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平成21年全国消費実態調査 二人以上の世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果の要約
平成22年12月24日 公表
の項目は、政府統計の総合窓口「e-Stat」掲載の統計表です。
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1 1世帯当たりの消費支出は,前回調査(平成16年)に比べ6.0%の減少
- 二人以上の世帯の平成21年9月〜11月の1か月平均消費支出は,1世帯当たり300,936円。
- 平成16年と比べると名目で6.0%(年率1.2%)の減少,消費者物価の変動を除いた実質で6.1%(同1.3%)の減少。
- 二人以上の世帯の1世帯当たり消費支出は,名目及び実質共に,調査開始(昭和34年)以降初めての減少となった平成11年以降減少が続いている。
図1 1か月平均消費支出の対前回増減率(年率)の推移(二人以上の世帯)
表1 1か月平均消費支出の推移(二人以上の世帯)
2 年間収入のジニ係数は上昇,消費支出の擬ジニ係数は低下
- 二人以上の世帯について年間収入のジニ係数をみると,平成21年は0.311で,昭和54年から一貫して上昇。
- 消費支出の擬ジニ係数をみると,平成21年は0.159で,16年に引き続き低下。
- 世帯主の年齢階級別にみると,年間収入のジニ係数,消費支出の擬ジニ係数とも年齢階級が高くなるに従っておおむね上昇する傾向がみられるが,特に年間収入のジニ係数においてその傾向が強い。
ジニ係数:分布の集中度あるいは不平等度を表す係数。0に近づくほど平等,1に近づくほど不平等となる。
擬ジニ係数:ジニ係数と同じ計算方法を適用し,所得階級間格差を測る係数(消費支出を年間収入の総額の低い方から累計して便宜的に求めた。)
図2 年間収入のジニ係数及び消費支出の擬ジニ係数の推移(二人以上の世帯)
図3 世帯主の年齢階級別年間収入のジニ係数及び消費支出の擬ジニ係数(二人以上の世帯)
3 ライフステージにより異なる消費構造
- 二人以上の世帯のうち勤労者世帯のライフステージを仮定して家計収支を比べると,第1ステージは,持ち家率が低いことから,消費支出に占める住居の割合が19.8%と他のステージに比べて高い。また,共働き世帯が半数以上を占め,他のステージに比べて実収入に占める世帯主の配偶者の勤め先収入の割合が高い。
- 第2ステージは,他のステージに比べて交通・通信の割合が高い。また,子供の出生に伴い,教育が8.2%を占めている。世帯主の配偶者が育児などのために勤めを辞めていることが多く,他のステージに比べて実収入に占める世帯主の配偶者の勤め先収入の割合が低い。
- 第3ステージは,食料の割合が25.0%と最も高く,子供の食事代などへの支出が多くなっているとみられる。
- 第4ステージは,教育の割合が27.7%と最も高く,教育以外の費目の割合が他のステージに比べて低い。また,消費支出が可処分所得を上回り赤字となっている。
- 第5ステージは,他のステージに比べて保健医療,教養娯楽,交際費などの「その他の消費支出」の割合が高い。また,消費支出が可処分所得をわずかに上回り赤字となっている。
第1ステージ:夫婦のみの世帯(夫30歳未満)
第2ステージ:夫婦と子供が2人の世帯(長子が未就学児)
第3ステージ:夫婦と子供が2人の世帯(長子が中学生)
第4ステージ:夫婦と子供が2人の世帯(長子が大学生*)*大学院生も含む。
第5ステージ:夫婦のみの世帯(夫60歳以上)
図4 ライフステージ別1か月平均消費支出の費目構成(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)
表2 ライフステージ別1か月平均実収入及び消費支出(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)
4 貯蓄及び負債共に,調査開始以降初めて減少
- 二人以上の世帯の1世帯当たり貯蓄現在高は1521万円で,平成16年と比べると2.2%の減少。一方,負債現在高は543万円で7.0%の減少。貯蓄及び負債共に調査開始以降初めての減少。
- 世帯主の年齢階級別にみると,貯蓄現在高は60歳代までは世帯主の年齢が高くなるに従って多くなっている。一方,負債現在高は40歳代が最も多い。
- 世帯主の年齢が40歳未満では負債が貯蓄を上回る。
図5 世帯主の年齢階級別貯蓄・負債現在高(二人以上の世帯)
表3 世帯主の年齢階級別貯蓄・負債現在高の推移(二人以上の世帯)
5 住宅ローンのある世帯の住宅ローン返済割合は上昇
