ここから本文です。
2 年間収入階級別の状況
(1) 消費支出
年間収入五分位階級別に1か月平均消費支出をみると,第I階級が209,312円,第II階級が261,257円,第III階級が301,035円,第IV階級が356,753円,第V階級が471,958円となっており,第V階級の消費支出は第I階級の2.25倍となっている。
また,年間収入五分位階級別に各費目の消費支出に占める割合をみると,食料,住居,光熱・水道,保健医療は所得が高くなるに従って低くなっている。一方,被服及び履物,教育,交際費などの「その他の消費支出」は所得が高くなるに従って高くなっている。(図III-4)
図III-4 年間収入五分位階級別1か月平均消費支出の費目構成(全世帯)
(2) 所得格差
全世帯について,年間収入の世帯間格差をジニ係数注1)でみると,平成16年は0.308となっており,昭和54年から一貫して上昇している。また,消費支出の所得階級間格差を擬ジニ係数注2)でみると,平成16年は0.163となっており,昭和54年から平成元年まで上昇した後,ほぼ横ばいで推移している。
世帯主の年齢階級別に年間収入のジニ係数をみると,30歳台が0.223と最も低く,70歳以上が0.343と最も高くなっており,おおむね年齢階級が高くなるに従って上昇する傾向がみられる。消費支出の擬ジニ係数をみると,30歳台が0.106と最も低く,70歳以上が0.163と最も高くなっている。
平成11年と比べると,年間収入のジニ係数は,30歳未満,30歳台及び50歳台で上昇し,40歳台及び60歳台で横ばい,70歳以上で低下している。一方,消費支出の擬ジニ係数は,60歳未満の各年齢階級で横ばい又は上昇しているのに対し,60歳台及び70歳以上では低下している。(図III-5,III-6)
注1) ジニ係数とは分布の集中度あるいは不平等度を表す係数で,平等であるほど0に近づき,不平等であるほど1に近づく。
注2) 擬ジニ係数とはジニ係数と同じ計算方法を適用し,所得階級間格差を測る係数である。
注3) 年間収入のジニ係数及び消費支出の擬ジニ係数は,年間収入十分位階級別結果を用いて算出した。
図III-5 年間収入のジニ係数及び消費支出の擬ジニ係数の推移(全世帯)
図III-6 世帯主の年齢階級別年間収入のジニ係数及び消費支出の擬ジニ係数(全世帯)
(3) 貯蓄・負債
全世帯について,年間収入五分位階級別に貯蓄現在高をみると,第I階級が1025万円,第II階級が1314万円,第III階級が1345万円,第IV階級が1519万円,第V階級が2589万円となっており,第V階級の貯蓄現在高は第I階級の2.53倍となっている。
また,年間収入五分位階級別に負債現在高をみると,第I階級が158万円,第II階級が355万円,第III階級が616万円,第IV階級が785万円,第V階級が1034万円となっており,第V階級の負債現在高は第I階級の6.53倍となっている。
貯蓄現在高及び負債現在高について,平成11年と比べると,貯蓄現在高は各階級とも増加しており,特に第II階級で11.3%の増加となっている。また,負債現在高は第II階級で9.4%減少しているほかは,各階級とも増加している。(表III-2)
表 III-2 年間収入五分位階級別貯蓄・負債現在高の推移(全世帯)