ここから本文です。
統計Today No.80
経済の基本的構造の変化が浮き彫りに
−平成26年経済センサス‐基礎調査の実施について−
総務省統計局統計調査部経済基本構造統計課長 佐藤 正昭
総務省統計局では、平成26年7月1日を調査期日として「平成26年経済センサス‐基礎調査」を実施します。
この調査は、事業所及び企業の活動の状態を調査し、全ての産業分野における事業所及び企業の従業者規模等の基本的構造を全国及び地域別に明らかにするとともに、各種統計調査の基礎となる母集団情報の整備を図ることを目的として実施するものです。
経済センサスは、日本全国にある全ての事業所・企業を対象として調査を実施しますので、「経済の国勢調査」とも言われています。
この経済センサスは、事業所及び企業の基本的構造を明らかにする「基礎調査」と事業所及び企業の経済活動の状況を明らかにする「活動調査」の二つで構成されており、両調査が相まって日本の経済状況を的確に捉えることができるようになっています。
基礎調査は、平成21年に第1回調査を実施し、今回の調査は第2回調査となります。
経済センサスの調査結果から分かること
平成24年2月に実施した「経済センサス‐活動調査」によれば、我が国の事業所数は576万8千事業所であり、その従業者数は5583万7千人となっています。(表1)
表1 産業大分類別事業所数及び従業者数
そのうち、企業数、すなわち会社などの法人企業や個人経営企業などの数は412万8千企業となっています。さらに、売上(収入)金額の総額は1335兆5083億円、付加価値額は244兆6672億円となっています。(表2)
表2 産業大分類別企業数、売上高及び付加価値額
事業所数及び企業数は、平成21年経済センサス‐基礎調査から減少しましたが、そのような中でも「医療,福祉」に関する分野では増加となっています。(表1、表2)
雇用状況についての動きをみても、「医療,福祉」の事業所に勤める従業者は、平成21年の563万人から618万人と55万人増えています。(表1)
表3 産業大分類別、男女別従業者数
また、男女別に見てみますと、女性従業者では「医療,福祉」と「教育,学習支援業」の二つの産業で増加となっており、このような分野で女性の雇用創出が進んでいることが分かります。(表3)
今回実施する「経済センサス‐基礎調査」では、調査事項として新たに「年間総売上(収入)金額」を把握することといたしました。
年間総売上(収入)金額は、事業所の規模を表す重要な指標の一つです。経済活動の変化や動向が明らかになり、産業分類別、経営組織別、従業者規模別の売上(収入)金額を知ることができます。
また、経済に関する統計調査の実施において、事業所の規模に応じてグループに分けて、より詳細かつ効率的な標本設計を行う場合にも有用です。
今回の調査実施上の特徴
平成26年に実施される大規模調査として、経済産業省所管の商業統計調査があります。商業統計調査は、全国の商業(卸売業・小売業)を営む事業所について、産業別、従業者規模別、地域別等に従業者数、商品販売額等を把握し、我が国商業の実態を明らかにし、商業に関する施策の基礎資料を作ることを目的として実施している調査です。
経済センサス‐基礎調査と商業統計調査は、共に平成26年に実施するため、調査対象となる事業所及び企業における記入負担の軽減、効率的かつ円滑な調査の実施等の観点から、両調査を一体的に実施することとしています。
また、今回の調査では、オンライン調査の対象を調査員調査の対象事業所(単独事業所)まで拡充することとしています。これにより、回答方法の多様化による報告者の利便性の向上とともに、報告者の情報保護意識への対応を図ることとしています。
おわりに
経済センサス‐基礎調査の実施により、日本経済の「いま」を把握することができ、様々な施策の推進につなげることができます。
また、経済センサス‐基礎調査によって、現在進行中の「アベノミクス」によるデフレ脱却を掲げた経済財政政策の効果などについても、地域別、産業別など様々な視点から分析・検証できることが期待されます。
なお、平成26年経済センサス‐基礎調査を円滑に行うため、広報活動も展開しております。今回、女優の桐谷美玲さんにもお手伝いいただき、ポスターや新聞、CMなどで桐谷さんが登場し、調査の実施についてアピールします。
平成26年経済センサス‐基礎調査は、日本経済の現状を明らかにするための調査です。どうぞ、御理解・御回答のほど、よろしくお願いいたします。
(平成26年6月20日)