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人口減少対策としての教育環境向上

千葉県香取市:人口減少対策としての教育環境向上

EBPMブートキャンプ 千葉県香取市

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研究会の体制

※肩書は実施当時のもの

研究会統括管理者
株式会社Rejoui代表取締役 菅由紀子
専門家
青山社中株式会社 筆頭代表CEO 朝比奈一郎
データサイエンティスト
LINEヤフー株式会社 BIアナリスト/データエンジニア 苅部直知
データ分析アシスタント
株式会社Rejoui 中島有子
進行管理
株式会社Rejoui 西川紗木
研究会スケジュール
第1回:6月26日 第2回:7月25日 第3回:9月24日
第4回:11月12日 第5回:1月10日 第6回:2月3日

研究概要

課題

人口減少対策としての教育環境向上

香取市では、今後さらに進むことが見込まれる人口減少に備え、データに基づく行政運営のスリム化を目指す。 複合的要因が考えられる人口減少において、まずは児童・生徒数の減少に対応するため、公立学校における教育環境や児童数に合わせたコスト管理の妥当性に着目し、これまでの統廃合アプローチの見直しや、児童・生徒の教育環境向上のための施策検討を研究課題とした。

要約

  • 人口減少における要素を分解して網羅的に把握するためロジックツリーを作成した上で、今後も見込まれる人口減への対策と行政運営のスリム化を検討する中で、ブートキャンプでは「教育環境向上」に絞って検証を行うこととした。
  • 様々な立場の住民から学校教育や統廃合に関する意見を収集するため、教職員・保護者・小中学生に向けたアンケートの調査設計を実施。
  • 本研究会では教職員向けの調査を実施し、教育現場の方々が感じる市の教育環境に対する意見や統廃合のメリット・デメリット等を把握した。
  • 今後は、さらに保護者及び小中学生向けのアンケート調査を実施し、住民のニーズをより詳細に把握した上で施策を検討していく。

課題解決のプロセス

  1. 01現状把握

    香取市の人口減少が進行し、児童・生徒数が減少。小規模校が増加する一方で、学校運営費は上昇しており、教育環境の適正化が課題。

  2. 02目指すべき姿

    これまで実施してきた統廃合アプローチを見直し、児童・生徒の教育環境向上を中心に考えた施策を提案。

  3. 03データ収集

    香取市内の小中学校教職員を対象にアンケートを実施。回答者の属性や経験年数を考慮し、教育環境の実態を把握。

  4. 04データ分析

    アンケート結果を属性別に分類し、全体像を把握。その後、仮説検証のため、統廃合の影響や業務負担の感じ方等を分析。

  5. 05結果

    統廃合経験者の多くが児童・生徒にメリットが大きいと回答。一方で、指導体制の悪化など、デメリットの典型も目立った。また、学校規模により行事の負担感の違いが明確化。

  6. 06今後の取組

    統廃合の検討に当たっては、定量評価のためのKPI設定等を行い、大規模・少人数校のメリット最大化を目指す。また、教育委員会・学校・教職員間の連携強化と財政アプローチ明確化による資源集中を提案。

利用データ

本研究会では、新たに収集したデータを活用した。

  • 香取市内の小中学校教職員を対象にしたアンケート

解決プロセスの詳細

01.現状把握

香取市では人口減少が進行しており、2040年までに老年人口が生産年齢人口を上回ると予測されている。2020年時点で38,815人だった生産年齢人口は、2050年には17,283人に減少する見込みである。このような状況の中、市では学校統廃合を進めてきたが、児童・生徒数の減少スピードが速く、小規模校が増加している。一方で、学校運営費は上昇傾向にあり、空調やGIGAスクール端末の整備、エネルギー価格高騰などの影響も重なり、児童数の減少に見合った経費になっているとは言えない。市の教育環境向上を目指すには、統廃合の影響や教育資源の適正配分について、より詳細なデータ分析が必要であると考えられる。

国立社会保障・人口問題研究所推計による2020年から2050年までの香取市の人口及び人口構成の変化のグラフ。人口は減少し、2040年には老年人口が生産年齢人口を上回る予想となっている。 香取市の学校運営費と児童、生徒数の年度別推移を示したグラフ。経費は増加傾向であるが、児童数は一貫して減少しており、総合的に見て、減少する児童数にあった経費となっているか疑問である。

