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大阪府岸和田市

データに基づく「まちのイメージ」改善の取組に向けて

EBPMブートキャンプ 大阪府岸和田市

「大阪府岸和田市:データに基づく「まちのイメージ」改善の取組に向けて」サムネイル画像

研究会の体制

※肩書は実施当時のもの

研究会統括管理者
日本総合研究所研究員 菅章
専門家
富山大学芸術文化学部講師 籔谷祐介
データサイエンティスト
日本総合研究所研究員 西原史暁
進行管理
日本総合研究所研究員 白髭龍
研究会スケジュール
第1回:10月10日 第2回:11月5日 第3回:11月18日
第4回:12月9日 第5回:12月23日 第6回:1月22日

検討概要

背景

市民意識調査から見える「まちのイメージ」の課題

岸和田市企画課が毎年実施している市民意識調査において、本市に「住み続けたくない」と回答する理由として、「まちのイメージが良くない」が常に最上位を占めており、その回答率は44.2%に達している。これは他の転出理由の平均(約10%)と比較して著しく高い数値である。

市民からは「落書きが多い」「交通ルール等の規範を守らない方が多い」という声が寄せられており、市外からは「だんじり祭りのイメージで怖い」「気性が荒い」といった声がある。こうした負のイメージが先行することで、本市が実施している様々な良い取組や施策が埋もれてしまい、市民に適切に伝わっていない状況にある。

一方で、実態を見ると、犯罪件数は過去には高い時期もあったものの、近年は大幅に改善しており、発生している犯罪も基本的に軽犯罪が多く重大犯罪は比較的少ない傾向にある。つまり、イメージと実態との間に大きなギャップが生じており、このギャップを埋めることが喫緊の課題となっている。

なお、「まちのイメージが良くない」以外にも、「子どもの教育環境が良くない」「交通の便が良くない」といった理由も上位を占めており、これらについても同様の分析・対策が求められている。

EBPMブートキャンプで検討すること、取り組むこと

  • 誰が・何に不満・何を実感・何を重視という4つの問いを軸に市民意識調査の全設問を体系的に分析し、「まちのイメージが良くない」と回答する人の属性を詳細に見極める。
  • 市民意識調査のデータを詳細に分析し、「まちのイメージが良くない」と回答する人の属性を特定し、ターゲット層を明確化する。
  • イメージと犯罪統計データ等の実態とのギャップを定量的に可視化し、どのような情報が不足しているか、または誤って認識されているかを明らかにする。
  • 属性別・地域別の分析結果を踏まえ、効果的な情報発信の方法やターゲティング戦略を検討し、イメージ改善に向けた具体的なコミュニケーション施策を立案する。
市民意識調査における岸和田市への「永住意向」と「まちのイメージ」の関係を示した図

利用データ

既存データ

  • 市民意識調査の結果

EBPMブートキャンプで新たに取得したデータ

  • SNSデータ

データの利用方法・分析方法

  • 市民意識調査のデータを「まちのイメージが悪い人」「そうでない人」の2群に分割し、クロス集計、有意差検定*1、重要度比較を実施することで、地域コミュニティへの非参加、非機能的な不満などのまちのイメージが悪い人の特徴を抽出した。
  • 自由意見に対するテキストマイニング*2を実施し、定量分析で得られた結果の妥当性を検証した。
  • 58個の市の取組についての満足度調査について、まちのイメージが悪い層を対象に因子分析*3を実施し、「子育て・学校教育」「福祉」「人権」「まちづくり・産業振興」「防災」「環境」「社会教育」の7因子に整理した。
  • 因子負荷量*4を用いて各因子のスコアを回答者ごとに算出し、因子単位での特徴を抽出することで、居住年数や子どもの有無との関連性を明らかにした。
  • 共分散構造分析*5により、各因子が定住意向やまちのイメージにどの程度影響を及ぼしているかを定量的に推計した。
  • N-1インタビューを実施し、治安イメージと実態の乖離、だんじり文化の二面性、地縁コミュニティの排他性などの定量分析で得られた仮説を深掘りした。
  • X(旧Twitter)のAPIを用いたブロードリスニング*6を試行し、「岸和田」かつ「好き or 嫌い」を含むツイートを収集することで、多角的な視点からまちのイメージを検証した。
  • 「町会・自治会への未加入」を切り口に、年齢、居住年数、世帯構成、交通施策への意識などとの関連性を多角的に分析し、地域とのつながりが弱い層へのアプローチ方法を検討した。

*1 有意差検定とは、見えている差が「たまたま」ではなく、統計的に意味のある差かどうかを確かめる検定(テスト)

*2 テキストマイニングとは、自由記述などの文章から、よく出る言葉・話題のまとまり・傾向を、数や図で整理して読み解く分析

*3 因子分析とは、たくさんの質問項目を、“裏にある共通テーマ(潜在的なまとまり)”ごとに整理して少数のグループ(因子)にまとめる手法

*4 因子負荷量とは、各質問項目が、その因子(テーマ)とどれくらい強く関係しているかを示す数値(関連の強さ)のこと

*5 共分散構造分析とは、複数の要因が、別の結果(例:定住意向やイメージ)にどれくらい影響しているかを、関係図(モデル)としてまとめて推計する手法

*6 ブロードリスニングとは、SNSなどの大量投稿を広く収集して、世の中の見方や論点を俯瞰的に把握する手法(いわば“広く聴く”調査)

