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統計研修受講記(平成26年度 No.2)
特別コース「教育関係者向けコース」を受講して
愛媛県今治市立乃万小学校教諭 大谷 芳佳
私は、校内で今年初めて統計教育主任となったばかりで、統計教育についての知識も経験も十分でなく、どのように研修を進めていけばよいのか分からない状態でした。この講座で、統計教育の意義や方法を具体的に学び、日々の授業や校内研修に生かしたいと考え、参加させていただきました。様々な校種、職種の方々が全国から集まると聞いて、不安な気持ちでしたが、和やかな雰囲気の中、実践に基づいた具体的な講義を受けることができ、統計教育の概念や内容を少しずつ理解するとともに、実践に向けてのたくさんの情報を得ることができました。
「統計教育の重要性−確かで豊かな授業づくりに向けて−」では、統計指導の意義や重要性について学びました。情報化社会に生きる子どもたちは、情報に接する機会が増えています。また、将来社会人・企業人となった時にも、資料を読み取り、正しく判断する力が求められます。先進国のオーストラリアでは、資料作りのためのアンケートの質問文を考える授業や、加工された統計資料への批判的解釈をさせる授業など、新しい視点での授業が行われ、問題意識をもって資料を作成し、読み取る力を育てることに力を入れているそうです。実際に受講生でやってみると、今まで資料を批判的に見る経験がなかったのですが、活発に意見が出され、多様な考えが交流できました。授業でグラフ等の資料を扱う時、数値や増減を正しく読み取ることにばかり目が行って、資料から原因や対策を考え、意見を交流しあうような時間を設けていなかったことに気付きました。また、漠然とデータを見て、その製品の効果や売れ行きを過大評価していることが多いことにも気付き、普段の生活を振り返るきっかけにもなりました。
「統計データを使った授業展開」では、「少子高齢化に対する対策」というテーマでのグループ実習を行いました。課題を引き起こす要因を各自が付箋に書き、グループで話し合いながら分類し、特性要因図を作りました。その中の大きな要因と対策を考えて仮説を立て、仮説検証のための公的統計や項目を探し、発表するところまでが活動の流れだそうです。時間の関係で、仮説を立てる段階までしか進みませんでしたが、グループの発表を聞き、立場や環境が違う方々の様々な価値観に触れ、良い刺激となりました。
1日という限られた時間でしたが、内容の濃い充実した研修で、たくさんの知識や実践に役立つ発問、場面設定のヒントなどを得ることができました。この研修で学んだことを広く伝達し、自校の職員研修や日々の自分の授業に生かし、統計教育と教科との関連を図った実践を積み重ねていきたいと思います。熱心に御講義いただいた講師の方々、研修中に細やかな御配慮を頂いた統計研修所の皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
(統計調査ニュース 平成26年11月号より)