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統計Today No.8
経済センサス‐基礎調査の実施について
総務省統計局統計調査部経済基本構造統計課長 岩佐 哲也
経済センサスの創設について
総務省統計局では、平成21年7月1日現在で、「平成21年経済センサス‐基礎調査」を初めて実施します。この調査は我が国における事業所及び企業の活動を調査し、すべての産業分野における経済の構造を明らかにするとともに、事業所・企業を対象とする各種統計調査を、効率的かつ正確に実施するための母集団情報の整備を行うことを目的として実施するものです。
これまで、事業所を対象とする大規模な統計調査は、総務省が事業所・企業統計調査やサービス業基本調査を、経済産業省が商業統計調査や工業統計調査をそれぞれ実施しており、それらが必ずしも同じ周期で実施されていなかったこともあり、産業全体を見渡した統計が無く、結果の利用にも制約があるという問題がありました。そこで、それらを統合して一時期に調査をすることにより、統計の精度、例えばGDPの推計精度を高め、それに加えて報告者の負担も軽減するといった目的のために、経済センサスを創設しました。
経済センサス‐基礎調査と活動調査
経済センサスの最終的な目標は、すべての産業にわたって必要な経理項目を把握することにありますが、まずは事業所の捕捉を可能な限り行い、事業所の基本構造(事業の種類・業態、従業員数等)や母集団名簿を整備することに主眼をおいた調査を、「平成21年経済センサス‐基礎調査」として実施します。近年はSOHOなど、外見からは事業所が識別できないものも増加しており、その点に対応するため、過去の調査における事業所の情報に加えて、商業・法人登記を行った事業所の情報も利用して調査をし、すべての事業所を把握するようにしています。
今回実施する基礎調査で把握された母集団情報を利用して、平成24年2月には経理事項を調査する、「経済センサス‐活動調査」を実施し、これにより、より幅広く正確な事業所の経理項目の把握が行えると考えております。
効率的な調査の実施
経済センサスの創設に伴って、これまで実施してきた事業所・企業統計調査とサービス業基本調査は廃止することとしています。また、商業統計調査や工業統計調査についても、調査の回数を減らすなど、調査客体に対しての調査の負担を軽減する予定です。また、調査の実施に当たっては、ICTを活用してオンラインにより回答できるようにしたり、本社において支社等の情報をまとめて回答していただいたりすることなどにより、回答者の負担を軽くするよう努めています。
調査結果の活用
経済センサスの結果は国において、地方消費税の清算や市町村への交付の際の基礎資料、GDPなど国民経済計算の推計における基礎的データ、経済、環境、雇用、中小企業、男女共同参画など、政策のための重要な基礎資料として活用されます。
地方公共団体においては、地下鉄やバス路線の整備や防災対策の基礎資料、電気・ガス・水道などの各種エネルギー供給に係る施策の基礎資料、通信設備の整備、都市の再開発計画などの基礎資料など、幅広い行政施策に利用されます。また、民間においても、様々な調査研究における利用など、幅広い分野で極めて重要な統計データとして利用されることとなります。
また、今後、国では事業所に関して実施される様々な調査についての情報をできるだけ集約し、事業所情報に関するデータベース(ビジネスレジスター)を整備することとしており、経済センサスはビジネスレジスターの基礎情報として利用されます。
おわりに
経済センサスは日本の経済活動の実態を、正確かつ包括的に把握するための統計調査であり、統計法(総務省)に基づく基幹統計調査として実施されます。統計法では、経済センサスの調査対象である個人企業、法人、その他の団体に対し、報告の義務を定めています。また調査する側の国、地方公共団体、調査員などに対しては、調査内容を他に漏らすことを禁じ、これに反した場合には罰則を定めています。
今後、国内のすべての事業所・企業に対して、6月中に郵送又は調査員が調査票を配布しますので、調査の円滑な実施に対する御回答をお願いいたします。
※統計局ホームページの経済センサス関連の情報はこちらの「経済センサス総合ガイド」を御覧ください。

経済センサスキャラクター ビルくんとケイちゃん
ビルくんはビル、ケイちゃんは経済を表しています。
事業所・企業等の象徴であるビルに統計調査を意味するペンを持たせ、経済をシンボル化した¥マークと共に、親しみやすいキャラクターにしました。
「より見、よく知り、クリアな統計データで経済社会の未来を築こう」という思いが込められています。
(平成21年6月15日)