ここから本文です。
第5章 家計資産
資産の状況は、消費の動向に影響を与えます。ここでは、二人以上の世帯の貯蓄や負債の状況について見てみましょう。
1. 貯蓄額別の世帯分布
貯蓄現在高の平均値を下回る世帯は全体の約3分の2
二人以上の世帯の貯蓄現在高は平均では1904万円です。ただし、その平均を下回る世帯が、全体の約3分の2を占めます。これは、貯蓄の多い世帯が、平均値を押し上げているためです。また、金額の少ない世帯から高い世帯へと順に並べたときに、ちょうど中央に当たる世帯の貯蓄現在高は1107万円となっています。
図 5-1 貯蓄現在高階級別世帯分布(二人以上の世帯)(2023年)
注 貯蓄保有世帯の中央値とは、貯蓄現在高が「0」の世帯を除いた世帯を貯蓄現在高の低い方から順番に並べたときに、ちょうど中央に位置する世帯の貯蓄現在高をいいます。
なお、貯蓄現在高が「0」の世帯を含めた中央値は、2023年平均では1032万円となっており、「0」の世帯を除いた場合と比べて75万円低くなっています。
統計豆知識 〜平均値と中央値〜
たくさんのデータを集めた統計をわかりやすく表すためによく使われるのが平均値です。富士山のように左右に同じように広がって分布しているときには、平均値が実感に合っています。ところが、上の貯蓄のように、左側から右肩下がりのグラフになるときには、平均は実感と異なることがあります。このような場合には、額の低い方から数えた真ん中の世帯の額(中央値)を確認したり、世帯分布のグラフを確認したりすることが必要です。
2. 貯蓄の種類別の状況
通貨性預貯金は15年連続の増加
2023年の二人以上の世帯における貯蓄現在高の内訳をみると、銀行の普通預金などの通貨性預貯金が、前年に比べ26万円増加し、15年連続の増加となっています。また、定期性預貯金は、前年に比べ41万円減少し、2年連続の減少となっています。
図 5-2 貯蓄の種類別貯蓄現在高及び構成比(二人以上の世帯)
注 金融機関外は社内預金など、金融機関以外へ預けた貯蓄
貯蓄現在高の内訳を世帯主の年齢階級別にみると、70歳以上では定期性預貯金が最も多く、60歳代以下で通貨性預貯金が最も多くなっています。また、有価証券をみると、70歳以上が最も多くなっています。
図 5-3 世帯主の年齢階級、貯蓄の種類別貯蓄現在高(二人以上の世帯)(2023年)
3. 負債の種類別の状況
住宅・土地のための負債が負債現在高の約9割を占める
2023年の二人以上の世帯における負債現在高は、前年から79万円増加し、655万円となっています。
内訳をみると、住宅・土地のための負債が601万円と最も多く、全体の91.8%を占めています。
図 5-4 負債の種類別負債現在高及び構成比(二人以上の世帯)
負債現在高の内訳を世帯主の年齢階級別にみると、住宅・土地のための負債は、40歳未満が最も多く、1651万円となっています。50歳代以降では、住宅・土地のための負債が大きく減少しており、高齢になるにつれ住宅ローンの返済が進んでいることがうかがわれます。
図 5-5 世帯主の年齢階級、負債の種類別負債現在高(二人以上の世帯)(2023年)