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統計研修受講記(平成28年度 No.1)
統計基本課程「調査設計の基本」を受講して
横浜市政策局総務部統計情報課 鈴木 康弘
私が所属する統計情報課では、大きく二つの事務を担当しています。一つは基幹統計調査に係る事務、もう一つは統計情報の整備提供です。
私は後者の事務に従事していますが、時折庁内の職員から「今度、標本調査を実施したいと考えているが、標本の数はどのくらい必要か、教えてほしい。」という旨の問合せを受けます。私自身、調査設計の事務に携わったことはなく、また専門書を読んでもよく分からず、結局その種の問合せに答えることができません。「調査設計の基本」の受講動機は、正にこの問合せに回答できるようにならねば、という思いによります。
当該研修で学習したことを簡単に紹介させていただきますと、まず、「統計調査」では、調査の必要性を明確化するところから調査票を作成するまでの一連のプロセスを学習しました。各工程においては徹底的な議論を行い、また、調査票の作成においては試験調査を行うなどして内容を精練していくことが重要と感じました。
「意識調査」では、「意識」を回答させるので、回答者の正確な意識を得るためには質問の表現や掲載順について熟慮すべきであることを学びました。実例を交えて解説していただいたので、理解しやすかったです。
「標本調査法」では、標本調査の意義や、標本の抽出方法等について学習しました。私が知りたかった「標本の数はどのくらい必要か」という問いについては、それは「標本の抽出方法によって変わるものであり、調査実施者が、標本誤差と許容誤差をどの程度に設定するかによっても異なる」という結論に達しました。つまり、調査実施者がその点を明確にしないと必要な標本の数は求められないことが分かりました。
「演習」では、講義の内容を踏まえ、グループに分かれて実際に調査設計を行いました。与えられたテーマで、いざ調査設計を開始すると、つい先ほどまで学習したにもかかわらず、調査事項を思うようにまとめることができません。締切時間に追われつつ、何とか調査票を完成することができましたが、発表時には、自分たちが気付けなかった改良点を多々御指摘いただきました。色々大変でしたが、演習があったことで講義の内容をより深められたと思います。
私は、普段の事務で「統計を利用する」ことが多いのですが、当研修を受講し、各種統計は「統計を作る(設計、調査する)」方々の御苦労と、御回答いただく方々の御協力の上にあると、改めて考えさせられました。
最後に、調査設計のポイントを分かりやすく、懇切丁寧に御教授くださった諸先生方、当研修準備に従事され、研修期間中も温かく見守ってくださった研修所事務職員の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げたいと思います。
(統計調査ニュース 平成28年9月号より)