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平成25年住宅・土地統計調査 特別集計
PDF形式はこちら 「特別集計」(PDF:202KB)
共同住宅の空き家について分析
−平成25年住宅・土地統計調査(確報集計結果)からの推計−
総務省統計局では、平成25年住宅・土地統計調査を10月1日に実施し、確報集計結果を平成27年2月26日に公表しました。その結果、空き家数は820万戸と過去最高となり、全国の住宅の13.5%を占めていることが分かりました(図表1)。
空き家については、少子高齢化の進展や人口移動の変化などにより、増加の一途をたどっており、管理が行き届いていない空き家が、防災、衛生、景観等の生活環境に影響を及ぼすという社会問題が起きています。また、少子高齢化が進展する中、空き家の有効的な利用のための対応が各地において必要となっています。
今回、空き家に関するこうした状況に鑑み、統計Today No.72における、平成20年住宅・土地統計調査結果データを用いた分析と同様の手法で、平成25年住宅・土地統計調査の確報集計結果データを用いて、特に空き家の比重が高い共同住宅の空き家について、調査対象となった空き家と同じ建物内にある他の居住世帯の情報などを基に、住宅の属性(「所有の種類」、「建築時期」及び「床面積」)に関する指標を推計しました。
空き家の現状
空き家の数は、調査の度に増加し、平成5年に448万戸だったところ、平成25年では820万戸と、この20年間で1.8倍になっています。
また、空き家率でみると、平成10年に1割を超え11.5%となり、その後も一貫して上昇を続けています(図表1)。
平成25年確報集計結果について、空き家の種類、建て方別にみると「賃貸用の住宅」と「その他の住宅」(世帯が長期にわたって不在の住宅、建て替えのために取り壊すこととなっている住宅等)が、全体の90%以上を占めています。
また、「賃貸用の住宅」を建て方別にみると、共同住宅の割合が90%近くになっています(図表2)。
共同住宅の空き家に係る推計結果
共同住宅の「賃貸用の住宅」及び「その他の住宅」(以下、「賃貸用等空き家」という。)をまとめた上で、同一建物内の類似性を考慮し、以下の住宅の属性に関する結果を推計しました。
- 所有の種類(民営、民営以外)・・・全国、都道府県
- 建築時期・・・全国
- 床面積・・・全国
【所有の種類別空き家数】
賃貸用等空き家の446万戸について、所有の種類別にみると、民営の空き家が360万戸で、その割合は80.7%、民営以外(公営、公社、給与住宅等)の空き家が72万戸で、16.3%となっており、民営の空き家が民営以外に比べ5倍と大きな値になっています(図表3)。
【建築時期別空き家数】
また、賃貸用等空き家数を建築時期別にみると、民営の空き家は、昭和56年〜平成12年に建てられた住宅が111万戸と比較的多く、その20年間に建てられた住宅の空き家数が、民営の空き家全体の30.7%となっています。ただし、建築時期が不詳の空き家も154万戸(42.7%)と多く、留意する必要があります。
一方で、民営以外の空き家についてみると、昭和55年以前に建てられた住宅が33万戸で、民営以外の空き家全体の45.1%となっています。また、平成18年以降に建てられた住宅については5万戸(6.6%)と、低い割合になっています(図表4)。
【床面積別空き家数】
次に、賃貸用等空き家数を床面積別にみると、民営の空き家については、30平方メートル未満の住宅が100万戸と最も多く、民営の空き家全体の27.9%を占めています。次に多いのが30〜49平方メートルの81万戸(22.5%)で、この二つの区分を合わせた50平方メートル未満の住宅が、民営の空き家全体の半数を占めており、面積規模の小さい住宅が多くなっています。 また、面積規模の大きい70平方メートル以上の住宅は16万戸で、民営の賃貸用等空き家全体の4.4%となっています。ただし、床面積が不詳の空き家も117万戸(32.5%)と多く、留意する必要があります。
