データの利用方法・分析方法
- 市民意識調査のデータを「まちのイメージが悪い人」「そうでない人」の2群に分割し、クロス集計、有意差検定*1、重要度比較を実施することで、地域コミュニティへの非参加、非機能的な不満などのまちのイメージが悪い人の特徴を抽出した。
- 自由意見に対するテキストマイニング*2を実施し、定量分析で得られた結果の妥当性を検証した。
- 58個の市の取組についての満足度調査について、まちのイメージが悪い層を対象に因子分析*3を実施し、「子育て・学校教育」「福祉」「人権」「まちづくり・産業振興」「防災」「環境」「社会教育」の7因子に整理した。
- 因子負荷量*4を用いて各因子のスコアを回答者ごとに算出し、因子単位での特徴を抽出することで、居住年数や子どもの有無との関連性を明らかにした。
- 共分散構造分析*5により、各因子が定住意向やまちのイメージにどの程度影響を及ぼしているかを定量的に推計した。
- N-1インタビューを実施し、治安イメージと実態の乖離、だんじり文化の二面性、地縁コミュニティの排他性などの定量分析で得られた仮説を深掘りした。
- X(旧Twitter)のAPIを用いたブロードリスニング*6を試行し、「岸和田」かつ「好き or 嫌い」を含むツイートを収集することで、多角的な視点からまちのイメージを検証した。
- 「町会・自治会への未加入」を切り口に、年齢、居住年数、世帯構成、交通施策への意識などとの関連性を多角的に分析し、地域とのつながりが弱い層へのアプローチ方法を検討した。
*1 有意差検定とは、見えている差が「たまたま」ではなく、統計的に意味のある差かどうかを確かめる検定(テスト)
*2 テキストマイニングとは、自由記述などの文章から、よく出る言葉・話題のまとまり・傾向を、数や図で整理して読み解く分析
*3 因子分析とは、たくさんの質問項目を、“裏にある共通テーマ(潜在的なまとまり)”ごとに整理して少数のグループ(因子)にまとめる手法
*4 因子負荷量とは、各質問項目が、その因子(テーマ)とどれくらい強く関係しているかを示す数値(関連の強さ)のこと
*5 共分散構造分析とは、複数の要因が、別の結果(例:定住意向やイメージ)にどれくらい影響しているかを、関係図(モデル)としてまとめて推計する手法
*6 ブロードリスニングとは、SNSなどの大量投稿を広く収集して、世の中の見方や論点を俯瞰的に把握する手法(いわば“広く聴く”調査)
取組成果、まとめ
統計分析で見えた“イメージ低評価層”の特徴と政策因子の影響構造
「まちのイメージが良くない」と回答する層の特徴として、町会・自治会への未加入、地域コミュニティ活動への非参加、災害時の準備不足、地区市民協議会の活動の認知不足などが明らかになった。
また、因子分析により市の取組を「子育て・学校教育」「福祉」「人権」「まちづくり・産業振興」「防災」「環境」「社会教育」の7つの因子に整理し、共分散構造分析により各因子が定住意向やまちのイメージに及ぼす影響度を定量的に把握することができた。
特に、居住年数10年未満の新住民層では保育環境への関心が高く、町会・自治会への加入率が低いことが判明した。
一方で、交通施策を重視する層では町会・自治会への加入率が高い傾向が見られ、地域コミュニティとの接点が施策への関心に影響していることが示唆された。
定性×SNS分析で判明した不満の“背景”――治安・文化・教育イメージのギャップ
N-1インタビューとブロードリスニング(X上の投稿分析)により、治安に関する実態とイメージの乖離、だんじり文化が「誇り/結束の資産」である一方で新住民・子育て層には「敷居の高い文化」として受け止められている可能性、地縁コミュニティが新住民には排他的に受け取られている可能性などが明らかになった。
また、「教育環境が悪い」という不満の背景には、実際の環境よりも「上位進学の選択肢のイメージが弱い」ことが子育て層の不安につながっている可能性が示唆された。
まちのイメージ低下は単一要因ではなく、地域コミュニティへの非参加、生活領域の不安、政策評価の低さ、新旧住民の受け止め方の違いなどが複合的に絡む多因子構造であることが確認された。
イメージ改善の打ち手整理――優先ターゲットと重点施策
「誰が・何に不満・何を実感・何を重視」という4つの問いを軸とした体系的分析により、イメージ改善施策のターゲットを「居住年数10年未満の新住民」「町会・自治会未加入の単身世帯・夫婦のみ世帯」「子育て層」に絞り込むことができた。
また、優先的に取り組むべき施策の方向性として、地域コミュニティへの参加促進(加入メリットの周知)、治安に関する正確な情報発信、だんじり文化の柔軟な受け入れ体制の構築、教育環境の選択肢の可視化などが示唆された。