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IV 高齢者の家計
高齢無職世帯の家計収支は1か月当たり3万8千円の赤字
二人以上の世帯と単身世帯を合わせた総世帯のうち、世帯主が高齢者の無職世帯(以下「高齢無職世帯」といいます。)の平成22年の1世帯当たり1か月間の家計収支をみると、いわゆる税込収入である実収入は、前年からほぼ横ばいの18万8千円となりました。一方、生活費などの消費支出と税金などの非消費支出を合わせた実支出は、エコカー補助金制度の対象であった自動車や家電エコポイント制度の対象であったテレビなどへの支出が増加したことから、前年に比べ3千円増加し、22万7千円となりました。その結果、家計収支は3万8千円の赤字となり、不足分は預貯金などの金融資産の取崩しなどで賄われています。
なお、実収入の構成比をみると、世帯主が65歳未満の勤労者世帯では約8割が世帯主の勤め先収入なのに対し、高齢無職世帯では約9割が公的年金などの社会保障給付となっています。(図6、図7)
世帯主が高齢者の世帯の貯蓄現在高は1世帯当たり2275万円で、3年連続の減少
二人以上の世帯のうち世帯主が高齢者の世帯の貯蓄現在高をみると、平成22年は1世帯当たり2275万円となり、3年連続の減少となりました。貯蓄現在高の低い世帯から高い世帯へ順番に並べた際にちょうど中央に当たる中央値は1480万円となり、同様に3年連続の減少となりました。
なお、貯蓄現在高の構成比をみると、世帯主が65歳未満の世帯に比べ、世帯主が高齢者の世帯では「定期性預貯金」や「有価証券」の占める割合が高くなっています。(図8、図9)
世帯主が高齢者の世帯は、保健医療への支出割合が全ての世帯と比べて高い
総世帯のうち世帯主が高齢者の世帯における平成22年の消費支出の構成比を、全ての世帯の平均における平成22年の消費支出の構成比で割った比率を求めると、「保健医療」が1.40倍と最も高く、「教育」が0.06倍と最も低くなっており、健康の維持・増進のため保健医療に費やす支出が多い反面、学齢期の世帯員が少ないことから、教育に費やす支出が少ないという特徴がうかがえます。
また、世帯主が高齢者の世帯のうち単身世帯について男女別にみると、男性は自動車購入などの「交通・通信」が女性に比べて最も高く、女性は「被服及び履物」が男性に比べて最も高くなっています。(図10、表4)
世帯主が高齢者の世帯において、全ての世帯の平均における平成22年の消費支出の構成比に対する比率が最も高い保健医療について、内訳をみると、眼鏡や体温計などの「保健医療用品・器具」については、世帯主が高齢者か否かで違いがみられない一方、「医薬品」、健康食品などの「健康保持用摂取品」及び医科診療代などの「保健医療サービス」については、世帯主が高齢者の世帯において高くなっています。
また、世帯主が高齢者の世帯のうち単身世帯について男女別にみると、男性は「医薬品」及び「保健医療サービス」が女性に比べて高く、女性は「健康保持用摂取品」及び「保健医療用品・器具」が男性に比べて高くなっています。(図11)
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世帯主が高齢者の世帯でも、インターネットを利用した支出が年々増加
総世帯のうち世帯主が高齢者の世帯について、インターネットを利用して購入した商品・サービスへの1世帯当たりの支出総額の推移をみると、平成14年は5,748円でしたが、22年は17,112円となり、8年間で約3倍に増加しており、全世帯の平均と比べると伸びは大きくありませんが、世帯主が高齢者の世帯でもインターネットショッピングの利用が増えていることがうかがえます。(図12)
世帯主が高齢者の世帯でも、電子マネーの利用は年々増加
総世帯のうち世帯主が高齢者の世帯について、電子マネーを利用した世帯員がいる世帯の割合をみると、平成22年は17.4%となっています。これを世帯主が65歳未満の世帯(33.1%)と比べると約半分となっていますが、20年(9.4%)と比べると、8.0ポイントの上昇となっており、世帯主が高齢者の世帯でも電子マネーの利用が増えています。
また、世帯主が高齢者の世帯について、電子マネーを利用した世帯員がいる世帯における電子マネーの利用回数が最も多かった場所の構成比をみると、「交通機関」が60.9%と最も高く、次いで「スーパーマーケット」が27.6%、「コンビニエンスストア」が7.5%などとなっています。これを世帯主が65歳未満の世帯と比べると、「交通機関」及び「スーパーマーケット」が高くなっている一方で、「コンビニエンスストア」などが低くなっています。(図13、図14)
◆「家計消費状況調査」の詳しい結果を御覧になりたい場合は、こちらを御参照ください。