ここから本文です。
平成16年全国消費実態調査二人以上の世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果速報(要約)
平成17年12月19日 公表
1 1世帯当たりの消費支出は,前回調査(平成11年)に引き続き減少
- 全世帯の平成16年9月〜11月の1か月平均消費支出は,1世帯当たり320,063円。
- 平成11年と比べると名目で4.5%(年率0.9%)の減少,消費者物価の変動を除いた実質で1.3%(年率0.3%)の減少。
- 1世帯当たりの消費支出は,前回調査で調査開始(昭和34年)以来初めての減少となり,今回も引き続き減少。
図1 1か月平均消費支出の対前回増減率(年率)の推移(全世帯)

表1 1か月平均消費支出の推移(全世帯)
2 年間収入の世帯間格差は拡大,消費支出の世帯間格差はほぼ横ばい
- 全世帯について,年間収入の世帯間格差をジニ係数でみると平成16年は0.308で,昭和54年から一貫して上昇。
- 消費支出の所得階級間格差を擬ジニ係数でみると,平成16年は0.163で,元年からほぼ横ばい。
- 世帯主の年齢階級別にみると,年間収入のジニ係数,消費支出の擬ジニ係数とも年齢階級が高くなるに従って上昇する傾向がみられるが,特に年間収入のジニ係数においてその傾向が強い。
図2 年間収入のジニ係数及び消費支出の擬ジニ係数の推移(全世帯)
図3 世帯主の年齢階級別年間収入のジニ係数及び消費支出の擬ジニ係数(全世帯)
3 ライフステージにより異なる消費構造
- 勤労者世帯のライフステージを仮定して家計収支を比べると,第1ステージは,持ち家率が低いことから,消費支出に占める住居の割合が他のステージに比べて高い。また,共働き世帯が半数以上を占め,他のステージに比べて実収入に占める世帯主の配偶者の勤め先収入の割合が高い。
- 第2ステージは,食料の割合が高く,子供の食事代などへの支出が多くなっているとみられる。また,世帯主の配偶者が育児などのために勤めを辞めていることが多く,他のステージに比べて実収入に占める世帯主の配偶者の勤め先収入の割合が低い。
- 第3ステージは,教育の割合が高く,教育以外の費目の割合が他のステージに比べて低い。また,消費支出が可処分所得を上回り赤字となっている。
- 第4ステージは,他のステージに比べて食料,教養娯楽,交際費などの「その他の消費支出」の割合が高い。
図4 ライフステージ別1か月平均消費支出の費目構成(勤労者世帯)
表2 ライフステージ別1か月平均実収入及び消費支出(勤労者世帯)
4 調査開始以来,増加率が最も低くなった貯蓄及び負債
- 全世帯の1世帯当たりの貯蓄現在高は1556万円で,平成11年と比べると4.8%の増加。一方,負債現在高は584万円で3.0%の増加。増加率はともに調査開始以来最も低い。
- 世帯主の年齢階級別にみると,貯蓄現在高は世帯主の年齢が高くなるに従って多くなる。一方,負債現在高は40歳台が最も多い。
- 世帯主の年齢が30歳未満及び30歳台の世帯では負債が貯蓄を上回る。
図5 世帯主の年齢階級別貯蓄・負債現在高(全世帯)
表3 世帯主の年齢階級別貯蓄・負債現在高(全世帯)
5 住宅ローンのある世帯の住宅ローン返済割合は上昇
- 勤労者世帯のうち住宅ローンのある世帯の消費支出は,平成11年と比べると実質2.6%の減少。住宅ローンのない世帯(-1.2%)に比べて減少幅が大きい。
- 平均消費性向は住宅ローンのある世帯が74.0%。住宅ローンのない世帯が84.0%。平成11年と比べると,それぞれ0.6ポイント,5.3ポイント上昇と住宅ローンのない世帯の上昇幅が大きい。
- 住宅ローンのある世帯の住宅ローン返済額は71,081円で,平成11年と比べると10.0%の増加。住宅ローン返済割合(可処分所得に占める住宅ローン返済額の割合)は15.2%で,平成11年と比べると2.3ポイントの上昇。
表4 住宅ローンの有無別1か月平均実収入及び消費支出(勤労者世帯)
6 住宅ローン返済割合は30歳未満を除くすべての年齢階級で上昇
- 勤労者世帯のうち住宅ローンのある世帯の住宅ローン返済額を世帯主の年齢階級別にみると,各年齢階級とも6〜7万円台で,年齢による差は比較的小さい。
- 住宅ローン返済割合(可処分所得に占める住宅ローン返済額の割合)は,可処分所得が少ない30歳未満及び30歳台では,他の年齢階級よりも高い。
- 住宅ローン返済割合を平成11年と比べると,30歳未満を除くすべての年齢階級で上昇。
図6 世帯主の年齢階級別の住宅ローン返済割合(勤労者世帯)
7 60歳未満の世帯で,固定電話通信料を上回った移動電話通信料
- 二人以上の世帯(全世帯)の電話通信料について,世帯主の年齢階級別に支出金額をみると,移動電話通信料は30歳未満が最も多く,60歳以上では大幅に少なくなる。
- 二人以上の世帯の移動電話通信料と固定電話通信料を比べると,60歳未満の各年齢階級では,移動電話通信料が固定電話通信料を上回る。
図7 世帯主の年齢階級別電話通信料(全世帯)二人以上の世帯
(参考)単身世帯
8 購入先別の支出割合は一般小売店などで低下,ディスカウントストアなどで上昇
- 全世帯の消費支出(サービス料金などを除く。)について,購入先別の支出割合をみると,一般小売店とスーパーがともに32.8%と最も高い。
- 平成16年に新たに調査した通信販売(インターネット)は0.6%と最も低い。
- 購入先別の支出割合の推移をみると,一般小売店,スーパー,百貨店の割合は低下。コンビニエンスストア,ディスカウントストア・量販専門店,通信販売の割合は上昇。
表5 消費支出に占める購入先別支出の推移(全世帯)
9 消費支出は関東地方が多く,九州地方は少ない
- 全世帯の1世帯当たり消費支出を都道府県別にみると,神奈川県が最も多く,次いで茨城県,東京都,栃木県と続いており,関東地方などで多くなっている。一方,沖縄県が最も少なく,次いで青森県,鹿児島県,宮崎県と続いており,九州地方などで少なくなっている。
図8 都道府県別1か月平均消費支出(全世帯)
10 貯蓄現在高,負債現在高ともに最も多い東京都
- 全世帯の1世帯当たり貯蓄現在高を都道府県別にみると,東京都が最も多く,次いで三重県,福井県,奈良県と続いている。一方,沖縄県が最も少なく,次いで宮崎県,鹿児島県,青森県と続いている。
- 全世帯の1世帯当たり負債現在高を都道府県別にみると,東京都が最も多く,次いで埼玉県,神奈川県,大阪府と続いている。一方,長崎県が最も少なく,次いで徳島県,島根県,高知県と続いている。
図9 都道府県別貯蓄現在高(全世帯)
図10 都道府県別負債現在高(全世帯)