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統計トピックスNo.117
平成の30年、サービス産業はどう変わったのか!?
利用上の注意
「平成」における「事業所・企業統計調査」や「経済センサス」などの実施年
「平成元年事業所名簿整備調査」は、存続事業所の従業者数を調査していなかったため、本トピックスでは、平成当初の状況として「平成3年事業所統計調査」の結果を用い、最新の状況として「平成28年経済センサス‐活動調査」の結果を用いています。
また、時系列比較では、「経済センサス‐活動調査」において調査していない「国及び地方公共団体の事業所」を除いています。
産業分類
「事業所・企業統計調査」や「経済センサス」などでは、次に掲げる事業所は調査していません。
- 日本標準産業分類大分類A−「農業,林業」に属する個人経営の事業所
- 日本標準産業分類大分類B−「漁業」に属する個人経営の事業所
- 日本標準産業分類大分類N−「生活関連サービス業,娯楽業」のうち、小分類792−「家事サービス業」に属する事業所
- 日本標準産業分類大分類R−「サービス業(他に分類されないもの)」のうち、中分類96−「外国公務」に属する事業所
本トピックスの産業中分類別比較では、以下の産業は除いています。
- 平成28年の「無店舗小売業」(平成3年とは対応付けられないため)
- 個人経営の事業所が調査対象外になっている「農林漁業」(※)
- 平成3年は大部分が公営の事業所だった「郵便業」及び「郵便局」(※)
(※)産業中分類別割合を算出する際の母数からも除いています。
また、平成25年10月改定の日本標準産業分類に統一して分析していますが、改定前の産業分類が、平成25年10月改定時点では複数の産業分類に分かれていて対応させられず、該当産業中分類に占める割合が大きい場合は、次の表のとおり一つの分類に統合した上で分析しています。
【1 平成における産業構造の変化】
事業所数及び従業者数について、第三次産業の割合の推移をみると、事業所数は77.5%(平成3年)から81.6%(平成28年)、従業者数は64.6%(平成3年)から77.3%(平成28年)となっており、いずれも第三次産業の割合が徐々に上昇しています。(図1−1、図1−2)
図1−1 第三次産業の事業所数の割合の推移(平成3年〜28年)
図1−2 第三次産業の従業者数の割合の推移(平成3年〜28年)
注:平成3年は「事業所統計調査」、平成8、13、18年は「事業所・企業統計調査」、平成24、28年は「経済センサス‐活動調査」の結果をそれぞれ用いています(以下同じ。)。
「宿泊業,飲食サービス業」は、チェーン店の増加などにより、事業所数が減少している中でも、従業者数は増加
「サービス業(他に分類されないもの)」は、派遣労働者に対するニーズの高まりなどにより、従業者数が大きく増加
産業大分類別の事業所数・従業者数の割合の推移から特徴のある産業をみてみます。
「宿泊業,飲食サービス業」は、事業所数の割合が14.3%(平成3年)から13.0%(平成28年)に低下している一方、従業者数の割合は8.6%(平成3年)から9.4%(平成28年)に上昇しています。これは飲食店全体では減少傾向の中、短時間労働のアルバイトを多く雇っているチェーン店は増えていることなどが要因として考えられます。
また、「サービス業(他に分類されないもの)」(※)は、事業所数の割合が4.7%(平成3年)から6.5%(平成28年)、従業者数の割合が4.4%(平成3年)から8.4%(平成28年)と、いずれも上昇しており、上昇幅は従業者数の割合の方が大きくなっています。これは労働者派遣法の改正により、派遣労働者に対するニーズが高まったことなどが要因として考えられます。(図2−1、図2−2)
(※)労働者派遣業、建物サービス業、自動車整備業など
図2−1 産業大分類別事業所数の割合の推移(平成3年〜28年)
図2−2 産業大分類別従業者数の割合の推移(平成3年〜28年)
「社会保険・社会福祉・介護事業」、「医療業」は、高齢化の進展などで、事業所数と従業者数がともに大きく増加
「飲食料品小売業」、「飲食店」は、アルバイトを多く雇用する形態への変化などにより、事業所数が減少している中でも、従業者数は増加
産業中分類別に事業所数の割合が上昇した産業をみると、「社会保険・社会福祉・介護事業」(事業所数:2.8ポイント、従業者数:5.4ポイント)や「医療業」(同2.0ポイント、3.3ポイント)は、従業者数の割合も上昇しており、高齢化の進展などにより事業所数と従業者数がともに大きく増加している状況がうかがえます。
また、事業所数の割合が低下した産業の中で、「飲食料品小売業」(同▲2.8ポイント、1.2ポイント)や「飲食店」(同▲1.8ポイント、0.3ポイント)は、従業者数の割合が上昇しており、規模が小さい家族経営店が大きく減少する一方、短時間労働のアルバイトを多く雇っているチェーン店が増加していることなどが要因としてうかがえます。(表1−1、表1−2、表1−3、表1−4)
表1−1 産業中分類別事業所数の割合の増減(上位10位) 表1−2 産業中分類別従業者数の割合の増減(上位10位)
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表1−3 産業中分類別事業所数の割合の増減(下位10位) 表1−4 産業中分類別従業者数の割合の増減(下位10位)
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??注:数値がマイナスのものは「▲」で表しています(以下同じ。)。
【2 平成における女性従業者の変化】
女性従業者の割合をみると、平成3年は41.0%でしたが、平成28年は44.5%となっており、徐々に上昇しています。(図3)
図3 女性従業者の割合の推移(平成3年〜28年)
?????注:分母(男女計)からは、男女別の不詳を除いています(以下同じ。)。
女性従業者の割合は、「織物・衣服・身の回り品小売業」と「社会保険・社会福祉・介護事業」が高い
産業中分類別に平成3年の女性従業者の割合をみると、「社会保険・社会福祉・介護事業」(74.9%)が最も高く、次いで「医療業」(72.4%)などが高くなっています。一方、平成28年は、「社会保険・社会福祉・介護事業」や「医療業」が高い女性従業者の割合を保っている中で、「織物・衣服・身の回り品小売業」(74.9%)が最も高くなっています。これは、女性従業者の割合が比較的低い男子服小売業の事業所が大幅に減少していることなどが背景として考えられます。(表2−1、表2−2)
表2−1 産業中分類別女性従業者の割合(平成3年) 表2−2 産業中分類別女性従業者の割合(平成28年)
男性の職場といわれていた「鉄道業」において、女性従業者の割合が大きく上昇
産業中分類別に平成3年の女性従業者の割合が低かった産業をみると、「鉄道業」(2.9%)が最も低く、次いでバス業やタクシー業などの「道路旅客運送業」(8.8%)などが低くなっています。
同じ陸上交通産業の「鉄道業」と「道路旅客運送業」について、女性従業者の割合の増減をみると、男性の職場とみられていた「鉄道業」が7.2ポイント(平成3年は35人に1人、平成28年は10人に1人)と大きく上昇しているのに対し、「道路旅客運送業」は0.5ポイント(平成3年、28年とも11人に1人)とほぼ横ばいで、「鉄道業」は女性の進出が急速に進んでいることがうかがえます。(表3)
表3 産業中分類別女性従業者の割合(平成3年の下位10位)
【データの出所】
- 本トピックスでは、「経済センサス‐活動調査」等の結果を再編加工した下記の統計表のデータを用いています。
- 〔産業中分類別民営事業所数及び従業者数(平成3年〜28年)〕(エクセル:280KB)