市圏に属する市町村のうち,家計調査の対象市町村のデータをまとめたもので,京浜葉大都市圏,中京大都市圏,京阪神大都市圏及び北九州・福岡大都市圏の4大都市圏が設けられている。(各大都市圏に属する市町村については「付録 調査市町村一覧表」参照)
用途分類の結果表では,収入と支出の代表的な項目だけを掲載している。この報告書においては用途分類の結果表のうち,「住居の所有関係別」の結果表では「畳数」を,「年間収入階級別」 の結果表では「年間収入」を,「世帯人員・世帯主の年齢階級別」,「世帯類型別」の結果表では「18歳未満人員」,「65歳以上人員」,「持家率」を,また,「世帯主の就業状態別」の結果表では「持家率」を追加して掲載している。
品目分類の結果表では,消費支出の全項目を掲載している。
6 結果の公表
調査の結果は,勤労者世帯結果については,原則として調査月翌月末に,全世帯結果については,翌々月の5日前後に「速報」として公表され,「確報」は印刷物として公表される。刊行物としては,月別の結果を収録する「家計調査報告」(月報),年平均の結果を収録する「家計調査年報」が刊行されている。そのほか, 戦前,戦後の家計調査の結果を編集した「戦後10年の家計」,拡大改正以前の結果を取りまとめた「家計調査総合報告書」,「家計調査総合報告書」に続く報告書である「昭和38年〜50年の家計」,季節調整済み系列を収録した「昭和40年〜50年の家計調査の月次系列」,昭和22年から61年までの40年間の家計調査の結果を集大成した「家計調査総合報告書 昭和22年〜61年」などが刊行されている。
7 家計調査の沿革
戦後の家計調査の沿革をみると,次の四つの時期に分けることができる。
(1) 消費者価格調査(CPS)の時期(昭和21年7月〜25年8月)
この調査は,消費者が購入する商品やサービスの価格調査として始められたものであるが,通常の価格調査とは異なり,商品やサービスの価格を小売店舗の側からではなく消費者の側から調査するという,むしろ家計調査に近いものであった。全国の市に居住する世帯を対象とし,28市から約5,600世帯を選び,日々の買物について,その価格,購入数量,支出金額を調査した。
そこから世帯が実際に購入している価格である実効価格を計算して,消費者物価指数を作成した。同時に,世帯の支出に関しても家計調査とほぼ同じ性質の結果を得ることができた。しかし,収入に関してはこの調査からは得られなかった。
昭和25年9月から,消費者価格調査に勤労者世帯収入調査(昭和23年7月開始)を吸収し,同一世帯について収支両面を調査する本来の家計調査の形に切り換え,26年11月から名称を消費実態調査と改めた。また,これを機会に標本設計を全面的に改正し,それまでの調査市28市のうち8市を変更し,調査世帯数を約4,200世帯とした。また,消費者物価指数の作成のための価格の調査も昭和25年6月から小売店舗から調査するという本来の物価調査の方法に改め,小売物価統計調査を別個に開始した。
(3) 家計調査(拡大改正前)の時期(昭和28年1月〜37年6月)
昭和28年1月からは,家計収支の分類方法を品目分類から用途分類に変え,品目分類については,それまでの系列と接続させるため,調査世帯のうち3分の1の標本について集計を続けた。
また,調査方法も若干改正し,名称も同年4月に家計調査と改めた。
(4) 家計調査(拡大改正後)の時期(昭和37年7月〜現在)
昭和37年7月から,標本設計を全面的に改正し,母集団地域を郡部にまで広げ,調査市町村数,調査世帯数も従来の28市,約4,200世帯の規模から170市町村,約8,000世帯に拡大し,調査方法も若干改正した。なお,昭和37年12月分までは,拡大改正前の標本設計による調査市の結果を正規のものとして公表していたので,拡大改正後の結果は38年1月分から利用できる。
昭和47年7月から沖縄県が家計調査に繰り入れられ,48年1月分から沖縄県の結果が全国の結果に算入されている。
また,昭和56年1月からは収支項目分類を大幅に改正し,消費支出の5大費目分類を10大費目分類とした。このため,一部の項目を除き従来の5大費目分類による結果は昭和56年1月以降接続しないことから,調査結果の有効活用を図り,利用者のニーズに対応するため,基本的な年次別結果については38年以降,月次別結果については45年以降の結果を新分類に組み替えて作成してある。
平成11年7月から農林漁家世帯を調査対象に含めることとし,12年1月から従来の非農林漁家世帯結果に加え,農林漁家世帯を含めた結果を公表している。