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平成11年全国消費実態調査 単身世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果(要約)
平成12年9月29日速報公表
1.消費支出は男性がすべての年齢階級で実質増加,女性は30歳代,40歳代を除いて実質増加
- 単身世帯(全世帯)の1か月平均消費支出は,男性199,797円,女性177,130円。
- 年齢階級別にみると,30歳未満では男性181,842円,女性168,919円,60歳代では男性174,644円,女性181,011円,70歳以上では男性163,835円,女性145,532円。
- 消費支出を平成6年と比較すると,男性はすべての年齢階級で増加しており,増加率が最も小さい30歳代及び60歳代で名目(+)4.5%,消費者物価の変動を除いた実質で(+)2.9%の増加。女性は,30歳代で名目(+)0.1%の増加,実質(-)1.5%の減少,40歳代で名目(-)1.7%,実質(-)3.2%の減少となったものの,30歳未満及び50歳以上の各年齢階級は,名目,実質共に増加。
図1 男女,年齢階級別1か月平均消費支出及び実質増加率(全世帯)
2.男女とも住居,光熱・水道,交通・通信の割合が上昇傾向
- 男性は,各年齢階級で消費支出に占める食料の割合が約1月4日を占め,50歳代を除くと10大費目の中で最も割合が高い。
- 女性は,30歳未満及び30歳代では,家賃などの住居が約1月4日を占め,最も割合が高い。40歳代では食料の割合が最も高く,50歳以上の各年齢階級では,「その他の消費支出」の割合が最も高い。
- 消費支出の費目別割合を平成6年と比較すると,男性は食料,「その他の消費支出」がすべての年齢階級で低下。住居,交通・通信が60歳代以外の各年齢階級で上昇,教養娯楽が30歳未満以外の各年齢階級で上昇,光熱・水道が70歳未満の各年齢階級で上昇。
- 女性は,食料が70歳未満の各年齢階級で低下または横ばい,被服及び履物がすべての年齢階級で低下。住居がすべての年齢階級で上昇または横ばい,交通・通信が60歳代以外の各年齢階級で上昇,光熱・水道が50歳代以外の各年齢階級で上昇。
図2 男女,年齢階級別消費支出の費目構成(全世帯)
3.若年女性で特に多くなっている家賃・地代,高齢層で増加している設備修繕・維持
- 家賃・地代の支出金額は,男女とも30歳代が最も多く,次いで,30歳未満。40歳代以上では,年齢階級が高くなるほど持家率が高くなるため,家賃・地代は少なくなっている。
- 家賃・地代の支出金額は,男女ともすべての年齢階級で増加しており,女性の30歳代(56,261円)では,初めて5万円を上回り,女性の30歳未満(41,063円)では,初めて4万円を上回っている。
- 設備修繕・維持は,年齢階級が高くなるほど支出金額が多くなり,70歳以上では10,551円となっている。平成6年と比較すると,50歳以上の各年齢階級で増加している。
図3 男女,年齢階級別家賃・地代の支出金額(全世帯)
図4 年齢階級別設備修繕・維持の支出金額(全世帯,男女平均)
4.若年層を中心に大幅に増加した電話通信料
- 電話通信料の支出金額は,年齢階級が高くなるほど少なくなる傾向がみられ,特に,移動電話通信料で年齢格差が顕著になっている。
- 固定電話通信料では,すべての年齢階級で女性が男性を上回っているのに対し,移動電話通信料では,30歳代以外の各年齢階級で男性が女性を上回っている。電話通信料全体では,50歳代以外の各年齢階級で女性が男性を上回っている。
- 電話通信料全体を平成6年と比較すると,男女とも30歳未満の増加率が最も高く,約2倍に増加。電話通信料の増加率は,年齢階級が高くなるほど低くなる傾向がみられるが,男性は50歳代以下の各年齢階級で増加率が70%を上回っており,女性も30歳代で(+)63.4%,40歳代で(+)43.1%と大幅な増加となっている。増加率は,すべての年齢階級で男性が女性を上回っている。