取組成果、まとめ

統計分析で見えた“イメージ低評価層”の特徴と政策因子の影響構造

「まちのイメージが良くない」と回答する層の特徴として、町会・自治会への未加入、地域コミュニティ活動への非参加、災害時の準備不足、地区市民協議会の活動の認知不足などが明らかになった。

また、因子分析により市の取組を「子育て・学校教育」「福祉」「人権」「まちづくり・産業振興」「防災」「環境」「社会教育」の7つの因子に整理し、共分散構造分析により各因子が定住意向やまちのイメージに及ぼす影響度を定量的に把握することができた。
特に、居住年数10年未満の新住民層では保育環境への関心が高く、町会・自治会への加入率が低いことが判明した。

一方で、交通施策を重視する層では町会・自治会への加入率が高い傾向が見られ、地域コミュニティとの接点が施策への関心に影響していることが示唆された。

定性×(かける)SNS分析で判明した不満の“背景”――治安・文化・教育イメージのギャップ

N-1インタビューとブロードリスニング(X上の投稿分析)により、治安に関する実態とイメージの乖離、だんじり文化が「誇り/結束の資産」である一方で新住民・子育て層には「敷居の高い文化」として受け止められている可能性、地縁コミュニティが新住民には排他的に受け取られている可能性などが明らかになった。

また、「教育環境が悪い」という不満の背景には、実際の環境よりも「上位進学の選択肢のイメージが弱い」ことが子育て層の不安につながっている可能性が示唆された。

まちのイメージ低下は単一要因ではなく、地域コミュニティへの非参加、生活領域の不安、政策評価の低さ、新旧住民の受け止め方の違いなどが複合的に絡む多因子構造であることが確認された。

イメージ改善の打ち手整理――優先ターゲットと重点施策

「誰が・何に不満・何を実感・何を重視」という4つの問いを軸とした体系的分析により、イメージ改善施策のターゲットを「居住年数10年未満の新住民」「町会・自治会未加入の単身世帯・夫婦のみ世帯」「子育て層」に絞り込むことができた。

また、優先的に取り組むべき施策の方向性として、地域コミュニティへの参加促進(加入メリットの周知)、治安に関する正確な情報発信、だんじり文化の柔軟な受け入れ体制の構築、教育環境の選択肢の可視化などが示唆された。

検討過程

第1回研究会

背景・現状の整理

岸和田市では毎年市民意識調査を実施しており、「住み続けたくない」理由として「まちのイメージが良くない」「子どもの教育環境が良くない」「交通の便が良くない」が上位を占めている。このうち、「まちのイメージが良くない」の回答割合は、44.2%であった。

調査は4,000通送付し約1,200通の回答を得ており、単純集計とクロス集計を実施している。

「交通の便が良くない」については、海側は鉄道やバスの便が良いが、山手地域の交通の便が悪いために不満を感じている住民が多いと推測される。

「子どもの教育環境が良くない」については、全国学力・学習状況調査の結果や青年団における過去の慣習などを指していることが想定されるが、詳細は不明である。

子育て環境については、幼稚園・保育園が充実しており回答割合は低いが、子どもの年齢によって状況が異なる可能性がある。

検討内容

EBPMブートキャンプにおいて何を分析するか、どのように分析を行うかについて検討した。

  • 論点設定・仮説設計の枠組みを確認し、仮説のブレイクダウンと関連付ける形でクロス集計を実施する方針を決定した。
  • クロス集計を超えたデータ分析手法として、共分散構造分析の実施を検討した。
  • クロス集計の解釈において統計的仮説検定を実施し、有意な差があるかを確認する方針とした。

得られた示唆、今後の検討事項

  • 市民意識調査データを活用し、論点設定・仮説設計に基づいた体系的なクロス集計と統計的仮説検定を実施する。
  • 自由回答データについてテキストマイニングを並行実施し、定量分析を補完する。
  • 定量分析では捉えきれない部分について、インタビュー調査を検討する。対象として、イメージが良くない住民、市外から転出した元住民、市外出身の新人市職員などが候補となる。
市民意識調査において「まちのイメージが悪い」と回答した市民のペルソナを深堀りするための仮説論点。

アドバイス「他自治体で取り組む場合の示唆」

岸和田市においては、市民意識調査の結果という既存のデータがあり、基本的には追加でデータを収集する必要はなかった。このように既存のデータがあったとしても、いきなりそのデータに対する分析方法を決めるようにしてはならない。
まずは現状を整理し、どのような問いや仮説が立てられるかをしっかりと検討する必要がある。その上で、仮説に関連するデータは何か、そのデータをどう扱えば仮説を検証できるか、順に考えていくことになる。
このような流れを経て、ようやく分析方法を決めていくことができる。EBPMと言うと、とかくどのような統計手法で分析するかが重要なように誤解されがちだが、それよりも問いや仮説の明確化の方がよほど重要である。