02.目指すべき姿

香取市が目指すのは、人口減少に対応しつつ、持続可能な教育環境を確保することである。児童・生徒数の減少等からやむを得ず実施してきた従来の統廃合アプローチを見直し、単に学校数を減らすのではなく、教育の質を向上させる観点から、教育行政の転換を目指す。

03.データ収集

今回の分析では、教育環境向上に向けた施策を検討するため、香取市内の小中学校の教職員を対象にアンケートを実施した。アンケートはGoogleフォームを用いて実施され、対象者は教職員および講師等627名とし、そのうち366名(58%)から回答を得ることができた。

番号 質問 詳細
1 あなたの年齢を選択肢から一つ選んでください。 年齢層ごとの選択肢
2 あなたの性別を選択肢から一つ選んでください。 「男性」/「女性」/「その他」
3 お子さんはいらっしゃいますか。同居の有無に関わらず、当てはまるものをすべてお答えください。 「なし」/「あり(ありの場合は、人数を記載)」
4 勤務している学校名をお答えください。 最も勤務時間の長い学校
5 あなたの職種を選択肢から一つ選んでください。 「教員」/「事務職」/「その他」
6 教職員としての職務経験年数を選択肢から一つ選んでください。 「5年未満」/「5から10年」/「10年以上」
7 クラス担任または副担任を担当していますか。 「担当あり」/「担当なし」
8 クラス担任または副担任を担当している方への質問
担任している学年の学級数を選択肢から選んでください。
「1学級」/「2学級」/「3学級以上」
9 クラス担任または副担任を担当している方への質問
担任している学級の児童・生徒数を選択肢から選んでください。
「20人未満」/「20から30人」/「30人以上」
10 直近10年間で、統廃合を経験したことがありますか。 「はい」/「いいえ」
11 規模の大きな学校の勤務経験はありますか。 「はい」/「いいえ」
12 規模の小さな学校での勤務経験はありますか。 「はい」/「いいえ」
13 児童・生徒の状況について 項目をあげて質問
「個性に応じた指導」/「活躍の場が多い」/「社会的マナーの習得」
14 現状の運営体制で児童・生徒の学力向上が可能か 「可能」/「どちらとも言えない」/「難しい」
15 教育に関係した校務の負担度 「授業の準備」/「授業の実施」/「宿題の確認」/「PCなどを使用する校務」/「校社内外での作業」/「学習以外での児童・生徒指導」/「運動会」
16 行事や活動などの負担度 「学外学習の準備・運営」/「その他の学校行事」/「PTA活動」/「部活動」/「保護者対応」/「日本語ができない児童・生徒の対応」
17 授業準備・設計に関するの相談相手ごとの相談頻度 「同学年の先生」/「他学年の先生」/「校長先生」/「教頭先生」/「専門科目の先生」/「他校の先生」/「教育委員会」/「その他教育関係者」
18 学校の統廃合への関心度 「ある」/「ややある」/「どちらでもない」/「あまりない」/「ない」
19 統廃合が教職員・保護者に与える影響 項目をあげて質問
「友人関係」/「学力」/「運動能力」/「個性に応じた指導体制」/「活躍の場所」/「社会的マナーの習得」
20 児童・生徒にとって統廃合はメリットかデメリットか 「メリットが大きい」/「デメリットが大きい」
21 20の質問でその選択肢を選んだ理由を記述してください。 自由記述
22 教育環境を考えたとき、学校統廃合の進め方で望ましいと思うものを選んでください。 自由記述
23 教育環境を考えたとき、学校統廃合の進め方で望ましいと思うものを選んでください。小学校の場合 「何度も統廃合が発生しないよう、大規模統合する。」/「クラス替えできる規模を保つよう、小規模統合を繰り返す。」/「複式学級にならないよう、小規模統合を繰り返す。」/「小規模校のメリットを生かすため、極力統合しない。」
24 教育環境を考えたとき、学校統廃合の進め方で望ましいと思うものを選んでください。中学校の場合 「何度も統廃合が発生しないよう、大規模統合する。」/「クラス替えできる規模を保つよう、小規模統合を繰り返す。」/「複式学級にならないよう、小規模統合を繰り返す。」/「小規模校のメリットを生かすため、極力統合しない。」
25 市が支出する教育予算の使い方について、あなたのお考えはどちらに近いですか。小学校の場合 「統廃合により、資源を集中することで教育環境の向上を図る。」/「統廃合せず、資源を分散して現状維持を図る。」
26 市が支出する教育予算の使い方について、あなたのお考えはどちらに近いですか。中学校の場合 「統廃合により、資源を集中することで教育環境の向上を図る。」/「統廃合せず、資源を分散して現状維持を図る。」
27 1学年当たりの学級数の変化による影響 「良くなる」/「変わらない」/「悪くなる」
28 望ましい学級数について 自由記述
29 香取市の教育行政に対する意見 自由記述
30 「教育データサイエンスセンター」を知っていましたか。 「はい」/「いいえ」
31 少人数・多学級化を目的とした統廃合をについての意見 「賛成」/「どちらとも言えない」/「反対」
32 「少人数・多学級化による学力向上」研究結果についての意見 「信頼できる」/「どちらとも言えない」/「信頼できない」

