背景
時差出勤等の通勤行動変容による効果検証
熊本市を中心とする熊本都市圏では、以前から交通渋滞の解消が課題であった。近年では、世界的半導体企業であるTSMCが、2021年11月に都市圏北東部の菊池南部地域に進出することが決定し、2024年12月から工場が本格稼働を開始した。菊池南部地域では、半導体関連企業の集積が相次いでおり、更なる交通渋滞の深刻化が懸念されている。
交通渋滞の解消に向けては、道路施策等の「車の“流れ”をよくする取組み」、公共交通施策等の「車から公共交通への“転換”を促す取組み」の両輪で取組みを行う必要があるが、公共交通機関については、慢性的な人員不足による減便や路線の縮小等、都市圏でさえサービス縮小の傾向にあり、自動車からの転換が困難な状況にある。
そのため熊本県では、短期的な対策として、「ピーク時の交通を“分散”する取組み」として、時差出勤等の通勤行動の変容に着目し、2024年から取組みを開始した。2025年には、9月の1か月間において、官民連携により、時差出勤等の通勤行動の変容に1万人規模で取り組んだ。
本研究では、時差出勤の取組みが熊本県の主要な公共交通であるバスの定時性の改善につながったかを研究する。
取組成果、まとめ
時差出勤の取組みによるバスの遅延改善
もとの通勤ピーク時間であった7時30分から8時30分の時間帯で分析したところ、路線や時間帯によってバスの定時性への影響に差があり、全路線・全時間帯で定時性の改善効果があるわけではないことが分かった。
分析区間内の主要渋滞箇所では、混雑の改善の効果が確認された一方で、バスの遅延の改善には必ずしも効果がみられるとは言えなかった原因は、分析区間外における交通状況等の様々な要因による影響が考えられるため、今後の検討の余地がある。
また、雨が降るとバスの遅延が拡大することが分かった。
バスの乗降客数の変動
バスの乗客数は増加傾向であった。様々な要因が考えられるが、バス事業者の利用者増に向けた取組みや、通勤行動の変容、パートナー登録制度の効果が寄与していると考えられる。
バスの利用に際しては、バス事業者が実施する運行時間の適正化などの取組みについて引き続き協力していく。