第2回研究会

第2回研究会までに取り組んだことや気づき

第1回で決定した方針に基づき、市民意識調査データのクロス集計と統計的仮説検定を実施した。

数値的に見ていただけでは分からなかったところについて、検定などの結果を確認することで理解が深まってきた。

分析の結果、イメージの良否にかかわりなく、平和・人権について尊重している傾向が見られた。イメージの悪さが暴力性と関わっていることを考えると意外な結果であった。

また、イメージの良否と居住年数のクロス集計において、居住年数20年以上の層と居住年数5年未満の層が、それ以外の層に比べてイメージが悪い人が多いというU字型の分布が確認された。

これは、出生時からずっと岸和田市に住んでいる人と、自分で選んで岸和田市に居住することになった人という背景の違いが影響している可能性が示唆された。

検討内容

クロス集計の結果を踏まえ、さらなる分析の方向性と手法について検討した。

  • 統計的仮説検定について、カイ二乗検定*7を例に具体的な手法の説明を受け、実施する方針を確認した。集計表の数値から見えることの先を目指すための前半の山場として位置づけられた。
  • 58個の岸和田市の取組の中で重要視することに対する集計方法について、回答者個々人が選んだ重要な取組について満足度を計算し、例えば、イメージの良否などのグループごとに平均値を求める手法を確認した。
  • クロス集計では因果関係(どちらが原因か結果か)が分からないことに注意が必要であることを確認した。例えば、イメージが悪いと考えている市民は地区市民協議会の活動を知らないという結果について、知らないからイメージが悪くなるのか、イメージが悪いから知らない(地域に関わろうとしない)のかは判断できない。
  • 誇りがないのはなぜなのか、誇りを感じている層はどんな人なのかを見ていくことが今後の施策を進めるにあたって有効であることを確認した。

*7 カイ二乗検定とは、「年代」と「イメージ良否」など、カテゴリ同士に関係があるか(偏りがあるか)を確かめる代表的な検定

得られた示唆、今後の検討事項

  • クロス集計の結果が多く分かりにくくなっているため、結果資料を視覚化し、属性による深掘りを行い、ターゲットを絞り込む必要がある。
  • (1)イメージが良くない層が重視している取組は何か、(2)イメージが良くない層とそれ以外での重視取組満足度の差の検証、(3)これまでの集計結果に対する仮説検定の実施、(4)自由記述回答の分析を実施、(5)因子分析/SEM(構造方程式モデリング)*8、(6)ブロードリスニングを実施することを確認した。
  • このほか、(7)N-1インタビューについて実施方法の検討を進める。
  • 住み続けたい人とそうでない人で質問項目が異なるが、傾向を見るためにそれぞれ集計しておくことや、施策の満足度などを確認することが有効である。

*8 SEM(構造方程式モデリング)とは、共分散構造分析と同種の考え方で、要因どうしのつながり(直接・間接の影響)をモデル化して検証する分析の総称

アドバイス「他自治体で取り組む場合の示唆」

クロス集計において何らかの傾向が見られた場合、それが即座に因果関係を意味しないことに注意が必要である。上に記した通り、イメージが悪いと考えている市民は地区市民協議会の活動を知らないという傾向が見られた場合、知らないことがイメージの悪さにつながるのか、イメージの悪さが知らないことにつながるのか、あるいは第三の要因がイメージの悪さと知らないことの両方につながっているのか、にわかに判断することはできない。
ただ、因果関係が分からないからと言って、そこで思考を止めるというのは勿体ない。他の情報を組み合わせて、実態はどちらに近いのかをしぼりこんでいくことが重要である。例えば、市民に対してインタビューを行い、その際にイメージが悪いので町内会などの活動には関わらないことにしているといった話が複数出てきたとする。
そうすれば、イメージの悪さが地域に関わろうとしないことの原因となっていることが示唆される。もちろんこれだけで確定するわけではないのだが、インタビューとクロス集計の結果から、より実態に迫ることができる。このように、複数の手法や情報を組み合わせることも有効である。

第3回研究会

第3回研究会までに取り組んだことや気づき

尼崎市へのフィールドワークを実施し、イメージ改善の取組について確認した。組織横断的な取組を実施し、表面的なPRだけでなく実質的な政策内容の充実をしている点は参考になった。

特に「あまらぶ指数」が0点から100点の範囲を取るように変えることで「マイナス」の値が出ない工夫や、インナーブランディングにより全庁で同じ方向を向いている点は、今後の施策展開において参考となる。

第2回で決定した分析を実施し、イメージが悪いと答えた人は安全・安心の施策(交通安全、防犯、子どもの安全)が重要だと考えている
一方、イメージが良いと答えた人は子ども・子育ての施策が重要だと考えていることが明らかになった。

また、検定の結果、イメージの悪い人とそうでない人において、(1)地区市民協議会を知っているかどうか、(2)児童虐待相談の満足度の高低、(3)災害の準備をしているかどうかに差があることが確認された。

KH Coderによる自由回答のテキストマイニングでは6つのサブグラフが抽出され、祭りやイメージの悪さ、子ども、交通マナー、人間関係、排他的風潮などのテーマが可視化された。因子分析の結果、58個の市の取組への満足度調査の結果について以下の7つの因子が見いだされた。