一方で、民営以外の空き家についてみると、30〜49平方メートルの住宅が25万戸と最も多く、次に多いのが、50〜69平方メートルの22万戸となっており、この二つの区分で全体の65.7%を占めています。また、30平方メートル未満の住宅は、14万戸(19.0%)で、民営の同区分と比べ、低い割合になっています(図表5)。
【所有の種類別民営の空き家の割合】
賃貸用等空き家のうち民営のものの割合を都道府県別にみると、北海道・東北では、福島県を除き、いずれの道県でも全国平均(80.7%)を上回っています。特に青森県では88.5%と、全国平均に比べ7.8ポイント高い割合となっています。
関東では、茨城県と千葉県を除き、いずれの都県でも全国平均を上回っています。
北陸では、新潟県で66.8%と、全国平均に比べ13.9ポイント低い割合となっています。また、石川県で87.2%と、全国平均に比べ6.5ポイント高い割合となっています。
中部では、愛知県と三重県を除き、いずれの県でも全国平均を上回っています。
近畿では、滋賀県と和歌山県を除き、いずれの府県でも全国平均を下回っており、特に兵庫県では72.5%と、全国平均に比べ8.2ポイント低い割合となっています。
中国・四国では、島根県で68.4%と、全国平均に比べ12.3ポイント低い割合となっています。また、愛媛県で85.6%、高知県では84.9%となっており、全国平均より高い割合となっています。
九州・沖縄では、沖縄県で89.7%、熊本県と大分県でそれぞれ84.5%、福岡県で81.5%と、この4県で全国平均より高い割合となっています。
日本全体でみると、北海道・東北、関東、北陸及び中部では一部を除き全国平均に近い割合の県が多く、近畿、中国・四国及び九州・沖縄では全国平均より高い県と低い県との差が出る傾向が見られます(図表6)。
おわりに
住環境問題として、空き家対策の重要性は年々高まるものと考えられます。今後とも住宅・土地統計調査において、我が国の空き家に関する状況が適切に把握できるよう取り組んでまいります。
※本稿における推計値の算出について
- 所有の種類、建築時期、床面積の判別
空き家と同一建物内に居住世帯のある住宅がある場合は、当該住宅の所有の種類、建築時期、床面積の情報を基に、空き家の所有の状況を統一的に決定しました。
また、所有の種類及び床面積については、居住世帯のある住宅の情報から判別が不能で決定できない場合、当該共同住宅の建物がある調査区情報を参考に決定しました。
上記により決定できない場合は不詳としました。 - 図表2〜6における数値について
図表2〜6の数値は表章単位未満の位で四捨五入しているため、総数と内訳の合計は必ずしも一致しません。
10位を四捨五入して100位まで有効数字として表章しています。
「住宅・土地統計調査」とは
総務省統計局が、全国約350万住戸・世帯を対象に、5年に1度実施している基幹統計調査で、空き家についても調査の対象としています。
総務省統計局の住宅・土地統計調査では、空き家については、調査員が外観等から調査し、空き家の種類(「別荘等の二次的住宅」、「売却用の住宅」、「賃貸用の住宅」及び「その他の住宅」)ごとに、外観等から判断できる建物の属性(「建て方」、「構造」、「腐朽破損の有無」など)に関する結果を提供しています。
住宅・土地統計調査において調査の対象となる「住宅」とは、一戸建の住宅やアパートのように完全に区画された建物の一部で、一つの世帯が独立して家庭生活を営むことができるように建築又は改造されたものをいいます。
「住宅」の中で「居住世帯のある住宅」とは、ふだん人が住んでいる住宅ということで、調査日現在当該住居に既に3か月以上にわたって住んでいるか、あるいは調査日の前後を通じて3か月以上にわたって住むことになっている場合をいい、それ以外の「住宅」は「居住世帯のない住宅」といいます。
「空き家」は「居住世帯のない住宅」の中の1区分として調査しています。
集計で表章されている用語については用語の解説のページを御覧ください。