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平成6年全国消費実態調査報告 単身世帯の家計収支及び貯蓄・負債結果 速報(要約)
平成7年9月25日公表
I 家計収支
1.単身世帯の家計収支の動向
1) 消費支出の動向
消費支出は1か月平均 176,422円
全世帯の平成6年10月,11月の1か月平均消費支出は 176,422円で,前回調査の元年に比べて, 名目で14.6%,消費者物価の上昇分を除いた実質で 4.2%(年率 0.8%)の増加となっている。 昭和39年からの実質増加率(対前回比較・5年間の実質増加率)の推移をみると,39年が21.0 %,44年が30.1%,49年が33.5%と2けたの高い伸びであったが,その後54年が 5.7%,59年が 4.7%,平成元年が 4.8%,6年が 4.2%と低い伸びの増加率で推移している。
女子の伸びが高い消費支出
男女別に1か月平均消費支出をみると,男子は 184,950円,女子は 172,304円となっている。 平成元年に比べて,名目でそれぞれ12.0%,16.9%の増加,実質でそれぞれ 1.8%, 6.3%の増 加となっており,女子の伸びが高い。
2) 実収入,可処分所得の動向
実収入は1か月平均 292,711円,可処分所得は 243,562円
勤労者世帯の平成6年10月,11月の1か月平均実収入は 292,711円で,元年に比べて名目で25.7 %,実質で14.3%(年率 2.7%)の増加となった。実収入から税金などの非消費支出を差し引いた 可処分所得は 243,562円で,平成元年に比べて名目で23.9%,実質で12.6%(年率 2.4%)の増加 となっている。
平均消費性向は低下傾向
平均消費性向(可処分所得に占める消費支出の割合)は昭和44年に90.9%,49年に88.2%,54年 に86.7%と徐々に低下し,59年には88.1%とやや上昇したが,平成元年には再び84.4%と低下し, 6年も78.7%と低下傾向が続いている。
3) 近年の消費の特徴
保健医療が大幅な実質増加
全世帯の平成6年10月,11月の1か月平均消費支出の対前回実質増加率を費目別にみると,食料 は,電子レンジの普及などに伴い,弁当類などの調理食品が実質増加となった一方で,外食が実質 減少となったことなどから,全体として実質減少となった。
保健医療は,眼鏡やヘルスメーターなどの保健医療用品・器具,診療代などの保健医療サービス が大幅な実質増加となったことなどから,全体として大幅な実質増加となった。
被服及び履物は,男子用洋服の大幅な実質減少により,洋服が実質減少となったことなどから, 全体として実質減少となった。
教養娯楽は,最近の旅行ブームを反映して,パック旅行費の大幅な実質増加により,教養娯楽サ ービスが実質増加となったことなどから,全体として実質増加となった。
このほか,光熱・水道が大幅な実質増加となっている。
2.若年勤労単身世帯(30歳未満)の家計収支の動向
1) 実収入,消費支出の動向
女子の消費支出は実質減少
勤労者世帯のうち,若年単身世帯(30歳未満)の平成6年10月,11月の1か月平均実収入は,男 子が 253,259円,女子が 219,486円で,元年に比べて名目でそれぞれ16.1%,15.0%,実質でそれ ぞれ 5.5%(年率 1.1%), 4.5%(年率 0.9%)の増加となっている。
消費支出は,男子は 172,046円で,平成元年に比べて名目で11.5%,実質で 1.4%の増加とな ったのに対し,女子は 162,852円で,名目では 6.6%の増加となっているが,実質では(-)3.1 %の減少となっており,バブル崩壊後の女子の落ち込みが大きい。
2) 支出項目別の特徴
男子で多い外食,女子で多い住居
若年勤労単身世帯の平成6年10月,11月の1か月平均消費支出を費目別にみると,男子は消費支 出( 172,046円)のうち,食料(48,774円)が最も多く,以下,教養娯楽(31,908円),交通・通 信(31,655円)の順となっている。食料の中では,特に外食(27,686円)の多いことが目立ってい る。
女子は消費支出( 162,852円)のうち,住居(36,492円)が最も多く,以下,食料(32,484円), 教養娯楽(24,820円),交際費,理美容サービスなどの「その他の消費支出」(20,794円)の順と なっている。
3.高齢単身世帯(60歳以上)の家計収支の動向
1) 消費支出の動向
消費支出は男女間に大きな差はみられない
全世帯のうち,高齢単身世帯(60歳以上)の平成6年10月,11月の1か月平均消費支出は,男子 が158,820円,女子が159,281円で,男女間に大きな差はみられない。
平成元年に比べて,名目でそれぞれ22.6%,17.1%,実質でそれぞれ11.5%(年率 2.2%), 6.5 %(年率 1.3%)の増加となっており,男子の伸びが女子を上回っている。
男子は食料,女子は被服及び履物の割合が高い
男女別に消費支出に占める費目別割合をみると,男子が食料,交通・通信などで女子を上回って おり,家具・家事用品,被服及び履物,「その他の消費支出」などでは女子が男子を上回っている。
2) 実収入の状況
高齢勤労単身世帯の実収入は男子 358,214円,女子 273,212円
高齢勤労単身世帯の平成6年10月,11月の1か月平均の実収入は,男子が 358,214円,女子が 273,212円となっている。男女別に実収入の構成比をみると,勤め先収入が男子67.6%,女子63.0 %,社会保障給付が男子28.4%,女子31.2%となっている。
II 貯蓄・負債
貯蓄現在高は女子が男子の約 1.6倍
全世帯の平均貯蓄現在高を男女別にみると,男子が 593万円,女子が 961万円で,女子が男子の 約 1.6倍となっている。貯蓄現在高の年間収入に対する割合(貯蓄年収比)は男子が 144.7%,女 子が 316.2%となっている。
男女とも「生命保険など」の割合が増加
貯蓄の種類別に貯蓄現在高に占める割合の推移を昭和54年からみると,男子は「生命保険など」 が昭和54年の10.4%から一貫して増加しており,平成6年は18.7%となっている。
一方,有価証券は昭和54年の17.6%から平成元年には21.0%まで増加したが,6年は18.6%に減 少している。また,定期性預貯金は昭和54年の45.3%から59年には46.0%に増加したが,平成元年 は44.9%,6年は44.4%と減少傾向にある。
女子は「生命保険など」は男子同様,昭和54年の 7.8%から一貫して増加しており,平成6年は 20.1%となっている。また,定期性預貯金は,昭和54年の56.9%から減少傾向で推移し,平成元年 には40.2%まで減少したが,6年は52.0%と増加に転じた。
一方,有価証券は昭和54年は18.8%,59年は22.5%,平成元年は38.7%と増加したが,バブル崩 壊後の6年は18.4%と大幅に減少した。