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統計Today No.115
平成27年国勢調査(人口等基本集計)結果の公表
―「初の人口減少」確定に当たって―
総務省統計局統計調査部 国勢統計課長 栗田 奈央子
平成27年10月1日現在で実施した国勢調査につきましては、去る平成28年10月26日に、人口等基本集計結果を公表しました。この集計は、全ての調査票を集計し我が国の人口や世帯等の全体像を把握することができる平成27年国勢調査の確定値となります。御回答いただいた皆様には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
今回、大正9年の調査開始以来、初めて我が国の人口が減少しました。本稿では、「初の人口減少」に関連する結果を幾つか御紹介します。
国勢調査結果として、大正9年以来初めて総人口が減少
我が国の人口(総人口)は、1億2709万4745人(平成27年10月1日現在)で、平成22年と比べると96万2607人の減少、割合としては0.8%の低下となり、大正9年の調査開始以来、初めて減少しました。(図1)
これは、高齢化の進展に伴う死亡者数の増加等が要因と考えられます。なお、国勢調査人口を基準に毎年公表している人口推計によると、平成20年の1億2808万4千人をピークとして人口の減少局面に入っていることが分かります。(図2)
図1 人口及び人口増減率の推移−全国(大正9年〜平成27年)
図2 総人口の推移−全国(平成12年〜27年)
(注) 平成12、17、22、27年は国勢調査人口。それ以外の年は、10月1日現在推計人口。(平成23年〜26年は補間補正値(暫定値))
初めて、65歳以上人口が総人口の4人に1人を超え、75歳以上人口が15歳未満人口を上回る
総人口を年齢3区分別にみると、65歳以上人口は一貫して増加を続けており、総人口に占める割合は26.6%と、初めて4人に1人を超えました。また、75歳以上人口の総人口に占める割合も12.8%と、15歳未満人口の12.6%を初めて上回り、少子高齢化が進展していることが分かります。(図3)
なお、数値の紹介は省きますが、我が国の65歳以上人口比率は世界で最も高い水準、15歳未満人口比率は世界で最も低い水準となっています。
図3 年齢(3区分)別人口の割合の推移−全国(大正9年〜平成27年)
低下傾向の続いていた30〜34歳人口の有配偶者率が男女とも微増
このような人口減少局面にある中で、有配偶者率と女性の労働力率に着目してみたいと思います。有配偶者率を年齢5歳階級別にみると、30歳代では、男女とも平成2年以降総じて減少傾向にありました。平成22年と今回を比べると、30〜34歳の男性は50.4%から50.8%に、30〜34歳の女性は60.8%から61.0%に、僅かではありますが増加に転じています。(表)
表 年齢(5歳階級)、男女別20〜49歳人口の有配偶者率の推移
−全国(平成2年〜27年)
30歳代女性の労働力率が初めて7割を超え、M字カーブの底が上昇
平成28年6月に公表した抽出速報集計結果から男女別の労働力率をみると、男性の労働力率は25歳から59歳まで一貫して9割以上となっています。一方、女性の労働力率は30歳代に低くなる傾向がみられますが、今回、72.4%と初めて7割を超え、いわゆるM字カーブの底が上昇しました。また、女性の25〜29歳の労働力率は80.9%と初めて8割を超え、女性の労働力率が上昇していることが分かります。(図4)
図4 年齢(5歳階級)、男女別労働力率−全国(昭和60年、平成22年、27年)
以上御紹介したのは今回の国勢調査結果のごく一部ですので、是非詳細な調査結果を御覧ください。(http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/kekka.htm)
今後も、人口移動、就業状態、世帯構造、従業地・通学地等に関する集計結果を順次公表する予定です。(http://www.stat.go.jp/data/kouhyou/e-stat_kokusei2015.xml)
国勢調査の結果が、皆様の暮らしや仕事等の参考となることを願っております。
(平成28年11月28日)