ここから本文です。
全国消費実態調査に関するQ&A(回答)
A.全国消費実態調査とは
A-1 全国消費実態調査はどのような調査なのですか?
全国消費実態調査は,国民生活の実態について,家計の収支及び貯蓄・負債,耐久消費財,住宅・宅地などの家計資産を総合的に調査し,世帯の消費・所得・資産に関する水準,構造,分布などを全国及び地域別に明らかにすることを目的として,昭和34年から5年ごとに実施されており,平成26年調査は12回目の調査に当たります。
本調査は,全国約56,400世帯を対象に,平成26年9月から11月の3か月間(単身世帯は10月から11月の2か月間)行いました。
また,各世帯員の個人的な支出を把握するための「個人収支簿による調査」を別系統により実施しました。
A-2 なぜ5年ごとに調査を実施するのですか?
現在のように社会経済の変化が激しい時代では,できるだけ短い間隔で我が国の家計収支等の詳細な状況を把握しておかないと,統計と実態がかい離してしまい,的確な行政ができなくなってしまいます。一方,あまり短い間隔で調査を実施するのは,世帯の負担や経費負担が大きくなることから,5年ごとに実施しているものです。
A-2-1 なぜ,この時期(9月,10月,11月)に調査を実施するのですか?
家計の収支は,季節や月によって金額に差があります。7月や12月のボーナスの時期は,収入も多く,その分支出も多くなります。また,正月のある1月や年度の変わり目である3月,4月も支出が多くなります。家計の平均的な収支を明らかにするためには,1年間,調査を続ければよいのですが,それでは世帯の負担が大きすぎます。そこで,1年の中で,収支の変動が少ない,9月,10月,11月の3か月間(単身世帯については,10月,11月の2か月間)調査を行うこととしています。
A-3 全国消費実態調査はどのようなことを調べるのですか?
全国消費実態調査では,4種類の調査票により,次のことを調査します。
家計簿 | 日々の収入,支出,預貯金の出し入れなどについて,9月から11月の3か月間(単身世帯は10月から11月の2か月間)調査します。 |
---|---|
耐久財等調査票 | 耐久消費財の所有数及び取得時期などについて,10月末日現在で調査します。 |
年収・貯蓄等調査票 | 年間収入,貯蓄・負債の状況について,11月末日現在で調査します。 |
世帯票 | 家族構成,家族の年齢,就業状況,職業,現在住んでいる住居及び土地,現住居以外の住宅及び土地などについて,9月1日(単身世帯は10月1日)現在で調査します。 |
また,個人収支簿による調査は,2種類の調査票により,次のことを調査します。
家計簿 | 家計から各世帯員に支出されたこづかいの額などについて,9月,10月,11月のうち1か月間調査します。 |
---|---|
個人収支簿 | 各世帯員の個人的な収入及び支出について,9月,10月,11月のうち1か月間調査します。 |
A-4 全国消費実態調査の結果はどのように利用されているのですか?
全国消費実態調査の結果は,国民生活の消費構造や所得水準に関する基礎資料として,国や地方公共団体における施策の企画・立案はもちろんのこと,各府省の白書,大学や研究機関などで広く有効に利用されています。
例えば,高齢者への年金給付額を検討する際,高齢者の消費支出はどれくらいなのかを把握する必要があります。一方,現役世代の保険料負担額を検討する際にも,消費状況の把握が必要です。そのため,年金制度についての検討資料として,厚生労働省では,全国消費実態調査の結果を用いています。
また,OECD(経済協力開発機構)の基準による国際比較可能な所得格差の集計や,家賃負担や住宅ローン返済の実態の把握など,様々な場面で利用されています。
国及び地方公共団体
国民生活の諸問題に対し,国や地方公共団体が行う諸施策の企画・立案等の基礎資料として利用されています。
また,経済関連統計作成のためのデータとしても利用されています。
- 高齢者の家計の実態を把握し,年金や介護等の社会保障制度の在り方やその水準を検討するための資料
- 生活扶助基準の見直しを行うための基礎資料
- 国家公務員の給与に関する検討のための基礎資料
- 国民経済計算や県民経済計算の推計,消費者物価指数の作成
- 経済財政白書(内閣府),労働経済の分析(厚生労働省),消費者白書(消費者庁)などにおける分析のための基礎資料
大学・研究機関
- 大学・研究機関による家計の所得,消費,貯蓄,資産に関する研究
民間企業
- 商品開発の基礎資料
A-5 どうしても答えなければいけないのですか?
