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主観的・多面的・持続的な「ウェルビーイング(well-being)」を捉える指標の策定と向上施策の展開

富山県  知事政策局  成長戦略室  ウェルビーイング推進課

富山県 総務大臣賞 行政運営

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概要

富山県成長戦略の中核である「ウェルビーイング」を捉えるため、県民意識調査を行い、その結果をもとに「富山県ウェルビーイング指標」を独自に策定しました。ウェルビーイングのデータを活用し、県民起点のきめ細かな政策展開に繋げていきます。

導入費・運用費

県民意識調査実施、解析方法研究等  計880万円程度

受賞

  • 「Data StaRt Award〜第8回地方公共団体における統計データ利活用表彰〜  総務大臣賞」(2023)

取組の流れ

  • PPDAC-problemアイコン画像

    富山県成長戦略の中核である「ウェルビーイング」の向上のため、政策の立案・展開の基礎となるデータ収集や指標策定を行う必要性があった。

  • PPDAC-planアイコン画像

    様々な研究・事例等を参考に、また専門家の助言を得て、「ウェルビーイング」の理解を深め、主観的・多面的・持続的な特徴、要素を捉え、調査項目を作成。

  • PPDAC-dataアイコン画像

    主観的な実感や基本属性等の多面的な設問で構成する「ウェルビーイング県民意識調査(生活の実感に関する調査)」を令和4年9月に実施。

  • PPDAC-analysisアイコン画像

    年代や性別等ごとに平均や割合などで分析し、多様な県民の意識をウェルビーイングの観点から可視化。さらに分析(相関分析や因子分析)を重ね、関連性や共通する要素を整理。

  • PPDAC-conclusionアイコン画像

    分析結果に基づき、独自の「富山県ウェルビーイング指標」を策定、令和5年1月に公表。今後指標・データを活用した政策展開、ウェルビーイングの普及促進等を実施。

ヒアリング・ここが知りたい!

どのような課題がありましたか?

確立・統一された調査方法がない中でのデータ収集と指標の策定

令和4年2月に策定した「富山県成長戦略」では、「ウェルビーイング(well-being)*1」を中核とし、「幸せ人口1000万〜ウェルビーイング先進地域、富山〜」のビジョンを掲げました。ウェルビーイング向上施策を推進するにあたり、その基礎となるデータとして、県民の主観的なウェルビーイングの状況を把握する必要がありました。

しかし、そうしたデータは本県に無く、また確立・統一された調査方法もありません。県民がウェルビーイング、幸せを実感できているのか、主観的な意識を多面的に捉えるためのデータ収集と指標の策定が課題でした。

富山県成長戦略
富山県成長戦略

どのような体制で取組みましたか?また、工夫した点はありますか?

「ウェルビーイング推進課」を設置、職員自らが理解を深めながら進めた

本県では、令和4年4月に「ウェルビーイング推進課」を設置しました。こうした専門部署の設置は全国的にも珍しいと思います。組織横断的にウェルビーイング推進を担う当課が主体となって、調査・分析、指標策定等の取組みを進めてきました。

「ウェルビーイング」への注目の高まりは近年のことであり、まだ世間の認知度は低い状況です。現在も国内外の様々な分野で調査・研究の途上にあり、行政としても新たな取組みです。

さらに、県民の実感にきめ細かく寄り添うことが必要です。このため、調査項目作成や指標策定は、外部業者に頼らず、職員自らが、様々な文献・事例等を参考に理解を深めながら、アイデアを出し、専門家の助言等も得て進めてきました。

ウェルビーイングとは?
ウェルビーイングとは?

指標作成で工夫した点は何ですか?また、難しかった点はありましたか?

主観的な実感や基本属性等の多面的な設問で構成した調査を実施

令和4年9月に、主観的な実感や基本属性等の多面的な設問で構成した「ウェルビーイング県民意識調査(生活の実感に関する調査)」を実施しました。対象は、18歳以上の県民5,000名とし、2,754名もの県民の方々から回答を得ることができました。

回答を集計し、年代や性別等ごとに平均や割合のグラフ等で可視化し、公表しました。年代や性別等によって様々な傾向が見られ、県民の多様なウェルビーイングの姿を明らかにすることができたと考えています。

データを活用した施策の効果検証
データを活用した施策の効果検証

指標作成で難しかった点はありましたか?

これまでに無い新たな挑戦。県民意識調査を用いた主観的なウェルビーイングを体系化し、指標として設定

県民の実感を踏まえた指標とするため、相関分析や因子分析等により県民意識調査の回答データ相互の関連性や共通の要素などを探りました。主観的なウェルビーイングを体系化し、指標として設定することは、これまでに無い新たな挑戦であり、難しく感じましたが、ウェルビーイングの専門家の助言、また分析面では富山県立大学の協力を得つつ進め、指標を策定することができました。

「富山県ウェルビーイング指標」の体系>
「富山県ウェルビーイング指標」の体系

データ分析や指標からどのようなことが分かりましたか?

平均値や各選択肢の回答割合などから、多様なウェルビーイングの姿が明らかに

例えば、現在の総合的な実感(0〜10の11段階評価)では中央値の「5」の回答が最も多く、平均では、40代・50代が低い、女性よりも男性が低い水準にあるほか、未来(5年後)への期待感では、60代以上で大きく下がるなど、属性により様々な傾向があることがわかりました。

分野別実感(1〜4の4段階評価)では、やりがい・チャレンジなど前向きな行動に関する実感が比較的低く、また、「つながり」は、家族や友人とは高い水準にあるものの、地域とは低いなどの傾向がわかりました。

さらに、平均値では高い傾向の項目でも、割合で見ると、低評価の層も年代や性別等の属性ごとに一定数いるなど、実感の様々な差に留意すべきこともわかりました。

県民意識調査の集計結果(抜粋)
県民意識調査の集計結果(抜粋)

作成した指標をどのように活用していますか?

県民起点のきめ細かな政策展開に繋げていきたい

指標の状況及びその基礎データは、1.政策形成、2.県民とのウェルビーイングに関する広報・コミュニケーションで活用していきます。

県民の実感向上の効果検証、県民目線での課題・ニーズの可視化、県政リソースの効果的な配分・横連携の展開等など、政策判断の基礎となる主要データとして活用し、県民起点のきめ細かな政策展開に繋げていきます。

また、指標の状況は、花の形で表現し、可視化するなど発信方法を工夫しています。指標を通じて県民にウェルビーイングやそのデータに親しみ・関心を持っていただき、また、「自分事」として意識・行動いただけるよう普及促進を展開していきます。

ウェルビーイング指標の活用の画像。富山県のウェルビーイングアクションページを開きます。
ウェルビーイング指標の活用

脚注

*1  ウェルビーイング(well-being):
「心も身体も社会的にも満たされた状態」、「実感としての幸せ」などを指す。

参考サイト

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