因子 内容
因子1 安心、安全な子育て・教育環境
因子2 災害への備え
因子3 誰一人取り残さず、助けあえる社会
因子4 まちの活性化
因子5 自然環境の保全
因子6 他者を理解し、自分らしく生きられる環境
因子7 生涯にわたる能力や個性

検討内容

尼崎市役所を訪問して実施したフィールドワークの振り返りと、これまでの分析結果を踏まえた今後の方向性について検討した。

  • 尼崎市の取組から、イメージ改善には時間がかかり、長く取り組まないといけないことを再認識した。また、部局横断的に取り組む重要性を確認し、ブートキャンプの結果を踏まえて来年度以降に施策を実行する際に原課を巻き込む点で参考になることを確認した。
  • イメージが悪い層が交通を気にしていることについて、交通安全対策(交通マナー)と交通施策(電車やバスの使いやすさ)の2つの側面があることを確認した。市民のイメージとして、柄の悪さなどが交通安全対策と紐づいているように見える点は興味深い。
  • テキストマイニングの結果、「人」という言葉が大きくなっているのが特徴的で、物理的環境を整備するよりも、マナーなど人を変えていくことがイメージ改善において重要であることが示唆された。
  • 因子分析の結果を踏まえた次のステップとして、共分散構造分析、因子得点を用いたクラスター分析*9などが提案された。岸和田市側でクロス集計ができるようになってきているので、グループ分けのデータをもとに各グループの属性を確認する方針を決定した。
  • 魅力の増進と課題へのアプローチの両面から検討する方向性を確認した。イメージが悪いと感じている層のペルソナを明確にするため、属性を確認したり、N-1インタビューを実施したりすることを決定した。

*9 クラスター分析とは、似た回答傾向の人同士を自動的にグループ分けして、“タイプ別”に整理する分析

得られた示唆、今後の検討事項

  • それぞれの不満を抱えている方々のペルソナ・ライフスタイルの解像度を上げていくことで、PRの際のアプローチの参考とする。
  • N-1インタビューの実施を予定。イメージが悪いと感じている層にどうすれば刺さるのかを明らかにする。
  • 治安・災害などはすでに改善されているものも含まれており、正しい岸和田市の姿を知ってもらうことにより意識が変わる可能性がある。イメージ先行型と実態型を分類するため、オープンデータを活用して実態を整理する。
  • 永住意向のない人だけでなく、永住意向のある人の自由回答からもテキストマイニングを実施し、ポジティブな面も見つける。
  • 定住意向の高い/低い、イメージが良い/悪いという区分で分かったことを整理する必要がある。
  • 打ち手のアイデアの初期案を第6回研究会で議論できる程度に準備する。

アドバイス「他自治体で取り組む場合の示唆」

因子分析を通じて抽出された因子は、今後のさらなるアンケート調査の際にも有用である。
例えば、岸和田市では、市のさまざまな取組が、住民の視点からどのようなまとまりとして認識されているか、因子分析によって示唆された。
このような住民の視点を今後のアンケートに取り入れることで、従来とは異なる切り口から住民意識を把握できる可能性がある。具体的には、一つの因子として抽出された「子育て・教育」について、福祉部局や教育部局など、複数の部署にまたがる関連施策を一括して住民に評価してもらうアンケートが考えられる。
一般的な住民意識調査では、行政側の組織構成を前提に施策を分類してしまい、部署が異なる施策は別々に扱われがちである。
しかし、因子分析の結果を踏まえることで、こうしたセクショナリズムにとらわれず、住民の視点から施策を捉え直すことが可能となる。

第4回研究会

第4回研究会までに取り組んだことや気づき

  • N-1インタビューを実施し、高校時代を岸和田市で過ごした女性から貴重な意見を聴取した。
  • 主な内容として、
    1. 治安の面での実態・イメージの乖離
    2. だんじり、青年団のイメージの二面性(一体感の源泉と新住民との距離)
    3. 地縁コミュニティの強さと新住民・転入者の入りづらさ
    4. 進学期に市外の進学校を選択せざるを得ない状況
    が明らかになった。
    これらは過去に岸和田市が移住者にインタビューした際にも同様の話があったことが確認された。
  • イメージが良くない人の重要施策に対する属性分析を実施した結果、子どもの有無によって「災害への準備」をしているかの違いがあり、子ども有の方が災害への準備をしている傾向にあることが判明した。
    また、交通政策が重要と考える人の方が町会・自治会への加入の割合が多いことが確認されたが、これは高齢層が町会・自治会への加入が多く、さらに高齢層は交通政策がより重要と思っているといった別の共通属性が影響している可能性が示唆された。
  • 属性ごとのテキストマイニングを実施し、10から20代と30から40代を比較すると、前者は出身・嫌などがまとまっており、高校・大学などで外に出たときに感じている外部からの評価にまつわる悪いイメージがあることが示唆された。後者は交通関係・教育関係の話が出てくることが確認された。
  • クラスター分析の結果、「すべての方面にポジティブなグループ」、「中立的なグループ」、「ネガティブなグループ」という3つのグループに分かれた。
  • 共分散構造分析については、2つのモデルを分析し、2つ目のモデルでは子育て・学校教育のみならず、人権、防災、環境も重視されていることが明らかになった。また、定住意向に対して住みやすさのみならず誇りもそれなりに効いており、街のイメージを追究することが市民の定住にもつながることが示唆された。