全国消費実態調査をはじめとする基幹統計調査では,「統計法(e-Gov)」によって,報告の義務,統計調査員等の統計調査に携わる者への守秘義務,これらに反したときの罰則が定められています。
この調査は,国民生活の実態を調べて,国や地方公共団体が行う様々な施策の基礎資料となるものです。例えば,失業対策を行うためには,失業している方の生活の実態を知る必要があります。また,高齢者への年金給付額を検討する際,高齢者の消費支出はどれくらいなのかを把握する必要があります。一方,現役世代の保険料負担額を検討する際にも,消費状況の把握が必要です。
このように,国や地方公共団体が適切に行政を行っていくためには,現在の国民生活の実態を正確に把握する必要があります。調査の趣旨をご理解いただき,調査票へのご記入をお願いします。
B.調査方法について
B-1 調査はどのように行われるのですか?
全国消費実態調査は,総務省統計局が基本的な計画を立案し,都道府県,市区町村を通じて実施されます。各調査世帯には調査員が訪問し,調査票を配布・回収します。
総務省統計局 ― 都道府県 ― 市区町村 ― 指導員 ― 調査員 ― 調査世帯
総務省統計局 | 調査全体の企画設計,調査書類の作成,調査票等の審査,調査結果の集計,調査結果の公表,報告書の刊行などの事務を行います。 |
---|---|
都道府県 | 指導員・調査員の任命,調査票等の審査などの事務を行います。 |
市区町村 | 指導員・調査員の都道府県への推薦,指導員・調査員に対する調査事務の指導,定められた方法による調査世帯の選定,調査票等の審査などの事務を行います。 |
指導員 | 調査員に対する調査事務の実地指導,調査員から提出される調査票等の記入内容の審査などを行います。 |
調査員 | 調査単位区世帯名簿の作成,調査世帯に対する記入依頼,調査票の配布,調査票の記入の仕方の説明,調査票の回収・記入確認などを行います。 |
個人収支簿による調査では,都道府県において,指導員・調査員の任命,指導員・調査員に対する調査事務の指導,調査世帯の選定,調査票等の審査などの事務を行います。
総務省統計局 ― 都道府県 ― 指導員 ― 調査員 ― 調査世帯
B-2 調査世帯はどのように選ばれるのですか?
全国すべての市,東京23区及び212の町村を対象として,それぞれの調査市区町村を約100世帯ごとの地域に区切り調査地域を選定し,調査地域から一定の統計上の抽出方法によって約56,400世帯を選定します。
ただし,個人収支簿による調査は,家計調査の対象市町村内にある二人以上の世帯のうちから選定した世帯を対象とします。
B-3 調査員はどのような人がどのような方法で選ばれるのですか?
調査員は,一般の人の中から,次の要件を考慮して選考され,都道府県知事が,特別職の地方公務員として任命します。
- 調査票の配布及び回収,関係書類の作成等の事務を適正に行うことができる者であること
- 原則として20歳以上の者であること
- 秘密の保護に関して信頼のおける者であること
- 選挙に直接関係のない者であること
- 税務・警察に直接関係のない者であること
B-4 調査票はどのように提出するのですか?
調査世帯として選定された世帯に,世帯票,家計簿,耐久財等調査票,年収・貯蓄等調査票の4種類の調査票(個人収支簿の調査では家計簿と個人収支簿の2種類の調査票)の記入をお願いすることになります。
記入していただいた調査票は,調査員が回収のために各世帯を訪問しますので,その際に提出していただきます。
また,平成26年調査では,すべて世帯がインターネットでも回答できます。調査世帯は,紙の調査票で回答するか,インターネットで回答するかを調査票ごとに選択できます。
C.公表時期について
C-1 調査の結果はいつごろ公表されるのですか?
平成26年調査結果は,統計局のホームページ等によりすべて公表されています。
D.プライバシーの保護について
D-1 プライバシーは保護されるのですか?
