ここから本文です。
統計研修受講記(平成27年度 No.1)
統計基本課程「社会・人口統計の基本」を受講して
糸島市企画部企画秘書課 大久保 二葉
私は、現在の部署で基幹統計調査及び統計書公表に関わる業務を担当しています。
所属する企画調整係では、ほかに総合計画や地方版総合戦略、実施計画、分野別計画の調整等を所管しており、統計業務がこの中に位置しているのは、各計画や事業の計画、実施、評価及び見直しのそれぞれの段階での基礎資料として、また、各方面への公平な説得材料として活用するためです。
基幹統計調査で市町村を経由する調査は、年によって重複することもあり(平成26 年度は6 調査)、統計担当としては、統計調査業務のみで負担が非常に大きいと感じます。
しかし、統計が企画部門に位置する本来の意味を考えたとき、統計調査業務だけではなく、公表されている統計データを基に、分析し、活用していく手法を身につけ、特に各種事業計画の成果指標設定や、市民満足度調査を始めとする社会調査の分析にいかしていければという思いで今回の研修に参加しました。
今回の中心となった講義は、「社会分析」です。主に社会調査(SSM:社会階層と社会移動全国調査)を例に、社会階層ごとの年次、性別、親の職業、教育への出資金額、進む学結果の関連性から導き出される教育機会の不平等について、分析ソフトRを用いて分析手法を学びました。
また、分析の前に、調査設定に当たってはリサーチクエスチョン(RQ)の設定が最も重要であること(例えば、高学歴化とともに教育機会の不平等はどのように変化してきたのか、平等化したのか、不平等化したのか、それとも変化していないのか)、つまり、どう分析するのかを先に考えて調査を設計する必要があるということについて、当たり前のことですが、改めてなるほどと思いました。
基幹統計調査だけでなく、大学機関等の実施する社会調査についても、調査規模(対象者・地域・時期)、回収率、信頼度など、調査概要を把握した上で活用することも重要であると感じました。
そのほか、「地域人口統計」、「将来人口推計」、「地域経済分析システム(RESAS)について」、「ジェンダー統計」の講義を受け、普段取り扱っている統計データがいかに活用され、また私たち自治体職員の活用を待っているかを再認識することができました。
特に、「社会分析」で習得したデータ分析について、今後、各分野の市民アンケ―トなどの独自調査設定時のアドバイスやその集約、調査結果の分析と公表についての取組が可能ではないかと考えています。
最後に、熱意と誠意を持って御教授くださった先生方、快適な研修環境を整えてくださった事務局職員の方々に心より厚く御礼申し上げます。
とても実りある研修であったと思いますので、興味のある自治体職員の皆様にも、受講をお勧めします。
(統計調査ニュース 平成27年11月号より)