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統計研修受講記(平成28年度 No.3)
「本科(総合課程)」(118期)を受講して
国税庁税務大学校研究部 左海 純
ここ数年、ビッグデータやIoTなどが話題となることが多く、これまで以上に統計が注目を集め、統計的分析手法を身に付けた人材の育成が重要視されてきています。
そのような中、総務省統計研修所(※)において本科研修を受講できることが決定した際は、統計に関する知識はほとんど持っていなかったため、講義内容を理解し、業務に持ち帰ることができるか多少の不安を抱えていました。
しかし、研修では「記述統計」や「推測統計」などの基本から学べるようカリキュラムが組まれており、各大学において最先端の統計学を研究されている教授の皆様を始めとする講師の方々から統計の理論について基礎からきっちりと学ぶことができました。
また、講義の中ではデータ分析のスキルを身に付けるための演習なども充実しており、「Excel」や統計解析ソフト「R」を使用し、多くの情報を読み取るためのデータ処理等の方法を学ぶこともできました。
最も多くの時間を割いて取り組んだ個人研究においては、講師の方々の御指導の下、1.自らテーマを定め、2.それに対する仮説を立て、3.公表データの中からその仮説を検証できるデータを収集し、4.データを加工・分析し、5.分析結果を読み取った上、6.結論としてレポートにアウトカムするといった一連の流れの中で、この研修で学ぶ統計の理論や技能等の全てを用いることで、統計的思考が自らのものとして培われたように思われました。
さらに、自らの研究をプレゼンテーションする機会も設けられており、パワーポイントの資料に工夫を凝らすなどして、分析の結果を分かりやすく聞き手に伝えるために苦心したことも良い経験となりました。
3か月という長丁場であり、受講科目も多岐にわたる大変な研修ではありましたが、統計について学ぶにつれ、その考え方・捉え方により、物事に対する新たな視点が広がっていくように感じられました。統計は活用するデータや分析手法などにより、表れる結果に大きな違いが出るため、その結果を解釈することの重要性はもとより、その前提条件などを十分に理解することも必要となります。そういった観点の重要性を認識できたことなども含め、有意義な研修であったと感じています。
近年ICT化の進展は目覚ましく、業務において膨大なデータ量を扱うことも珍しくなくなってきています。この研修を受講することで得られた統計的思考やデータ分析のスキルは、今後更に必要度が増していくものと思われます。私はこのような研修を受講する機会を与えていただいたことに感謝するとともに、今後もより多くの人がこの研修を受講し、統計的思考を学んでいただくことを願います。
最後になりましたが、御指導を頂きました講師の皆様や研修環境を整えていただいた統計研修所の皆様、研修生同期の皆様に心より感謝申し上げます。
(※)現 統計研究研修所
(統計調査ニュース 平成29年7月号より)