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統計Today No.37(その2)
統計利用者の皆様へ − 東日本大震災の影響への対応について
総務省統計局長 川崎 茂
この度の東日本大震災では、多くの方々がお亡くなりになりました。ご家族や親しい方を失われた皆様に心よりお悔やみ申し上げます。また、震災と津波、そして、それに伴って発生した原子力発電所の事故により、多くの方々が避難を余儀なくされ、今なお厳しい状況に置かれています。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
この大災害によって、岩手県、宮城県、福島県を中心に、毎月の統計調査の実施が困難な状況となっています。統計への具体的な影響は、各統計調査の設計や実施方法などによって異なりますが、4月下旬に公表予定の消費者物価指数、労働力調査、家計調査の3月分結果については、前記3県の調査が困難となった地域の標本を除外した推計結果を公表する方向で準備を進めています。
これにより、統計の精度に影響が生じ、従来の時系列との比較が難しくなるなど、統計利用者の皆様にはご不便をおかけすることとなりますが、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。もとより、統計を作成するには、その元となるデータを調査対象者から提供していただくことが大前提となります。しかし、この度の大災害では、被災地域の調査対象者の方々には、生活の維持・再建に追われ、ご回答をいただける状況にはない方が多数おられます。また、調査事務を行う地方公共団体の職員や統計調査員も被災されている上に、被災地支援や復興対策などを優先して取り組んでおられる状況です。
このような状況に対応して、今後、統計の公表時期、集計方法、集計内容等を変更する場合がありますが、その場合にはできるだけ事前にその旨をお知らせしてまいります。また、通常の公表内容との相違点や、データを見る上での留意点などの補助情報や解説をできる限り提供してまいります。これらの情報については、統計局のそれぞれの統計調査に関するホームページにおいて公表してまいりますのでご参照ください。
私どもは、今後の状況の推移を見極めながら、地方公共団体の方々とご相談の上、早期に統計調査を復旧させるよう努めてまいります。また、現在の被災下の状況においても、統計調査にご回答をいただける世帯や事業所も若干ながらおられる場合もありえます。その場合には、いただいたご回答はできる限り何らかの統計として公表したいと考えています。ただし、その場合、標本数の不足などにより、十分な精度の確保は難しいと思われますので、その旨も併せてご説明したいと考えています。
公的統計は、平常時はもちろん、災害時やその後の時期においても、社会の情報基盤として重要な役割を担うものと認識しており、私どもは引き続き信頼できる有用な統計を作成・公表してまいります。利用者の皆様方には、今後とも公的統計に対してご理解とご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(平成23年4月13日)