検討内容

N-1インタビューの結果と各種分析結果を踏まえ、今後の施策の方向性について検討した。

  • 治安と言うときに、軽犯罪(あるいは犯罪ではない非行)レベルのものと、凶悪犯や粗暴犯などのより重い犯罪レベルのものがあり、両者の違いを意識したうえで、岸和田市では特に後者は特段悪い水準ではない旨を踏まえてプロモーションを考えるべきであることを確認した。
  • シビックプライドは外からの評価が内からの評価にも影響するところがあり、特に新住民については外からの影響を受けることも多いため、データで示すと同時に内外への良い部分のプロモーションが必要であることを確認した。
  • テキストマイニングの結果から、子育て世代において子育て・教育を重視していることが確認された。30から40代は自分たちが運転するようになり交通関係のトピックが出てきている面があり、自分たちだけでなく子ども・子育てに関する話も出てきていることが示唆された。
  • 居住年数10年未満とそれ以外、子どもの有無など、ターゲットという考えが生まれており、対象となる層がどれぐらいいるのかを調べて、どこから手を付けるかを明確化する必要性を確認した。
  • 取り組みやすい政策分野として、南海トラフ地震等といった防災や男女共同参画、居場所づくりといった人権が候補として挙げられた。特に市民から直接的に相談があった中で一番多いのは自分たちの居場所づくりを求める声であり、子育て世帯・病・障害を抱えて仕事にいけず孤独を感じている人の声が多いことが確認された。

得られた示唆、今後の検討事項

  • 町会に加入せずとも地域とのつながりが作れるような仕組みが必要である。市内と市外でのイメージの乖離に加えて、町会に加入している方と加入していない方での乖離という構造も存在する可能性がある。バラエティ豊かなコミュニティが形成されることで、町会加入者以外も地域とのつながりを感じやすくなる。
  • 地縁でないコミュニティの事例として、困りごとを抱えている方が主な対象であるつながりサポートなどがあるが、東京都世田谷区の家開きなどの他自治体の事例も参考にできる可能性がある。
  • 転入者へのサポートについて、町会加入関係の案内資料を転入時に窓口で渡しているが、資料が多過ぎて埋もれている可能性がある。集落への移住者受け入れの際にまちの在り方を教科書的にまとめて配布する事例や、事前に旧住民との交流を作る施策が参考になる。
  • 町会に入っている人向けのメリット創出として、藤沢市の観光施設の年間チケット施策などが参考になる可能性がある。
  • 次回は地域コミュニティについて特に考えていくこととし、地域コミュニティとのつながりが薄い方がどういう人なのかを深掘りする方針を決定した。
  • 転入理由を聞くことは今後実施していく必要がある。
  • 既にやっている取組はPRしていく必要があり、新規の取組も検討していく必要がある。
市民意識調査の回答結果に基づく共分散構造分析結果を示したパス図。政策満足度は、いずれの施策についても凡そ等価に評価されていることが分かる。

アドバイス「他自治体で取り組む場合の示唆」

属性別に分析を行う場合には、その属性に該当する回答者数が十分に確保されているか、確認する必要がある。例えば、住民意識調査の全体の回答者数が1,000人であっても、特定の属性に該当する人が極めて少ない場合がある。仮に「10代・子ども有り」という属性に限って見たところ、子育てに対する満足度が非常に高かったとする。
しかし、この属性に該当する回答者が2人しかいなかった場合、その結果は、たまたまその2人の満足度が高かっただけである可能性も大きい。この2人の回答のみを根拠として、「10代で子どもを持つ人に対する子育て施策には問題がない」と結論付けるとすれば、それは適切とは言えない。
このように、ある属性に該当する回答者数が十分でなければ、そこから信頼性の高い結論を導くことは難しい。なお、「何人以上いれば十分か」という基準を一律に定めることは容易ではないが、回答者数が少ない場合には、統計的仮説検定を行ったとしても明確な結論が得られないことが多い。その点で、統計的仮説検定などの手法を用いて、結果の解釈が妥当かどうかを判断することが考えられる。

第5回研究会

第5回研究会までに取り組んだことや気づき

地域とのつながりが弱い層を中心に追加分析を実施した。町会加入有無による属性の違いを分析した結果、町会に加入していない人は地元の商店で買い物をしない傾向があり、これは近隣市町のショッピングモールなどの商業施設に買い物に行っているためと推測される。

また、町会加入者が規則正しい食生活やリサイクルへの取組をしている傾向があることが確認され、自分だけではなくて助け合うという意識がある人が町会に加入しようとしている可能性が示唆された。

町会加入有無でこれほど状況が違うこと自体が重要な発見であり、町会に加入していただくという方向性で検討するのか、それ以外で誇りを持ってもらうという方向性で検討するのかを考えるときの前提として使えることを確認した。

ブロードリスニングとして、Xにおける岸和田についてのツイート分析を実施した。

(1)「岸和田」かつ〔「好き」または「嫌い」〕が含まれるツイートの分析と、(2)「岸和田」かつ「嫌い」が含まれるツイートの分析について共起ネットワーク*10を行い、(1)については人の気質、暴力・治安に関するトピックなどが抽出された。

