ここから本文です。
統計Today No.22
平成22年国勢調査の実施に向けて(4)
−「平成22年国勢調査実施計画」の公表−
総務省統計局統計調査部国勢統計課長 加藤 耕二
来る10月1日を期して実施する平成22年国勢調査について、4月13日、原口総務大臣が「実施計画」を公表しました。これは、国勢調査の基本事項を定めた「国勢調査令」の一部改正の公布・施行(4月1日)を受けて、今回の国勢調査への取組方針と具体的な実施方法を取りまとめたものです。
「正確・円滑な調査と精度の高い統計をめざして」を目標とする、この「平成22年国勢調査実施計画」(PDF:2.75MB) (右下の絵をクリック)から、今回の国勢調査の意義や調査方法の主なポイントを紹介します。
平成22年国勢調査の意義・役割
−本格的な人口減少社会の下での初めての国勢調査

去る4月16日に公表された人口推計(総務省統計局)によると、平成21年10月1日における日本の人口は1億2751万人で、平成20年からの1年間で18万人の減少、平成17年国勢調査(1億2777万人)と比べると26万人の減少となっています。日本は、いよいよもって「本格的な人口減少社会」に入ったようです。
戦後の日本において、人口減少社会は初めてのことで、今後、国・地方公共団体の行政でも、企業・団体の経営管理でも、私たち世帯・個人の生活でも、国や地域の将来を見据えた新たな対応が求められることになります。この新たな対応の方向性を考えていくには、基礎となるしっかりしたデータがなくてはなりませんが、その第一歩は何といっても、国や地域の社会経済の現状を正しく知ることにほかなりません。
平成22年国勢調査は正にこのための役割を担うもので、国と地域がどのようになっているのか、最新の実態が明らかにされる調査結果(「集計体系」(エクセル:29KB) を参照)が、各方面から注目されているところです。(国勢調査から分かることの例は「統計Today No.21」を参照)
平成22年国勢調査の実施への取組
−新たな手法を導入し正確・円滑な調査をめざして
国勢調査では、これまで調査員が各世帯に調査票を配布し、調査票に記入漏れ・誤りがないかを確認した上で回収する方法で行っていましたが、今回の調査は、国民意識や生活様式の多様化・変化を踏まえ、調査方法の見直しを行って実施することにしました。(詳しくは「統計Today No.15」を参照)
国勢調査は、世帯の居住の実態に即して調査するものであるため、調査票の配布について、調査員が担当する世帯を現場で確認した上で行う必要があり、この点は今回の調査でも変わりはありません。
一方、調査票の回収については、国民の個人情報保護意識などに配慮し、調査票の封入提出方式を全面的に導入するとともに、新たに郵送提出方式も加えることにしました。したがって、世帯の皆様が調査票を提出するに当たっては、調査票を封筒に入れ封をして調査員にお渡しいただくか、最寄りの郵便ポストに投かんして市区町村に提出していただくことになります。どちらの方法にするかは、世帯の方に選択していただくことにしました。(このほか、東京都では、インターネットによる回答の方法も試験的に導入しております。)
調査票の回収について郵送提出方式も追加したことにより、例えば、仕事で帰りが遅く、日中は不在がちなため調査員と会う時間の都合を付けにくい方にとっても、調査票の提出がしやすくなります。
−世帯の回答の便利さを高め正確・円滑な調査をめざして
国勢調査は、世帯の方に調査票に漏れなく正確に記入していただくことで、精度の高い調査結果が得られるものです。この調査票は、光学式文字読取装置(OCR)で直接、記入内容を読み取ることができる設計にしています。これは、調査結果をできるだけ早く提供するためですが、一方で、そのために調査票の大きさや形式に制約もあります。
このため、補助用の調査票として、文字を大きくして読みやすくした「拡大文字調査票」や「点字調査票」を用意しています。また、調査票の書き方で分からないことがあった場合にお問い合わせいただけるよう、新たに「コールセンター」を開設することにしています。
国勢調査は外国人の方も対象となるため、「外国語調査票」も用意しています。近年、日本に住む外国人が増加しており、今回の調査で用意する外国語調査票は、前回の19言語から27言語に拡大することとしています。これにより、日本に在住する外国人の9割以上の方々の言語がカバーされます。
このような補助用の調査票を用意することにより、例えば視力の弱い方や日本語がよく分からない外国人の方にとっても、御自身で調査票に記入しやすくなります。
−皆様の理解と関係者の支援により正確・円滑な調査をめざして
国勢調査は、日本に住んでいるすべての人と世帯を対象とするものですので、皆様方に、調査の意義・役割や仕組みなどを御理解いただくことが大切です。このための取組の一つとして、新たに「国勢調査e-ガイド」を開設しました。この「国勢調査e-ガイド」は、今後とも内容を充実してまいりますので、是非御覧いただき、国勢調査への御理解を深めていただけることを願っています。
また、今回の国勢調査に当たり、新たに設けさせていただいた「平成22年国勢調査全国協力者会議」には、多くの機関・団体の方々に参加を賜り、御協力・御支援をいただいております。特にマンション管理関係の皆様には、今の段階でも大変な御協力をいただいているところで、心から御礼申し上げます。
新たな取組に皆様の御理解と御支援を
平成22年国勢調査は、日本の人口構造が変わる中で行われ、国と地域の活力ある未来づくりのための基礎データを提供するもので、これまでの国勢調査以上に重要となります。
今回の国勢調査では、ここで紹介した様々な「新たな取組」を行うことを通じて、国と地域の姿を的確に映し出し、統計法が理念とする「社会の情報基盤となる統計」を提供できるよう、正確・円滑な調査の実施に向けて取り組んでまいります。
平成22年国勢調査への皆様方の御理解、御支援をよろしくお願い申し上げます。
(平成22年5月12日)