図5 男女,年齢階級別電話通信料(全世帯)
5.若年勤労単身世帯(30歳未満)の消費支出は実質増加
- 平均実収入は,男性が270,386円,女性が230,341円。実質でそれぞれ(+)5.1%,(+)3.2%の増加。
- 消費支出は,男性が182,410円,女性が168,893円。実質でそれぞれ(+)4.3%,(+)2.1%の増加。
- 男性は,食料(48,895円)が最も多く,次いで,交通・通信(36,885円),教養娯楽(32,313円),住居(26,571円)などが多い。
- 女性は,住居(40,944円)が最も多く,次いで,食料(33,795円),交通・通信(22,353円),「その他の消費支出」(21,825円)などが多い。
- 各費目の消費支出に占める割合を昭和49年と平成11年で比較すると,低下したもののうち,男性は食料,女性は被服及び履物の低下幅が最も大きい。一方,上昇したもののうち,上昇幅が最も大きいのは男性が交通・通信,女性が住居となっている。
- 食料の費目別割合の推移をみると,男女とも食料に占める外食の割合が低下し,調理食品,飲料の割合が上昇。
図6 若年勤労単身世帯の男女別消費支出の費目構成の推移
図7 若年勤労単身世帯の男女別食料の内訳
6.高齢無職単身世帯(60歳以上)では,社会保障給付以外の収入の減少により実収入は減少,消費支出は増加
- 高齢無職単身世帯(60歳以上)の実収入は,男性163,911円,女性150,119円。
- 公的年金などの社会保障給付は,男性157,385円(実収入に占める割合96.0%),女性134,905円(同89.9%)。
- 可処分所得は,男性153,217円,女性145,748円,消費支出は,男性154,705円,女性156,853円となっており,男性で1,488円,女性で11,105円,消費支出が可処分所得を上回っている。
- 実収入は,男性が実質(-)4.2%の減少,女性が実質(-)2.6%の減少。
- 消費支出は,男性が実質(+)1.9%の増加,女性が実質(+)3.8%の増加。
図8 高齢無職単身世帯の1か月平均家計収支の内訳
7.若年層を中心に上昇したコンビニエンスストアの割合,各年齢階級で低下した百貨店の割合
- 消費支出の購入先別割合を平成6年と比較すると,いずれの年齢階級においてもスーパー,コンビニエンスストア,ディスカウントストアの割合が上昇している。
- いずれの年齢階級においても,百貨店の割合が大幅に低下している。
- 食料の購入先別割合は,若年単身世帯及び30〜59歳の単身世帯でコンビニエンスストアの割合が大幅に上昇,一般小売店の割合が大幅に低下しており,若年単身世帯ではスーパーの割合を上回っている。高齢単身世帯ではスーパーの割合が大幅に上昇し,一般小売店の割合が大幅に低下している。
図9 年齢階級別食料の購入先別割合(全世帯)
表1 年齢階級,費目別支出金額の購入先別割合(全世帯)
8.若年単身世帯の貯蓄現在高は100万円台,高齢単身世帯は1000万円以上
- 若年単身世帯(30歳未満)の貯蓄現在高は男性173万円,女性156万円。貯蓄年収比(年間収入に対する貯蓄現在高の比率)は,男性(年間収入は360万円)が48.0%,女性(年間収入は288万円)が54.0%。
- 高齢単身世帯の貯蓄現在高は60歳代では男性1542万円,女性1462万円。70歳以上では男性1359万円,女性1307万円。
- 若年単身世帯及び70歳以上の高齢単身世帯の貯蓄現在高階級別世帯数割合をみると,平均値を下回る世帯が約7割を占め,いずれも貯蓄現在高の少ない方に偏った分布となっている。
- 若年単身世帯では,貯蓄現在高が50万円未満の世帯が約1月3日を占めている。
図10 男女,年齢階級別貯蓄現在高(全世帯)
図11 男女,貯蓄現在高階級別世帯分布(全世帯)