これまでの分析・調査を経て、まちのイメージ低下は地域コミュニティへの非参加・生活領域の不安・政策評価の低さ・新旧住民の受け止め差などが複合的に絡む構造であり、単一要因ではなく多因子によって形成されていることを確認した。

*10 共起ネットワークとは、文章の中で一緒に出やすい言葉同士を線で結び、話題の構造やテーマのまとまりを図で示す方法

検討内容

分析結果を踏まえ、今後の施策の方向性について検討した。

  • 町会加入をどう促進するかがポイントになることを確認した。加入していない人は敷居の高さを感じているかもしれないが、そもそも入り方が分からないというのが大きいのではないかという認識を共有した。まずは周知の仕方を考えることが大事であり、現在町会に加入している人が新しい住民を歓迎しているかを考える必要がある。
  • ある町会が、社会福祉協議会の地域コミュニティの在り方の研究の一環として、非加入者も含めて住民アンケートを実施した事例を共有した。そのアンケート結果からは、金銭の面のほか、何をやっているか分からないという課題が出ており、金銭面の負担を下げたり、取組内容のPRをしたりした事例があることを確認した。
  • 単に町会に参加するだけでは、まちのイメージの改善には結びつかず、デジタル化など町会のアップデートが必要であることを確認した。町会活動のデジタル化を進めることで若者も入りやすい環境が整う一面があり、LINEグループは防災の面でも有効に活用されている事例があることを共有した。
  • 高校生がオープンスペースを使って自分たちのやりたいことを具現化する場として自治会などを利用している事例や、小学生のお手伝いを募集することで親子連れでイベントに参加するケースなどを共有した。
  • 専門人材の重要性を確認した。岸和田市では専門人材はいないが、今年度は外部のアドバイザーを招聘し、町会運営について検討していることを確認した。
  • 市内の文化的ギャップに加えて、市外からのイメージの改善も必要であることを確認した。市外からのイメージを改善することで市内の文化的ギャップ解消にもつながり、その逆もありうることを共有した。

得られた示唆、今後の検討事項

  • 各町会の良い実践例を横展開できるように、ワークショップなどを実施することが考えられる。外部アドバイザーの役割など、現状の町会に関わる市の取組を一度整理する必要がある。
  • データの分析結果などの示唆を踏まえた方向性を考えていくにあたり、分析結果と現状を突き合せることで、できている取組とそうでない取組の濃淡を見る必要がある。原課で何ができているのかできていないのかの棚卸しが必要である。
  • 市外からのイメージ改善の取組として、交通・治安・教育などについて既存の統計に従ってアピールすることが考えられる。岸和田市の内部で持つデータと対応する外部のデータを比較して提示する。
岸和田市の「まちのイメージ」が悪くなる構造を示した概念図。「まちのイメージ」には、@市外からのイメージ、A市内の文化的ギャップ、B施策への不満が影響している。

アドバイス「他自治体で取り組む場合の示唆」

地域コミュニティへの参加状況のように、まちのイメージや定住意向に関わる変数が見えてきた場合には、単に「加入している/加入していない」という結果だけで施策を考えるのではなく、なぜその差が生じているのか、その背景要因を丁寧に確認することが重要である。
例えば、町会や自治会に加入していない理由が、負担感によるものなのか、活動内容が見えにくいためなのか、あるいは入り方そのものが分からないためなのかによって、取るべき対応は異なる。
そのため、他自治体においても、住民意識調査やクロス集計の結果から見えた傾向を出発点としつつ、自由記述、ヒアリング、現場での聞き取りなどを組み合わせて、住民の行動の背景にある認識や障壁を把握することが有効である。
また、地域コミュニティへの参加促進を考える際には、加入率そのものだけを目標にするのではなく、住民にとって参加しやすい入口があるか、活動のメリットが伝わっているか、多様なライフスタイルに合った関わり方が用意されているか、といった観点から見直すことが重要である。
さらに、イメージ改善の取組においては、地域内部の受け止め方だけでなく、市外からの見られ方も含めて捉える必要がある。実態の改善に加え、その実態が適切に伝わっていない場合には、既存統計やオープンデータを用いて客観的な状況を示し、地域内外に向けて分かりやすく発信していくことが求められる。

参加者の感想「難しかった点・大変だった点」

  • 当初は分析の進め方が十分に身についておらず、研究会の序盤では日本総研のみなさまに分かりやすくご説明いただいたにもかかわらず、理解が追いつかない場面がありました。会議後は専門用語の意味を確認しながら内容を復習する必要があり、その点は大変だったと感じています。
  • 分析は分担して進め、因子分析や共分散構造分析といった高度な手法は日本総研のみなさまにご担当いただいたため、作業面の個人負担は軽減された一方、現在どの分析が進み、どのような結果が得られているのかという研究の現在地を把握することが、非常に難しいと感じました。

