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統計研修受講記(平成21年度 No.1)
特別講座「経済統計入門」を受講して
国税庁税務大学校研究部税務情報センター 沓水 雅彦
税務大学校は税務職員向け研修機関ですが、租税・税務会計等に関する理論的、実証的な研究も行ってお り、私の所属するセンター(埼玉県和光市)では、税務行政への支援を主な業務とし、職務に有用な各種情 報提供や申告所得税標本調査(国税庁公表)等を活用した実証分析を行っています。そこで、今回の講座が、 業務に関連する分析手法を習得できる、また、最新の日本経済状況が聴講できる絶好の機会であったため、 参加を希望しました。
@「マクロ経済統計入門」では、経済循環のとらえ方、2008 SNAの最新情報、GDP分析、IS-LMモデルなど経済統計の基礎を教授していただきました。また,タイミングよく受講初日は平成21年1-3月期 GDP速報(1次)があり、年率換算で戦後最大のマイナス成長を記録したとの報道内容の説明もあったこ とから実に印象深い講義となりました。
A「消費・物価統計」では、家計調査(貯蓄・負債編)分析、物価指数の使用方法のほか、品質調整の方法(ヘ ドニック法)の紹介があり、決算書等の分析においてとても参考になると感じました。
B「生産・流通統計」では、企業活動分析の視点を中心に、新たな産業統計の仕組みを知ることのできる 内容でした。特に産業分類のところは、実務上、納税者管理のための業種選定に関係するため、とても有意 義なものとなりました。また、講義中、企業会計基準の変更を理解して分析することの重要性を説かれてい たことは、私どもがよりどころとする税務会計にも通じる部分があったため、身が引き締まる思いでした。 さらに、新たに創設された経済センサスの内容も背景を踏まえて分かりやすく説明していただき、大変参考 になりました。
C「日本経済の現状」では、景気統計の概要と現在直面する日本経済の状況について講義を受けました。 為替レートの読み解き方や設備投資計画(日銀短観)の重要性、そして、最も難題とされる家計部門での実 勢のとらえにくさの点も取り上げていただき、いろいろと興味深く受講ができました。こうした産業構造の 変化は税務申告と密接に関連するところもあり、今後の研究活動では欠かせない情報となりました。
最後になりますが、今回の貴重な経験は、早速、業務にいかしていきたいと考えております。折しも研修 期間中は新型インフルエンザ流行の兆しがありましたが、熱心に教鞭べ んを執ってくださった講師の先生方、そ して、より良い研修環境に御配慮いただいた研修所の方には心より厚くお礼申し上げます。
(統計調査ニュース 平成21年7月号より)