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就業構造基本調査は,ふだんの就業・不就業の状態を調査し,我が国の就業構造の実態,就業異動の実態,就業に関する希望などを明らかにすることにより,各種行政施策の基礎資料を得ることを目的としている。
この調査は,昭和31年の第1回の調査以来ほぼ3年ごとに実施してきたが,57年以降は5年ごとに実施し,今回の調査は14回目に当たる。
- 詳しくは調査の概要へ
I 結果の要約
- 有業者数は調査開始以来初の減少
- サービス業は引き続き増加
- 年間就業日数は短期と長期に二極化の傾向
- 若年層で高い転職率
- 「収入が少ない」を理由とする転職希望者が大幅に増加
- 女性では「非正規就業者」の割合が5割を上回る
- 男性では就業希望率,求職者率とも上昇
- 仕事への復帰率は「自己都合による」が「非自発的理由」を上回る
- 雇用形態間の異動をみても非正規化が進展
- 転職経験者は約5割
- 都道府県の有業率
- 都道府県の転職率
- 都道府県の離職率
平成15年7月9日
総務省統計局
平成14年就業構造基本調査結果の概要(要約)
1 有業者数は調査開始以来初の減少
- 平成14年10月1日現在の有業者は6500万9千人で平成9年と比べ3.0%の減少
- 有業者数の減少は調査開始以来初めて
- 15歳以上人口に占める有業者の割合(有業率)は59.5%で,平成9年と比べ3.3ポイント低下
- 有業率が60%台を割るのは調査開始以来初めて
2 サービス業は引き続き増加
- 有業者数を産業別にみると「製造業」は平成9年と比べ200万人を超える減少,「建設業」は調査開始以来初の減少
「農業」,「卸売・小売業,飲食店」,「金融・保険業」などで減少,「サービス業」は引き続き増加
3 年間就業日数は短期と長期に二極化の傾向
- 雇用者の年間就業日数は短期( 200日未満)の割合と長期( 250日以上)の割合がそれぞれ上昇し,年間就業日数は二極化の傾向
- 週間就業時間は短時間(35時間未満)就業と長時間(49時間以上)就業に二極化
- 男性では長時間就業者の割合の上昇,女性では男性と比べ短時間就業者の割合の上昇が顕著
- 最も低下が顕著なのは35〜42時間
4 若年層で高い転職率
- 転職率は男性では横ばい,女性では上昇傾向,離職率は男女とも上昇傾向
- 年齢階級別では若年層で高い転職率,若年層と60歳代前半で高い離職率
注)転職率: 1年前の勤め先と現在の勤め先が異なる者(転職者)の1年前の有業者に占める割合
離職率: 1年前には仕事をしていたが,その仕事を辞めて,現在は仕事をしていない者(離職者)の1年前の有業者に占める割合
5 「収入が少ない」を理由とする転職希望者が大幅に増加
- 転職を希望する者の有業者に対する割合(転職希望率)は上昇傾向
男女別では女性が高いが,平成14年ではその差が縮小
年齢階級別にみると15〜24歳で20%を超える高い割合
年齢階級が高くなるほど転職希望率は低下
男女別では,15〜54歳では女性が高く,55歳以上では男性が高い
- 転職を希望する者の希望理由は「収入が少ない」が平成9年に引き続き増加,平成4年に比べると約1.6倍
6 女性では「非正規就業者」の割合が5割を上回る
- 雇用者に占める「非正規就業者」の割合を男女別にみると,平成9年から14年にかけて男性は10.1%から14.8%に,女性は42.2%から50.7%へいずれも大きく上昇
一方,「正規の職員・従業員」の割合は男女とも低下 - 長期的にみても「非正規就業者」の割合は上昇を続けているが,この5年間はその傾向が男女とも顕著
7 男性では就業希望率,求職者率とも上昇
- 無業者の就業希望率及び求職者率は男性では上昇,女性では低下し,就業希望率は男女間で逆転
- 男性の就業希望率が3割に達したのは調査開始以来初めて
- 求職者の求職期間は引き続き長期化の傾向,特に男性では求職期間が1年以上の者の割合が大幅に上昇し,3か月未満の者の割合が低下するなど,長期化の傾向が顕著
注) 就業希望率:無業者に占める就業希望者の割合
求職者率:無業者に占める求職者の割合
8 仕事への復帰率は「自己都合による」が「非自発的理由」を上回る
- 過去5年間に仕事を辞めたものの辞めた理由別仕事への復帰率をみると,15〜19歳を除くすべての年齢層で,「自己都合による」理由で辞めた者の復帰率が「非自発的理由」より高い
いずれの理由で辞めた場合でもほとんどの年齢層で男性が女性を上回る
注) 非自発的理由:「人員整理・勧奨退職のため」,「会社倒産・事業所閉鎖のため」
自己都合による:「事業不振や先行き不安」,「一時的についた仕事だから」,「収入が少なかった」,「労働条件が悪かった」,「自分に向かない仕事だった」,「家族の転職・転勤又は事業所移転のため」
復帰率:過去5年間に離職した者のうち,調査日現在有業者である者の割合
9 雇用形態間の異動をみても非正規化が進展
- 過去5年間の雇用者の雇用形態間の異動をみても,正規の職員・従業員からパート・アルバイトなどの非正規就業者への転換が進展
- 過去5年間に正規の職員・従業員から就業異動した者のうち,35.5%(211万7千人)が非正規就業者に転換,一方非正規就業者から就業異動した者のうち,正規の職員・従業員に転換できたのは24.8%(113万4千人)
10 転職経験者は約5割
- 過去に一度でも転職を経験したことのある有業者の割合は48.4%でほぼ5割
- 最終卒業学校別に転職ありの割合をみると,高校・旧制中卒の52.7%に対し,大学・大学院卒は38.0%と低い
- 転職経験のある者の割合をみると,30歳代後半までは学歴が高いほど低い。60歳以上では学歴の順番がほぼ入れ替わっている
11 都道府県の有業率
- 有業率が高いのは,福井県(63.5%),静岡県(63.2%),愛知県(63.1%)などの東海・北陸を中心とする県
- 上位5県
福井県(63.5%)
静岡県(63.2%)
愛知県(63.1%)
長野県(63.0%)
石川県(62.9%)
12 都道府県の転職率
- 転職率が高いのは,沖縄県(6.2%),大都市のある都道府県及びその周辺県
- 上位5都府県
沖縄県(6.2%)
福岡県(5.9%)
神奈川県(5.8%)
埼玉県(5.7%)
東京都( 〃 )
滋賀県( 〃 )
大阪府( 〃 )
13 都道府県の離職率
- 離職率が高いのは,大阪府(7.7%)などの近畿を中心とする府県
- 上位5府県
大阪府(7.7%)
奈良県(7.4%)
福岡県(7.4%)
沖縄県(7.2%)
兵庫県(7.1%)