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統計Today No.49
社会・人口統計体系の整備
− 統計からみる地域のすがた −
総務省統計局統計調査部調査企画課調査官 河野 好行
近年、経済成長の水準を示すGDP(国内総生産)(内閣府)では生活の豊かさを測れないとして、幸福度の議論が盛んになっています。総務省統計局では、生活の豊かさを測るためには、GDP以外に、生活全般の実態を示す様々なデータが必要であるところから、このようなデータを「社会・人口統計体系」として地域ごとに整備して、広く公開しています。この体系の中から都道府県別の主要なものを「社会生活統計指標 −都道府県の指標− 2012」として取りまとめ、本年1月に刊行しましたので、これも含めて「社会・人口統計体系」を紹介します。
社会・人口統計体系とは?
「社会・人口統計体系」は、人口・世帯、自然環境、経済基盤、行政基盤、教育、労働、文化・スポーツ、居住、健康・医療、福祉・社会保障、安全、家計及び生活時間の13分野における国民生活全般の実態を示す約4,200の地域別データを収集・加工し、これを体系的に編成して、国、地方公共団体の各種の計画や施策を始めとした地域分析の情報基盤として提供されています。
社会・人口統計体系を利用するには?
「社会・人口統計体系」は、政府統計の総合窓口(e-Stat)又は統計局ホームページから利用することができます。例えば、政府統計の総合窓口(e-Stat)から利用しようとする場合には、「都道府県・市区町村のすがた」の中に「地域別統計データベース(e-Stat)」がありますので、ここから、地域(都道府県、市区町村)を選択して、利用したい基礎データや指標データを探し出すことができます。さらに、探し出した基礎データや指標データから、統計表を表示したり、グラフ(地図)を表示したり、印刷・ダウンロードなどを行うこともできます。
『e-Stat地域別統計データベース』
社会・人口統計体系は、なぜ地域別に整備する必要があるのですか?
我が国は、東日本大震災の復旧・復興、人口減少に転じた地域の再生など、地域の再生なくして国の再生なし、と言われるように、地域のことは地域で決める地域主権の理念の下で、地域経済の活性化や地域雇用の創造を推進することによって、地域の視点から地域再生を目指す必要があります。「社会・人口統計体系」は、このような需要に応えるため、昭和51年以来、国民生活やこれを取り巻く社会情勢の変化に合わせて整備してきました。直近の大きな見直しは、1999年、福祉・社会保障に関する分野、地域住民と密接な関係にある地方公共団体の施策に関する分野などを新たに整備しました。現在も、国民生活やこれを取り巻く社会情勢の変化に合わせて、「社会・人口統計体系」の拡充・整備を進めています。
地域別に整備すると、どのようなことが分かるのですか?
自家用自動車の人口1,000人当たりの保有状況を都道府県別にみると、東京都(233台)、大阪府(300台)、神奈川県(330台)、京都府(367台)、兵庫県(395台)など、主に南関東や近畿地方で少なくなっているのに対して、群馬県(642台)、栃木県(619台)、茨城県(614台)、富山県(613台)、長野県(601台)など、主に北関東や中部地方で多くなっています。東京都、大阪府などでは、自家用車の保有台数がここ数年減少してきていますが、超高齢化社会の中で車を運転しない高齢者の増加や地球環境にやさしい街づくりの推進などが背景にあると言われています。今後、地域の公共交通機関の在り方を考える上で重要な政策指標の一つとなっています。
図 自家用乗用車数(人口千人当たり)
「社会生活統計指標 −都道府県の指標− 2012」を刊行しました!
「社会生活統計指標 −都道府県の指標− 2012」は、「I 社会生活統計指標」、「II 基礎データ」及び「III 基礎データの説明」の三部構成となっています。本書では、指標データや基礎データの項目ごとに、最新年度を含めて過去3回分のデータを掲載していますので、時系列比較もできます。また、姉妹編として「統計でみる都道府県のすがた 2012」も刊行しています。この報告書は、「社会生活統計指標 −都道府県の指標− 2012」の中から、主要な指標値を選定し、各都道府県の指標が一覧できるように編成したものです。この報告書の内容は、統計局ホームページからも見ることができます。
なお、社会・人口統計体系の中から、市区町村別の基礎データを取りまとめて「統計でみる市区町村のすがた 2012」を6月に刊行する予定ですので、「統計でみる都道府県のすがた 2012」と併せて御活用いただきたいと思います。
『社会生活統計指標 −都道府県の指標− 2012』
『統計でみる都道府県のすがた 2012』
(平成24年3月6日)