第6回研究会

第6回研究会までに取り組んだことや気づき

  • 最終報告会に向けて、これまでの分析結果を踏まえた施策の方向性について整理を行った。町会の加入促進や交通・治安・教育等に関する状況についてのデータを収集し、庁内の原課から情報を聴取した。
  • 犯罪認知件数については過去に比べて減少していることが確認された。教育の面については、学力が全国平均ほど良くない面がある一方で、困りごとや不安があるときに先生などにいつでも相談できると思っている児童生徒が全国平均より良い面があることが明らかになった。
  • 町会加入促進については、チラシの裏に町会の役割を記している程度であり、地区市民協議会にて町会等とやりとりしているが、そこでは元から町会に関わっている人にしか伝わらない状況であることが確認された。

検討内容

最終報告会用スライド案をもとに、今後の施策の方向性について検討した。

  • 犯罪認知件数について、過去に比べて減っていること自体はアピールして良いという方向性を確認した。
  • 教育面について、いつでも相談できると思っている児童生徒が多いことは、市のイメージとしてアピールするには良いデータであることを確認した。学力の課題はあるものの、相談しやすい環境という強みを打ち出せる可能性がある。
  • 過去の状況に基づいた悪いイメージがあるところをふまえて、そのイメージと過去のデータ、そして現在までのデータの推移を合わせて振り返ることの重要性を確認した。時系列でデータを示すことで、イメージと実態の乖離を明確にできる。
  • 町会加入促進について、町会の状況の調査や行政と町会のつながりがどうなっているのかを伝えることの重要性を確認した。現状ではチラシによる情報提供にとどまっており、元から町会に関わっている人にしか伝わらない課題がある。
  • 商店街の単発的なイベントは盛り上がるが、それが個々の商店の盛り上がりにつながるとは限らないことを確認した。継続することで何か生まれる可能性はあるが、即効性のある施策とは言えない面がある。

得られた示唆

  • イメージと実態の乖離を解消するため、過去のイメージ、過去のデータ、現在までのデータの推移を時系列で示すことが効果的である。
  • 地域ごとの町会の加入率、他市との加入率の比較情報を整理する必要がある。加入状況がどの程度深刻な問題なのか議論するにあたって、客観的なデータが不可欠である。
  • 町会に関する状況を整理し、伝えられるようにすることが重要であることを確認した。チラシはちゃんと見られないこともあるので、興味がある人とそうでもない人に応じて草の根的に広げていった方が効果があるという示唆を得た。

アドバイス「他自治体で取り組む場合の示唆」

まちのイメージに関する課題に取り組む際には、現在の印象だけを扱うのではなく、過去に形成されたイメージと、現在の実態との関係を時系列で整理することも重要である。過去には課題が大きかったとしても、その後に状況が改善している場合、住民や市外の人々の認識が過去の印象のまま残っていることがある。
そのため、現在の状態だけを示すのではなく、過去から現在までの変化をデータで示すことで、イメージと実態の乖離をより分かりやすく伝えることができる。
また、イメージ改善の取組では、悪い印象を否定することだけに注力するのではなく、その自治体が持つ強みや改善してきた点を、根拠となるデータとともに示すことが有効である。治安、教育、子育て、地域活動など、住民生活に近い分野において、実際にどのような強みがあるのかを客観的に示すことで、住民の認識の更新や外部への発信につなげやすくなる。
さらに、分析結果を施策につなげるためには、データ分析だけで完結させず、庁内の関係部署が持つ現場情報や既存施策の状況と突き合わせることが重要である。どの取組がすでに実施されており、どこに不足があるのかを整理したうえで、改善すべき施策と発信すべき内容を切り分けて考えることが、実効性のあるEBPMにつながる。

参加者の感想「難しかった点・大変だった点」

  • これまでは、岸和田市のイメージが良くないことを「仕方がない」と受け止めていました。今回の研究で深掘りを進める中で、イメージが悪化している具体的な要因に目を向けるようになりました。ただ、既に先行して定着しているイメージをどう改善するかは、やはり難しい問題です。イメージ悪化に直結する要因を解決しても、それだけでイメージが良くなると断言できないことも、難しい問題だと感じました。
  • 聞き手にとっては内容が簡潔なほど頭に入りやすい、ということを理解しながらも、6回の研究成果を20分の発表に凝縮するのは簡単ではありませんでした。構成の取捨選択や表現の簡素化に時間がかかりました。

今後に向けて

1. 町会加入促進に関する方向性

  • 町会に関する状況を体系的に整理し、加入のメリットや活動内容を分かりやすく伝えられるようにする必要がある。
  • 町会加入促進については、単なるチラシ配布ではなく、興味がある人とそうでもない人に応じた草の根的なアプローチが必要である。

2. イメージギャップの解消に関する方向性

  • 過去に比べて犯罪認知件数が減少していること、児童生徒が先生に相談しやすい環境であることなど、ポジティブなデータを積極的にアピールする必要がある。

参加者の声

EBPMブートキャンプに参加した感想を教えてください

参加前はデータ分析の機会が少なく、庁内で行っていた調査分析も感覚的に進めがちでしたが、ブートキャンプで課題に対し仮説を立てて検証する基本を学び、クロス集計やカイ二乗検定を実践することで、得られた結果に自信を持つことができました。研究期間中は膨大なデータの扱い、手法の選定、結果の考察に苦労し、提供いただいた分析ツールを活用することにも苦労しました。指導に沿って仮説を立てるところから始める難しさも痛感しました。それでも日本総研のみなさまの親切なサポートと籔谷先生の適格な助言により、大きな気づきを得ることができました。先進事例都市の視察では新たな発見や職員の意識の違いに驚き、内容の濃い貴重な体験となりました。最後まで取り組めて本当に良かったと実感しています。