04.データ分析

アンケート結果は、経験年数、クラス担当などといった回答者の属性ごとに分類し、それぞれの違いを分析した。また、統廃合の影響や教育環境の課題を明確にするため、「統廃合を経験した教職員のほうが、児童・生徒にとっての統廃合のメリットを感じている」「小規模校の教職員ほど授業以外の業務負担が大きい」という仮説を設定し、検証を行った。さらに、アンケート結果を基に、教育環境の現状や課題を整理し、今後の施策検討に活かすためのデータを抽出した。

05.結果

アンケート結果の分析により、以下の点が明らかとなった。

統廃合経験の有無による違い

統廃合を経験した教職員はメリットを実感している割合が高く、特に学習環境や交流機会の増加を挙げる意見が多かった。
一方で、統廃合を経験した教職員の方が、統廃合により指導体制や児童・生徒の活躍の場などが改悪したと答えた方が多く、このような点で統廃合のデメリットを感じていることが分かった。
また、統廃合を経験した教職員の方が、統廃合のメリットデメリットについて「どちらともいえない」をと答えた方が多いことから、メリット・デメリット双方の把握が必要。

香取市内の小中学校教員に対して行ったアンケート結果のグラフ。統廃合を経験した教職員はメリットが大きいと感じているのではないかという仮説を考えたが、アンケートの集計結果からは、仮説どおりの回答となっていることがわかった。

学校規模による業務負担の違い

小規模校では、特に運動会や学校行事の準備負担が大きく、小規模ゆえのマンパワー不足が考えられる。
大規模校では、特に校外学習や日常業務の調整に負担を感じる教職員が多く、学校規模による業務負担の感じ方の違いが浮き彫りになった。

香取市内の小中学校教員に対して行ったアンケート結果のグラフ。小規模校の教員ほど、授業以外の負担が大きいという仮説を考えたが、アンケートの結果から、小規模校では、特に運動会や学校行事の準備負担が大きいことがわかった。

教職員の業務負担についての回答

授業設計について担任・副担が同校はおろか、他校の先生とも相談することなく、個人だけで行っている場合があることが分かった。

香取市内の小中学校教員に対して行ったアンケート結果のグラフ。教職員へのアンケートから、授業設計は他の先生と相談することがないと回答した者の割合が32%だった。

教育予算・資源についての回答

教育予算については、統廃合により資源を集中し、教育環境向上を図りたいという回答が小中学校ともに60%以上にのぼり、中学校では特に75%と高い割合を示した。
また、教育行政に関する自由記述では、予算不足や人員配置、環境整備に関する意見が多く寄せられた。
このことから、現場では教育資源の不足が課題とされており、統廃合により資源を集中することで、教育環境の向上を図るべきと考えられる。

香取市内の小中学校教員に対して行ったアンケート結果のグラフ。左側のグラフから、統廃合により資源を集中し、教育環境向上を図りたいという回答割合が小中学校ともに60%以上となっている。右側のグラフは自由記述をまとめた結果を掲載しており、予算不足や人員配置、環境整備に関する意見が多く寄せられた。

06.今後の取組

アンケート結果を踏まえ、教育環境向上のための施策立案に向けて、以下の点に取り組んでいくこととした。

1.統廃合の推進

統廃合を経験した教職員ほどメリットを感じており、特に中学校における統廃合による教育環境向上を望む教職員が多いため、小規模中学校の統廃合を優先的に提案する。ただし、統廃合の影響を定量的に評価できるよう、適切なKPIやKGIを設定する必要がある。

