調査統計・業務統計・加工統計

 国の統計の作り方には、およそ3種類のものがあります。第一は、統計調査による方法(調査統計)です。調査統計には国勢調査などがあります。第二は、官庁の持っている資料を集計する方法(業務統計)です。業務統計には貿易統計、出入国管理統計などがあります。第三は、ほかの統計やデータを加工計算して推計する方法(加工統計)です。加工統計には国民経済計算や消費者物価指数(CPI)などがあります。中でも特に重要なのは統計調査による方法のため、ここでは第一の方法について説明します。

 統計を作るためには、対象となる個人や世帯(家庭など、生計をともにして一緒に暮らしている人の集まり)に対して、同じ形にのっとってデータを提供してもらう必要があります。このため、一般には、まず「調査票」という統一的な形式の書類を作り、調査員が地域を巡回して対象となる世帯にこの調査票を配って回答を依頼します。調査票を受け取った世帯は、調査員からの説明や付属の資料など参考にして回答を調査票に記入して、それを調査員に提出します。

 以上の例は、調査員が世帯を訪問して調査する方法ですが、このほかにも、郵送による調査方法や、新しいものではインターネットを利用したオンライン調査の方法もあります。

 正確な統計を迅速に作るためには、調査員による調査が最も有効です。郵送による調査であれば、調査員の労力などは節約できますが、世帯の側で提出を忘れたり、提出が遅れたりすることが起こりやすくなります。調査票の提出の漏れや遅れがあると、統計が不正確になったり、公表時期が遅れたりして、統計の利用に差しさわりが出てきます。
 みなさんの家庭(世帯)も、国の統計調査の対象となる場合があると思われます。調査票がみなさんの家庭に届けられた時には、それをよく見てみることで、統計調査がどのようなものか、実例としてよりよく理解することができます。

 なお、統計調査がどのような手順で行われるかということについて、詳しくは 「2 統計のできるまで」 を参照してください。

国勢調査ってどんなもの?

 国の調査統計の中でも、国勢調査は広く知られている調査です。国勢調査は、日本に住むすべての人と世帯が対象となる5年に一度の最も重要な統計調査です。

 国勢調査の結果からは、人口の総数やその詳しい内訳として、どの地域にどれだけの人々が住んでいるか、また、どのような仕事に就き、どのような家族や世帯を形作って暮らしているかなどについても知ることができます。

 調査の結果は、以下のような場面で活用されています。

1 各種法令に基づく利用

  • 衆議院議員選挙区画定審議会設置法:衆議院の小選挙区の改定
  • 地方自治法:地方自治法で用いる人口として規定
  • 地方交付税法:地方交付税の算出に利用 など


2 行政上の施策への利用

  • 少子高齢化関連
  • 防災関連
  • 地域活性化関連


3 公的統計の作成・推計のための利用

  • 将来人口、世帯数の推計
  • 生命表の作成
  • 世帯を対象とするほかの統計調査の標本設計
 

 その他にも学術研究や企業の出店計画などでも使われています。