- 勤労者世帯のうち住宅ローンのある世帯の消費支出は,平成16年と比べると実質5.4%の減少。住宅ローンのない世帯(−6.6%)に比べて減少幅が小さい。
- 平均消費性向は住宅ローンのある世帯が75.0%,住宅ローンのない世帯が85.9%。平成16年と比べると,それぞれ1.0ポイント,1.9ポイントの上昇と住宅ローンのない世帯の上昇幅が大きい。
- 住宅ローンのある世帯の住宅ローン返済額は73,920円で,平成16年と比べると4.0%の増加。住宅ローン返済割合(可処分所得に占める住宅ローン返済額の割合)は16.9%で,平成16年と比べると1.7ポイントの上昇。
表4 住宅ローンの有無別1か月平均実収入及び消費支出(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)
6 住宅ローン返済割合は全ての年齢階級で上昇
- 勤労者世帯のうち住宅ローンのある世帯の住宅ローン返済額を世帯主の年齢階級別にみると,全ての年齢階級で6〜7万円台となっている。
- 住宅ローン返済割合(可処分所得に占める住宅ローン返済額の割合)は,60歳以上が最も高く20.2%。一方,最も低いのは50歳代の14.1%。
- 住宅ローン返済割合を平成16年と比べると,全ての年齢階級で上昇。
図6 住宅ローンのある世帯の世帯主の年齢階級別住宅ローン返済割合(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)
7 40歳未満の世帯で,インターネット接続料が固定電話通信料を上回る
- 二人以上の世帯のインターネット接続料及び固定電話通信料について,世帯主の年齢階級別に支出金額をみると,インターネット接続料は40歳代が最も多く,固定電話通信料は60歳代が最も多くなっている。
- 二人以上の世帯のインターネット接続料と固定電話通信料を比べると,40歳未満で,インターネット接続料が固定電話通信料を上回る。
図7 世帯主の年齢階級別インターネット接続料及び固定電話通信料(二人以上の世帯)
(参考)単身世帯
8 購入先別の支出割合は一般小売店などで低下,ディスカウントストア・量販専門店などで上昇
- 二人以上の世帯の消費支出(サービス料金などを除く。)について,購入先別の支出割合をみると,スーパーが36.0%と最も高い。
- 購入先別の支出割合の推移をみると,一般小売店,百貨店などの割合は低下。コンビニエンスストア,ディスカウントストア・量販専門店,通信販売などの割合は上昇。
表5 消費支出に占める購入先別支出の推移(二人以上の世帯)
9 消費支出は富山県が最も多く,沖縄県が最も少ない
- 二人以上の世帯の1世帯当たり消費支出を都道府県別にみると,富山県が最も多く,次いで神奈川県,奈良県,東京都,滋賀県と続いている。一方,沖縄県が最も少なく,次いで長崎県,熊本県,青森県,宮崎県と続いている。
図8 都道府県別1か月平均消費支出(二人以上の世帯)
10 貯蓄現在高は香川県,負債現在高は東京都が最も多い
- 二人以上の世帯の1世帯当たり貯蓄現在高を都道府県別にみると,香川県が最も多く,次いで奈良県,神奈川県,愛知県と続いている。一方,沖縄県が最も少なく,次いで青森県,鹿児島県,熊本県と続いている。
- 二人以上の世帯の1世帯当たり負債現在高を都道府県別にみると,東京都が最も多く,次いで神奈川県,埼玉県,愛知県と続いている。一方,岩手県が最も少なく,次いで鹿児島県,香川県,和歌山県と続いている。
図9 都道府県別貯蓄現在高(二人以上の世帯)
図10 都道府県別負債現在高(二人以上の世帯)
11 交通関係支出に占める自動車等関係費の割合は島根県,秋田県が高い
- 二人以上の世帯の電車代,バス代,タクシー代などの交通と,自動車の購入,ガソリン,自動車保険料などの自動車等関係費への支出の合計に占めるそれぞれの費目の割合を比べてみると,自動車等関係費の割合は島根県及び秋田県が91.6%と最も高く,次いで山形県,徳島県,富山県,鳥取県と続いている。
- 交通の割合は,東京都が36.3%と最も高く,次いで神奈川県,埼玉県,大阪府,奈良県と続いている。
図11 都道府県別自動車等関係費への支出割合(二人以上の世帯)
12 県外での購入割合は,関東地方,近畿地方などの大都市近隣の県で高い
- 二人以上の世帯の1世帯当たり消費支出の購入地域別割合を都道府県別にみると,「他の市町村(県外)」で購入する割合は,奈良県が15.9%と最も高く,次いで埼玉県,神奈川県,茨城県,滋賀県,京都府と続いている。一方,沖縄県が1.5%と最も低く,次いで北海道,青森県,秋田県,山形県,新潟県と続いている。
図12 都道府県別消費支出の他の市町村(県外)での購入割合(二人以上の世帯)