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平成12年国勢調査トピックス
平成12年5月
2000年ラウンド世界人口センサス始まる
1.2000年を中心として世界の国々で国勢調査(人口センサス)を実施,日本は今年10月1日
国際連合(国連)の推計によれば,世界の人口は,今年7月1日現在で約61億人とされています。国連では,世界の人口問題に適切に対処するための基礎データを整備するため,世界の国々に, 2000年を中心として一斉に国勢調査を行うように提唱しています。これは2000年ラウンド世界人口センサスと呼ばれています。この2000年ラウンド世界人口センサスの一環として,すでに世界各国で国勢調査が始まっています。例えば,アメリカ合衆国では,すでに今年4月1日現在で調査が開始され,現在,調査票の回収が行われているところです。また,インドネシアでは,すでに調査員を全国に配置し,7月1日の実施に向けて準備中であり,中国及び韓国では,11月1日に実施される予定です。(表1参照)
日本でも,今年の10月1日現在で全国一斉に17回目の国勢調査が行われます。
世界の人口が約61億人であると言っても,これはあくまでも推計によるものであり,人口問題に適切に対応するには,正確な人口統計が必要です。また,正確で詳細な人口統計は,各国の社会経済の安定的な運営の基礎として必要不可欠なものです。2000年ラウンド世界人口センサスにより得られる統計は,世界の人々にとって大きな意義を持っています。
2.2000年の世界の人口は61億人,日本は1995年の第8位から第9位になる見込み
国連は,World Population Prospectsという世界各国の人口を推計した報告書(最新版は1998年)を刊行しています。これによると,日本で前回の国勢調査が行われた1995年の世界人口(7月1日現在)は,56.7億人となっており,各国の人口をみると,中国が12.2億人と最も多く,以下,インド(9.3億人),アメリカ合衆国(2.7億人),インドネシア(2.0億人),ブラジル(1.6億人),ロシア(1.5億人),パキスタン(1.4億人)と続いており,日本(1.3億人)は,これらの国に次いで第8位となっています。
また,2000年の世界人口(7月1日現在)は,60.6億人と推計されており,5年間で4億人,すなわち,日本の人口の3倍余りの人口が増加しています。中国からブラジルまでの上位5か国に順位の変動はなく,パキスタンがロシアを抜いて第6位となり,バングラデシュが日本を抜いて第8位となり,日本は第9位になると見込まれています。(表2参照)
3.総務庁統計局がインドネシアの2000年国勢調査を支援するために技術協力
表2のとおり,人口ランキング上位10か国のうち,半数以上が発展途上国となっています。これらの多くの人口を抱える発展途上国では,国勢調査を実施するに当たって,調査方法,集計技術などの面で問題に直面しており,日本を始めとした先進国に対して支援を要請してきています。総務庁統計局は,このような要請を受けて,これまで長年にわたって,中国,韓国,インドネシア,メキシコ,スリランカ,フィリピン,アルゼンチンなどの政府統計機関に対して,国際協力事業団(JICA)を通じて,専門家派遣,研修員受け入れ,機材供与などの技術協力を行ってきています。
2000年ラウンド世界人口センサスでは,中国,インド,アメリカ合衆国に次いで世界第4位の人口を抱えるインドネシアから,2000年国勢調査に対する技術協力の要請があり,これを受けて,総務庁統計局は,インドネシア中央統計局に,JICAを通じて1997年から専門の職員を派遣し,技術協力を行っています。
インドネシアは,今年7月1日現在で国勢調査を実施する予定であり,その調査票枚数は約6300 万枚と大量な数が見込まれています。この大量なデータを速く正確に集計するためには専門的な技術が必要であることから,総務庁統計局は,この国勢調査のデータ処理を中心に技術協力を行っています。
この技術協力により,インドネシアの人口や国民生活の実態を表す統計が,従来よりも正確かつ詳細に得られますので,インドネシアの社会経済の安定的な運営に役立つことはもとより,世界の人口問題に対して,より適切な対応が可能となります。
4.インドネシアの2000年国勢調査に日本政府から情報処理システムを無償供与(3億6千万円)
この総務庁統計局によるインドネシアの2000年国勢調査に対する技術協力を,より効果的なものとするために,日本政府は,無償資金協力によりOCR(光学式文字読み取り装置)約80台から成る情報処理システム(総額約3億6千万円)を5月末にインドネシア政府に対して供与しました。これに伴い,来る6月6日,インドネシア中央統計局の主催でOCR導入記念式典がジャカルタで開催されます。この式典には,総務庁から井上達夫統計局長が出席します。
インドネシアには,従来は人口についての詳しいデータが集計されていませんでしたが,この情報処理システムの導入により,年齢別,産業別などの詳しい人口統計が得られます。これにより,インドネシアでは,より適切な人口政策が講じられることが期待されます。また,国勢調査のデータを基礎として,様々な国民生活の実態を表す統計作成が可能となることから,インドネシアの社会経済の安定的・持続的な発展の基礎として役立つと期待されます。
【お問い合わせ先】
総務省統計局統計調査部
国勢統計課
TEL: 03-5273-1156
FAX: 03-5273-1552