特に学びが得られたと感じた点を教えてください

本市のテーマに基づいた研究においては、特にクロス集計とカイ二乗検定を実践的に学ぶことができました。そして結果の解釈や、仮説の検証を数値で裏づけできるようになったことが収穫だったと思います。研究会の合間に開催していただいた分析講習会では、分析そのものの手法について丁寧に解説していただき、手を動かしながら理解を深めることができました。因子分析や共分散構造分析についてもその存在と意味を知ることがき、分析の視野が広がったと思います。定量データに加え、N-1インタビューやブロードリスニングを併用する重要性も認識し、実態把握の精度が上がったと感じています。本当に少しだけではありますが、曖昧な仮説をデータで確かめる力が身につき、分析結果に対する考察の質が向上したと思います。

これからデータ利活用に取り組む自治体へ向けてメッセージをお願いします

複数のメンバーによる情報共有は行っていくとは思いますが、行った分析やその結果を視覚的にわかりやすい資料にまとめて、議論に入る前に入念な"おさらい"があると理解しやすいのではないかと思います。全体の理解度が深まると思います。
また、実際に自分たちでやらなければ理解できないこともあります。研究を通じて、今までの調査分析は何となくやっていただけだったということを痛感しています。本市も含め、研究報告はテーマを少しだけ変えることによって横展開が可能な部分がたくさんあると思います。「やっても意味がない」と思うのではなく「まずはやってみよう」というマインドで取り組めば、自然と何事も前に進むと思います。
データ利活用は大変ですが、やれば成果が出るということを信じて頑張ってください。

専門家からアドバイス

専門家アドバイス
籔谷祐介

富山大学芸術文化学部講師

今回のEBPMブートキャンプにて岸和田市が取り組んだ「データに基づく「まちのイメージ」改善の取組に向けて」について、今後各地方自治体が似たような課題に取り組んで行く際のアドバイスをぜひお聞かせください。

「まちのイメージ改善」に取り組む際には、単に「イメージが悪い」という結果を見るのではなく、誰が、何に対して、どのような理由でそう感じているのかを丁寧に分解して捉えることが重要である。その上で、住民意識調査などの既存データを起点に、問いと仮説を明確にした上で分析を進める必要がある。また、イメージ改善を主眼とした調査を新たに実施できる場合には、既存調査では捉えきれない認識や要因を把握できるため、より効果的である。分析にあたっては、統計分析に加え、自由記述の分析やインタビュー調査などを組み合わせることで、イメージ形成の背景を多面的に捉えることが有効である。また、イメージと実態に乖離がある場合には、オープンデータを含むさまざまなデータを用いて事実を分かりやすく可視化し、対象に応じて伝え方を工夫する必要がある。さらに、地域の人々が自分たちのまちの良さや変化を実感し、誇りを持つことが、外部への前向きな発信や評価にもつながるという意味で、インナーブランディングの視点も重要である。地域の人々が自分たちのまちに誇りを持ち、その思いが内側から外側へと広がっていく流れをつくることが、持続的なイメージ改善につながる。このため、まちのイメージ改善は、広報だけでなく、住民がまちの魅力を実感できる取組や施策の充実とあわせて進めることが重要である。

籔谷祐介さんの写真

専門家アドバイス
籔谷祐介

富山大学芸術文化学部講師

籔谷祐介さんの写真

今回のEBPMブートキャンプにて岸和田市が取り組んだ「データに基づく「まちのイメージ」改善の取組に向けて」について、今後各地方自治体が似たような課題に取り組んで行く際のアドバイスをぜひお聞かせください。

「まちのイメージ改善」に取り組む際には、単に「イメージが悪い」という結果を見るのではなく、誰が、何に対して、どのような理由でそう感じているのかを丁寧に分解して捉えることが重要である。その上で、住民意識調査などの既存データを起点に、問いと仮説を明確にした上で分析を進める必要がある。また、イメージ改善を主眼とした調査を新たに実施できる場合には、既存調査では捉えきれない認識や要因を把握できるため、より効果的である。分析にあたっては、統計分析に加え、自由記述の分析やインタビュー調査などを組み合わせることで、イメージ形成の背景を多面的に捉えることが有効である。また、イメージと実態に乖離がある場合には、オープンデータを含むさまざまなデータを用いて事実を分かりやすく可視化し、対象に応じて伝え方を工夫する必要がある。さらに、地域の人々が自分たちのまちの良さや変化を実感し、誇りを持つことが、外部への前向きな発信や評価にもつながるという意味で、インナーブランディングの視点も重要である。地域の人々が自分たちのまちに誇りを持ち、その思いが内側から外側へと広がっていく流れをつくることが、持続的なイメージ改善につながる。このため、まちのイメージ改善は、広報だけでなく、住民がまちの魅力を実感できる取組や施策の充実とあわせて進めることが重要である。

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