調査の概要の作成

 ここでは、調査計画のベースとなる調査の概要について、みていきましょう。

調査の目的

 調査の計画や概要は、はじめに「なぜ」、「何のため」に調査を行うのかを明確にします。

調査の対象

 調査の目的が明確に決まれば、自然と決まってくる事ですが、誰を調査の対象とするのかも明確に決めなくてはなりません。調査の内容によっては調査の地域や範囲を明確にしましょう。

調査の時期

 調査を行う上で、調査対象を把握する時、調査事項を定めている時について、定義しておく必要があります。
 例えば20歳の人の収入や貯蓄の状況を調べるとした場合、調査対象を把握する時とは、いつ20歳となったのかということを表します。調査事項を定めている時とは、収入は一か月の収入なのか、1年間の収入なのか、貯蓄額はどの時点での金額なのかということを表しています。

調査の方法

 調査対象の選出の仕方や、調査票の配布から回収までの流れなどを明らかにしておきましょう。

調査対象の選出(全数調査と標本調査)

 調査の対象となる集団全体のことを母集団と呼びます。調査の対象の範囲の観点では、全数調査(悉皆(しっかい)調査)と標本調査(サンプル調査)の2種類があります。
 全数調査は、母集団の全てを調べる方法です。標本調査は、母集団の一部を抽出して調べる方法です。
 ※詳しくは、「7.統計の種類」の中の「全数調査・標本調査」を参照してください。

調査票の配布と回収方法

1.調査員調査

 調査員調査は、調査員が調査対象を訪問して行う調査です。調査員調査の中には、調査員が調査対象者に質問して回答を調査票に書く「面接調査」と、調査対象者に調査票を預けて記入してもらい、後日回収のために再訪問する「留置(とめおき)調査」があります。
 実際に調査員調査を実施する場合には、事前に郵送や電話で調査の趣旨を説明し、調査の協力依頼をするとともに、調査に訪れる日時についてお知らせあるいは相談しておくと良いでしょう。

2.郵送調査

 郵送調査は、調査票を調査対象に郵送し、回答を書いて返信してもらう方法です。

3.電話調査

 電話調査は、調査対象地域の電話帳などから無作為に電話番号を抽出し、調査員が電話をかけ、質問を読み上げ、調査対象者に電話で回答してもらう方法です。回答は調査員が電話での回答をもとに調査票に書き込みます。
 電話調査は、あまり費用をかけずに調査ができる反面、調査対象者を統計的に偏りなく選ぶことが難しいなどの欠点もあるため、国や地方公共団体が行う統計調査ではあまり行われませんが、商品の市場調査や、手っとり早く結果を知りたい選挙時の調査でよく行われる方法です。
 例えば平日昼に各家庭に対して、電話調査を行った場合、昼間に仕事をしている人などは電話に出る事ができないため、データに偏りが生じてしまうことがあります。

4.インターネット調査

 インターネット調査は、インターネットを通じて質問をし、回答を得る方法です。
 インターネット調査は、一般的には電話調査よりも費用や手間をかけずに調査ができますが、調査対象がインターネット利用者に限られるほか、調査対象者を統計的に偏りなく選ぶことができないなどの欠点もあります。

調査票の回収と配布の種類

 これらの手法を組み合わせて、調査員が訪問して調査票を配布し、郵送やインターネットで回答してもらう方法、調査票を調査対象者に郵送した後に、調査員が訪問して記入済みの調査票を回収するなどの方法も考えられます。

 このように調査方法はいろいろあり、それぞれに一長一短があります。目的、予算に合わせて適切な調査方法を選びましょう。

調査の頻度

 調査の中には、一度の調査だけでなく、定期的に継続して調査することが望ましい調査もあります。継続的に調査を行う場合は、調査を実施する頻度を決めておきましょう。

 以下の資料は総務省統計局がホームページで紹介している「労働力調査の概要」です。なぜこの調査を行うのか(調査の目的)、だれに対して行うか(調査の範囲及び調査対象)、いつ行うか(調査の期日及び期間)、具体的にどのような方法で調査を行うか(調査の方法)、結果をいつ公表するか(集計及び結果の公表)などが記述されていますので、ご紹介します。

労働力調査の概要(総務省統計局)