調査票を作る際の注意点を、1-2「調査票の作り方」で説明しました。
そこで学んだ知識を活かして、意識調査の調査票のチェックをしてみましょう。
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ゼミナール編(2) 〜調査実施と分析
1時限目 意識調査の設計
演習問題「調査票の修正」

問題
以下の調査票例には、明らかな問題点が5カ所あります。
それらがどういう問題なのかを指摘し、修正案を考えてください。
- あなたが最後に卒業された学校を教えてください。
- 中学校
- 高等学校
- 短大・高専
- 大学
- 大学院
- その他
- 適度な運動習慣があるほうが、健康で長生きすることは広く知られています。あなたは、市民が運動するための施設を新設する案に対して、賛成ですか、それとも反対ですか。
- 賛成
- どちらかといえば賛成
- どちらかといえば反対
- 反対
- あなたは現在の生活に、満足していますか。それとも不満ですか。
- 満足している
- どちらともいえない
- 不満である
- あなたはふだん、運動や自己啓発学習を、どのくらいしていますか。
- ほとんどしない
- 週に1回程度
- 週に数回程度
- ほぼ毎日
→
で1を選択した人は
へ
- あなたは、どこで運動をしていますか。主なものを1つだけお答えください。
- 公共の施設
- 民間の施設
- 学校の施設
- あなたの性別をお答えください。
- 女性
- 男性
- その他
- 答えたくない
- あなたのお生まれ年はいつですか。
- 西暦( )年
答え合わせの準備ができましたか?
解答と解説を見る

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解答と解説
調査票の5つの問題点は以下の通りです。
問1(学歴)はセンシティブな質問なので、冒頭に置くのは望ましくありません。
⇒ 学歴の質問は最後に移動
問2では、運動と健康・長寿との関係を先に述べることで威光暗示効果が生じ、後で問う運動施設の新設案への賛成率を上げる懸念があります。
⇒ 威光暗示効果が生じる文章を削除
問3(生活満足感)が、運動にかかわる質問の中に混ざっているので、流れが悪くなっています。
⇒ 生活満足感の位置を、運動の質問群の外へと移動
問4では、運動と自己啓発学習という、2つの異なる活動の頻度を同時にたずねるダブルバーレル質問となっており、回答者が答えにくくなっています。
⇒ 自己啓発学習を削除
問5は、選択肢が網羅的になっていません。例えば主に自宅で筋トレする人もいるでしょうし、河原をランニングする人もいるでしょう。
⇒ その他( )の選択肢を追加

- あなたは現在の生活に、満足していますか。それとも不満ですか。
- 満足している
- どちらともいえない
- 不満である
- あなたは、市民が運動するための施設を新設する案に対して、賛成ですか、それとも反対ですか。
- 賛成
- どちらかといえば賛成
- どちらかといえば反対
- 反対
- あなたはふだん運動を、どのくらいしていますか。
- ほとんどしない
- 週に1回程度
- 週に数回程度
- ほぼ毎日
→
で1を選択した人は
へ
- あなたは、どこで運動をしていますか。主なものを1つだけお答えください。
- 公共の施設
- 民間の施設
- 学校の施設
- その他( )
- あなたの性別をお答えください。
- 女性
- 男性
- その他
- 答えたくない
- あなたのお生まれ年はいつですか。
- 西暦( )年
- あなたが最後に卒業された学校を教えてください。
- 中学校
- 高等学校
- 短大・高専
- 大学
- 大学院
- その他
執筆・監修:東京大学社会科学研究所 教授 三輪 哲