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統計Today No.25
平成21年度統計法施行状況報告を公表しました
総務省政策統括官(統計基準担当) 池川 博士
新たな統計法の全面施行後1年を経過し、総務省(政策統括官(統計基準担当))では、平成22年6月18日、統計法に基づく初めての施行状況報告を取りまとめて公表し、同日付けで、統計委員会に報告しました。
統計法施行状況報告とは?
平成21年4月、旧統計法の全部を改正する新たな統計法(以下単に「統計法」といいます。)が全面施行され、新たな仕組みとして、統計法を所管する総務大臣は、公的統計を作成する国の機関、地方公共団体等から統計法の施行状況に関する報告を受けて、これを取りまとめ、公表するとともに、統計委員会に報告することとなりました。
公的統計の体系的整備が総合的かつ計画的に行われ、公的統計の中立性、信頼性が確保され、さらに広く国民の皆様が公的統計を容易に入手し効果的に利用できるようにするため、統計法に基づく様々な施策がどのように行われ、あるいは、これからどのような施策が行われるのか、といったことを一つのまとまった資料として公にし、皆様に御説明するものが、統計法施行状況報告です。
報告書の内容は、だれでも見ることができるの?
こちらの「平成21年度統計法施行状況報告」(PDF:2,758KB)から、入手することができます。
統計法に基づいて作成される公的統計は、「国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報」(統計法第1条)です。国や地方公共団体の政策決定に欠かせないのみならず、社会の様々な活動に重要な役割を担うものです。ですから、公的統計は、質の高いもの、使いやすいものにしていかなくてはなりません。そのためには、公的統計の被調査者であり、また利用者である国民の皆様に、公的統計の作成状況、利活用の状況などについて、御説明し、御理解を頂き、また、国民の皆様の御意見を聴くことで、公的統計をより良いものとするよう努めていくことが大切であると考えています。
報告書には、どんなことが書かれているの?
統計法施行状況報告は、「本編」、「別編」、「資料編」の3編構成となっています。
本編
統計法に定められている事項ごとに、施行状況を概括しています。主な事項は、次のとおりです。

- 基本計画に掲載された196の施策の、平成21年度中の推進実績を取りまとめています。
少子高齢化、ワークライフバランス等に対応した統計整備のため出生、婚姻等の人口動態統計の集計を充実したこと、統計調査のスリム化のため、農林業センサスの調査項目の大幅な簡素化、特定サービス産業実態調査の一部を調査員調査から郵送調査に移行したことなど、主な推進実績をまとめています。
- 平成22年国勢調査について、基幹統計調査に係る総務大臣の承認手続が完了したことや、統計調査の対象となる企業・事業所などの負担軽減に役立つ「事業所母集団データベース」についてその精度向上のための情報整備を行っていることなどをまとめています。
- 統計法により新たに導入されたオーダーメード集計(学術研究等のために、一般からの求めに応じて、行政機関等が統計の作成等を行う制度)や匿名データの提供(統計調査で得られた調査票情報を、秘密保護の観点から、特定の個人や法人の識別ができないように加工して、学術研究等の用に供する制度)によるデータ提供の状況などをまとめています。

- 統計委員会は、統計法に基づき総務大臣等の諮問事項等を調査審議することを目的として内閣府に設置された第三者機関であり、平成21年度中の諮問・答申の状況などをまとめています。
- 総務省が中心となって政府全体で運営する統計ポータルサイトであるe-Statを通じた各種公的統計の情報提供についてまとめています。
別編
基本計画では、196の施策項目を掲げ、それぞれについて、担当府省と実施時期を明らかにしています。
別編では、実施時期の違いによって項目を選別することなく、この196の施策項目のすべてについて、平成21年度中の各府省の取組状況をまとめています。
資料編
統計法の施行状況を概観する上で参考となる資料をまとめています。
報告書は、提出しておしまいですか?
統計委員会では、報告書の提出を受けて、今秋9月を目途に統計法の施行状況について調査審議を行うこととしており、必要があれば、各大臣等に対して意見を述べることができます。
皆様におかれましても、少し大部の資料ですが、是非統計法施行状況報告を御覧いただけたら幸いです。また、御意見がございましたら、「公的統計調査の調査票情報等の学術研究等への活用」ご意見・ご要望の受付(総務省)にアクセスしていただき、遠慮なく皆様の声をお寄せいただきたく存じます。
おわりに
今回の報告書は、初めて取りまとめたものですので、まだまだ不十分なところがあるかと思いますが、引き続きより良いものとするよう努めてまいります。そして、皆様方の貴重な御意見をしっかりと踏まえ、「公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保を図り、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与する」(統計法第1条)ことができますよう、統計行政運営に取り組んでまいります。
統計は、数値情報ですから、皆様お一人お一人の統計調査の御回答の内容は、間違いなく調査結果に反映されることになります。ですから、統計法は、国勢調査などの重要な公的統計である基幹統計については、その真実性を確保するため、基幹統計調査の報告を拒んだり、虚偽の報告をしたり、報告を妨げたりしてはならないことを定めています。皆様方におかれましても、公的統計が、国や地方公共団体の政策決定に不可欠のみならず、企業の経済活動等における意思決定、大学や研究機関等における学術研究活動、国際機関における国際比較等、幅広く重要な役割を担っていることを御理解いただき、統計調査等に引き続き御支援御協力を賜りますようお願い申し上げます。
(平成22年7月5日)