ここから本文です。
平成26年2月21日
総務省
統計トピックスNo.78
毎年わかる地域のサービス産業 − サービス産業動向調査「拡大調査」の結果から −
総務省は、平成25年6月にサービス産業動向調査「拡大調査」を初めて実施しました。我が国経済(GDP=国内総生産)の7割を占め、地域経済にとっても重要性を増すサービス産業の実態については、これまで毎年利用できる統計は全国値が中心でしたが、同調査の開始により、今後はサービス産業の地域別の動向を、毎年知ることができるようになりました。
そこで今回は、先月公表した結果を用いて、平成24年の地域別のサービス産業の状況を御紹介いたします。
都道府県別の概観
東京都と大阪府で「不動産業,物品賃貸業」「専門・技術サービス業」のシェアが約5割
東京都の単位人口あたり売上高は「医療,福祉」を除く全ての産業で全国最多
平成24年のサービス産業の年間売上高は、図1のとおりとなっています。
サービス産業の年間売上高を都道府県別にみると、サービス産業全体では東京都、大阪府、神奈川県、愛知県などの順となっています。また、東京都と大阪府で、「不動産業,物品賃貸業」及び「専門・技術サービス業」において全国の5割程度のシェアを占めています(図1)。
図1 サービス産業の年間売上高と東京都・大阪府のシェア
注)情報通信業は地域別売上高の算出が難しいため、本稿の分析対象から除外しています。
各産業の年間売上高を都道府県別の単位人口あたりで見てみると、「医療,福祉」を除く全ての産業で東京都が最多となっています。また、「不動産業,物品賃貸業」及び「専門・技術サービス業」では、全国平均を上回るのは東京都及び大阪府のみとなっています。一方「医療,福祉」では、半数を超える都道府県が全国平均を上回っています。
このほか、「運輸業,郵便業」では静岡県、「宿泊業,飲食サービス業」では長野県や沖縄県などで、単位人口あたり売上高が多くなっており、都道府県ごとの産業の特性がうかがえます(図2)。
図2 サービス産業の都道府県別単位人口あたり年間売上高
注)人口は、総務省統計局「人口推計」(平成24年10月1日現在)による「総人口」を用いています。
各都道府県のサービス産業の構成
東日本を中心に15道府県では「生活関連サービス業,娯楽業」が最多
西日本を中心に15県では「医療,福祉」が最多
関東地方から中国地方にかけての帯状の地域を中心に14県では「運輸業,郵便業」が最多
次に都道府県ごとに売上高の多いサービス産業を見てみると、北海道、茨城県など東日本を中心に15道府県では「生活関連サービス業,娯楽業」、福岡県、熊本県など西日本を中心に15県では「医療,福祉」の年間売上高が最多となっています。
関東地方から中国地方にかけての帯状の地域を中心に14県(神奈川県、愛知県など)では、「運輸業,郵便業」が最多となっており、これらの地域で貨物や旅客の移動が特に活発であることが分かります。なお、東京都及び大阪府では、「運輸業,郵便業」を上回り「不動産業,物品賃貸業」の売上高が最多となっています。
沖縄県では「宿泊業,飲食サービス業」が最多となっており、同県における観光産業のウェイトの大きさがうかがえます(図3)。
図3 各都道府県における年間売上高が最多のサービス産業
経済規模の大きな都道府県では事業系サービスの割合が高い傾向
各都道府県のサービス産業の構成を見てみると、経済規模の大きな都道府県では、高速道路や鉄道などのインフラが発達しており、道路貨物運送や有料道路経営、鉄道業といった「運輸業,郵便業」の割合が高い傾向があります。また大型不動産の取引や総合リースなどの「不動産,物品賃貸業」、広告業や経営コンサルティング、税理士などの「専門・技術サービス業」も、活発な傾向があります。
こうしたことから、経済規模の大きな都道府県では、このような事業系サービスの割合が高い傾向が見られます(図4)。
図4 各都道府県の経済規模と事業系サービスの関係
注)横軸は各都道府県におけるサービス産業の年間売上高計(対数表示)、縦軸は各都道府県におけるサービス産業の年間売上高に占める事業系サービスの割合です。ここで事業系サービスは、便宜的に、事業者向けのサービスが中心である「運輸業,郵便業」、「不動産業,物品賃貸業」、「専門・技術サービス業」及び「その他のサービス業」としています。
高齢化が進む都道府県では「医療,福祉」の割合が高い傾向
各都道府県の老年人口(65歳以上人口)と「医療,福祉」の関係を見てみると、高齢化が進んでいる都道府県ほど、サービス産業全体の売上高に占める「医療,福祉」の割合が高い傾向が見られます(図5)。
図5 各都道府県における高齢化と「医療,福祉」の関係
注)老年人口割合(65歳以上人口/総人口)は、総務省統計局「人口推計」(平成24年10月1日現在)を用いています。
◆ サービス産業動向調査について
サービス産業動向調査は、サービス産業の売上や雇用等の動向を明らかにするため、サービス産業を営む事業所等を対象に実施している統計調査です。調査は、物販(卸売業,小売業)や、経理が特殊な金融業,保険業等を除く、幅広いサービス産業(第三次産業)を対象としており、「月次調査」と「拡大調査」(年次調査)で構成されています。
今般結果を紹介した「拡大調査」は、サービス産業の活動を月次調査よりも詳細に、また地域別に明らかにするため、月次調査の対象に約43,000事業所を追加して、平成25年6月に初めて実施した統計調査です。初公表の今回は前年比較のデータがないため、単年の結果のみとなりましたが、次回調査以降、毎年のサービス産業の動向(売上高の前年比など)を公表します。
なお、情報通信業は地域別売上高の算出が難しいため、月次調査において全国値のみを調査しています。図1の情報通信業の年間売上高は月次調査の結果によるものです。
お問い合わせは・・・
総務省統計局統計調査部経済統計課 サービス年次統計係
〒162-8668 東京都新宿区若松町19番1号
電話: (03)5273-1165(ダイヤルイン)
FAX: (03)5273-1498
E-Mail:e-nenji@soumu.go.jp