2.教職員間の連携強化

学年担任会議の開催や、授業進行度の確認などをダッシュボード等で可視化し、教育格差の解消及び市全体の教育水準の向上を図る。学校行事についても、教育委員会や学校間の相互支援体制を整え、教職員の働き方改革に市全体で取り組む。

3.財政的アプローチ

統廃合後の予算配分方針を明確にし、学校や教職員への情報発信を積極的に行い、教育環境の改善に向け行政と現場の相互理解を図る。

香取市では、今後も進行する人口減少への対策と行政運営の効率化を最終目標としている。本ブートキャンプでは、人口減少の要因を体系的に整理し、網羅的に把握するためにロジックツリーを作成し、その中でも「教育環境の向上」に焦点を当てて検証を行った。

今後について

以下のEBPM香取モデル【人口減少と総合戦略双方からのアプローチによるEBPM推進】を体系的に構築し、教育以外の分野でも施策立案、KPIやKGIの設定・評価等に活用し、全庁的な導入を視野に入れた取り組みを推進する。

EBPM香取モデル:人口減少への対応と総合戦略の策定を両軸とし、エビデンスに基づく政策立案

  • 人口減少ロジックツリーの作成
     →人口減少の要因を整理し、主要課題を明確化
  • 総合戦略ロジックツリーの作成
     →既存の総合戦略の課題と施策を整理し、改善点を特定
  • 関連する課題の仮説立案
     →同ロジックツリーを基に、共通する課題を抽出し、具体的な施策の仮説を立案
  • PPDACサイクルによる仮説検証
     →設定した仮説をデータに基づいて検証し、政策の有効性を評価

参加者の声

今回のEBPM研究会について、参加した感想を教えてください

EBPMブートキャンプに参加して、改めて問題の本質を明確にする重要性に気づかされました。単にデータを分析するだけではなく、施策を立案する前に「問題は何か」を明確にすることが、課題解決の第一歩であると実感しました。データの見方や課題設定の方法について新たな視点を得ることができ、これまでの考え方が大きく変わった貴重な経験となりました。

特に学びが得られたと感じた点を教えてください

アンケートの設計やデータ分析の方法について、具体的なスキルを習得することができました。特に、年代別や経験別にクロス集計することで、データの解釈がより深まることを学びました。また、ロジックツリーを用いて課題を細分化し、仮説検証を行うことで、施策の効果をより的確に評価できることを実感しました。これらの知見は日常業務にも応用できると感じています。

難しかったことや苦戦した点を教えてくださいい

課題設定の難しさと、データの取得・活用における調整が大きな課題でした。特に、アンケートの質問項目の作成や、必要なデータの選定、外部機関との調整には多くの時間と労力を要しました。また、データの見せ方や説明方法についても、どのように分かりやすく伝えるかを模索する中で課題を感じました。

どのように解決したか、今後どのようなサポートがあれば解決できそうでしょうか

課題解決のために、関係者以外の第三者にもアンケートを試してもらい、多様な視点からフィードバックを得ることで、質問内容の改善に繋げました。また、プロジェクトの進行中に再度研修資料を活用し、基礎知識の再確認を行うことで、分析の精度を高めました。今後は、定期的なフォローアップや外部専門家との気軽な相談窓口があると、さらに取り組みやすくなると感じています。

EBPMの考え方を活かした今後の業務の改善点や、意気込みを教えてください

今後は、EBPMの考え方を業務全体に広め、施策の立案や予算編成時にデータに基づいた意思決定を推進していきたいと考えています。特に、BIツールの導入やデータ利活用人材の育成に力を入れ、具体的なスキルの向上を目指します。また、事業の見直しや新規施策の立案時にEBPMを活用することで、より効果的な行政運営を実現していきたいと思っています。

これからデータ利活用に取り組む自治体へ向けてメッセージをお願いします

データ利活用は難しく感じるかもしれませんが、エクセルなどの身近なツールでも十分に取り組むことができます。最初の一歩を踏み出すことで、多くの学びや気づきを得ることができます。また、専門家への気軽な相談や、他の自治体との情報共有を通じて、取り組みをより効果的に進めることができます。データの力を活用して、課題解決に向けた新たな一歩を踏み出していただきたいと思います。