【秘密の保護の徹底】
全国消費実態調査は,統計法等の法令規定に基づいて行われます。
調査に従事する人(国・地方公共団体の職員,指導員,調査員)には,調査上知り得た秘密に属する事項を他に漏らしてはならない守秘義務が課されています。また,調査票情報等の利用制限も定められており,秘密の保護の徹底が図られています。
調査票は外部の人の目に触れないよう厳重に保管され,集計が完了した後は溶解処分されます。
【調査員への指導】
個人情報の保護を一層徹底させるために調査員用に調査事務マニュアルを作成し,秘密保護等について指導を徹底しています。
D-2 税金に関係はないのですか? 後で勧誘などに使われることはありませんか?
この調査で集めた個人情報は,「統計法(e-Gov)」により保護されますので,税金の徴収や,勧誘などに使われることは絶対にありません。
E.その他
E-1 家計調査とはどのように違うのですか?
家計調査は,その主な目的が全国平均の家計収支の時系列の動きを明らかにすることにあるため,調査規模が約9,000世帯と小さく,詳細な構造分析を行うことができません。
全国消費実態調査では,サンプルサイズを約56,400世帯(うち単身世帯約4,700世帯)とし,年間収入階級別,世帯主の年齢階級別などの各種世帯属性別あるいは地方別,都道府県別などの地域別に家計の実態を明らかにしています。このように,家計調査では得られない詳細な結果から様々な分析を行うことができます。
E-2 調査票に氏名を記入するのはなぜですか?
調査票に氏名を記入するのは,調査世帯として誰が調査されたか,各調査事項が誰について記入されたものであるかを確認し,調査漏れや重複調査を防ぐためです。また,調査の記入内容に分からないことや不備があった場合に,照会するときの手がかりとするためです。
このように,氏名は,あくまでも正確な調査を実施するために調査しているものであり,統計として公表されたり,記録が登録されることは絶対にありません。
なお,記入していただいた名前や電話番号は,厳重に保護されますので,ご記入をよろしくお願いします。
E-3 勤務先の名称も記入しないといけないのですか?
仕事をしている会社・工場・事務所などの事業所がどのような事業を営んでいるかという,「産業」を把握し,勤め先などの産業別の家計収支を明らかにするためです。
勤め先などの名称は,産業の分類を正確に行うための手がかりとして必要なものであって,集計の対象ではありません。
E-4 なぜ,こんなに細かいことまで記入しないといけないのですか?
国や地方公共団体が各種の施策を適切に実施するためには,国民の家計の実態をできるだけ正確に把握することが重要です。どのような世帯がどのような生活を送っているかを調べることで,どのような世帯を対象として,どのような施策が必要かを適切に判断することができることになります。
一口に世帯の家計と言っても,小さな子供がいる世帯,年金生活をしている世帯,一人暮らしの世帯,住宅ローンを返済している世帯,共働きの世帯など,その家計は様々です。
全国消費実態調査は,我が国の家計について詳細な結果を集計することで,年金等の社会保障関係施策の検討など,国及び地方公共団体が行う様々な施策への基礎資料となります。
また,行政機関だけでなく,大学や各種研究機関における,国民生活に関する問題の分析や研究の資料としても利用や民間企業などにおいて,家計で購入する商品やサービスの需要予測のための資料としても利用されています。
E-5 家計簿をつけたことがないのですが,それでも書かなくてはいけませんか?
全国消費実態調査では,日ごろから家計簿をつけている世帯を調査世帯として選定しているのではなく,ふだん家計簿をつけていない世帯も含めたすべての世帯の中から調査世帯を選定しています。この調査のために専用の家計簿を用意し,調査世帯には,調査員が世帯を訪問して記入の仕方をきめこまかく説明した上で家計簿を記入してもらいます。
家計簿をつけることは,何も難しいことではありません。家計簿をつけることによって,家計状況が分かり,無駄な出費を抑えることができるかもしれませんし,また,全体の調査結果と見比べることによって,ご自分の家庭が他の家庭に比べて,何に多く支出しているのか,あるいは何が少ないか,といったことも把握できますので,調査の趣旨をご理解いただき,ご記入をお願いします。