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ゼミナール編(1) 〜データ利活用の進め方

1時限目 データ利活用の進め方
〜 実例で見るPPDACサイクル 〜

PPDACサイクルとは?

データ利活用は「手段」

データ利活用にあたり、最初に明らかにしておきたいことがあります。それは、データ利活用は「目的」ではないということです。データ利活用は、問題解決のための「手段」なのです。

当たり前じゃないか、と思われるかもしれませんが、意外とあやふやになっていませんか? データやエビデンス探しが先走り、肝心の目的を見失ったり、方向違いの結論を導いたりしてしまう。迷路に入り込み、出口が見えなくなる。組織ワークの中で議論が進まなくなる。

このような状態を避けるために、データを利用した問題解決の手法として知られる「PPDACサイクル」を導入するとよいでしょう。

PPDACサイクルとは?

PPDACサイクルの図

PPDACサイクルとは、次の単語の頭文字をつなげたもので、海外や統計教育でもよく使われる統計的探究プロセスです。

P(problem、問題)
P(plan、計画)
D(data、データ収集)
A(analysis、分析)
C(conclusion、結論)

2つのPとCの間に、D(データ収集)とA(分析)のプロセスがあるところに注目してください。明確な問題と計画の立案があってこそ、実際のデータ収集や分析を行うことができ、問題解決へ導くことができる。データ利活用を進めるにあたっての格好のフレームワークといえます。

PPDACサイクルの利点

このようなフレームワークを使う利点として、グループや異なる組織等で取り組むときに特に威力を発揮することがあげられます。メンバー全員が5つのフェーズを理解し、現在フェーズを共有しつつ推進すると混乱も避けられ、効率的にデータを利活用した問題解決を進めることができるでしょう。

また、サイクルですから、結論フェーズで新たな問題が発見されれば、次のPPDACサイクルを回していきます。結論フェーズではとりあえずの結論(仮説)にとどめ、仮説を次のサイクルで検証していくといった使い方もできます。

EBPM推進に向けたPPDACサイクルの手順

PPDACサイクルは、EBPM推進の際の定型化手法として導入するのも有効でしょう。各フェーズのポイントは表をご覧ください。

それでは、次ページから、PPDACサイクルの考え方をもとにEBPMを推進した滋賀県の事例を各フェーズ別に具体的に見ていきましょう。

5つのフェーズ EBPM推進に向けた手順 関係するツール例
problem
問題の把握と明確化
  1. テーマを設定し、クリアすべき「課題」を考える。
  2. 課題から問題の構造(原因系と結果系の現象)を明確にする。
  3. 具体的で定量的な数値「評価指標」を設定する。
ロジックツリーなど
plan
仮説の設定・調査分析の計画
  1. 評価指標」の変動に影響を与える要因系の指標を考える。(=仮説の設定)
  2. 必要なデータや統計資料は何かを考え、収集計画や調査計画を立てる。
  3. 仮説を検証するための分析の計画を立てる。
ロジックツリーなど
data
データの収集・整理
  1. データや統計資料を実際に収集する。
    *データの取得方法、正確性、信頼性を意識する。
    *ミクロデータ(調査票情報)も視野に入れる。
  2. データを整理する(カテゴリ化など)。
e-Stat
統計ダッシュボード
RESASなど
analysis
データに基づく分析
  1. 整理したデータをもとに分析を行う。
  2. グラフ・表で可視化し、理解を促す。
  3. <主な分析の視点>
    全体の傾向(分布)/条件の違いやグループに分けた比較/指標間の関連性/時間経過による変化
  4. モデルを推測する。
Excel分析ツール
conclusion
分析結果の考察・結論
  1. 分析結果を解釈する。
  2. 最初の仮説に対して判断する。
  3. 問題の解決策を提案する。
  • 次は、最初のフェーズ、P(問題)です。
    このフェーズ以降は、滋賀県の実践例も同時に紹介していきます。

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