専門家、データサイエンティストからアドバイス

専門家アドバイス
朝比奈一郎

青山社中株式会社 筆頭代表 CEO
福井県立大学 客員教授
総務省地域力創造アドバイザー

今回のEBPM研究会にて香取市で取り組んだ「人口減少対策としての教育環境向上」について、今後各地方自治体が取り組んで行く際のアドバイスをぜひお聞かせください。

各自治体が取り組む人口減少対策は多種多様ですが、まず包括的に課題や打ち手の全体像を把握する必要があります。金銭的・人的資源が限られる中、重点を定め、分散的・逐次的投入を避けるためです。香取市では人口の自然減・社会減対策を網羅的に検討し、特に子育て環境の充実に焦点を当てました。
子育て環境整備にも多くの政策がある中、地域の実情を踏まえ、(1)どの施策が現実的か、(2)活用できるデータ(新たに取得できるデータ)は何か、を意識して政策立案・実施をしましょう。香取市では、特に学校の統廃合の効果(教育現場の充実/資源の有効活用)に焦点を当てました。
即ち、「着眼大局、着手小局」意識した戦略・戦術両面からの検討が大切です。特に、EBPMでは打ち手を意識した分析が重要で、分析のための分析を避けることが肝要です。

朝比奈一郎さんの写真

専門家アドバイス
朝比奈一郎

青山社中株式会社 筆頭代表 CEO
福井県立大学 客員教授
総務省地域力創造アドバイザー

朝比奈一郎さんの写真

今回のEBPM研究会にて香取市で取り組んだ「人口減少対策としての教育環境向上」について、今後各地方自治体が取り組んで行く際のアドバイスをぜひお聞かせください。

各自治体が取り組む人口減少対策は多種多様ですが、まず包括的に課題や打ち手の全体像を把握する必要があります。金銭的・人的資源が限られる中、重点を定め、分散的・逐次的投入を避けるためです。香取市では人口の自然減・社会減対策を網羅的に検討し、特に子育て環境の充実に焦点を当てました。
子育て環境整備にも多くの政策がある中、地域の実情を踏まえ、(1)どの施策が現実的か、(2)活用できるデータ(新たに取得できるデータ)は何か、を意識して政策立案・実施をしましょう。香取市では、特に学校の統廃合の効果(教育現場の充実/資源の有効活用)に焦点を当てました。
即ち、「着眼大局、着手小局」意識した戦略・戦術両面からの検討が大切です。特に、EBPMでは打ち手を意識した分析が重要で、分析のための分析を避けることが肝要です。

データサイエンティストアドバイス
苅部直知

LINE ヤフー株式会社 BIアナリスト/データエンジニア
一般社団法人データサイエンティスト協会 スキル定義委員
ふくしま12市町村移住支援センター アドバイザー

今後、各地方自治体がEBPMをプロジェクトとして進める上でのポイントやデータ活用についてぜひお聞かせください。

今回をはじめ、データサイエンティストとして自治体の職員のみなさんと接していると、多くの職員の方がデータ活用に強い意欲を持っていることに気付かされます。一方で、「どこから始めればよいか」という悩みも共通して抱えています。重要なのは、完璧を求めすぎないことです。まずは日々の業務で扱っているデータの中から、比較的整備されているものを選び、小さな分析から始めることをお勧めします。例えば、基本的な集計や時系列での変化を可視化するだけでも、新たな気づきが得られることがあります。
このような小さな成功体験を積み重ねることで、データ活用の具体的なイメージが醸成され、組織全体のデータリテラシー向上にもつながっていきます。EBPMの本質は、より良い行政サービスの実現にあります。その第一歩として、身近なデータから始めることが、持続可能なデータ活用の基盤となっていくと考えます。

苅部直知さんの写真

データサイエンティストアドバイス
苅部直知

LINE ヤフー株式会社 BIアナリスト/データエンジニア
一般社団法人データサイエンティスト協会 スキル定義委員
ふくしま12市町村移住支援センター アドバイザー

苅部直知さんの写真

今後、各地方自治体がEBPMをプロジェクトとして進める上でのポイントやデータ活用についてぜひお聞かせください。

今回をはじめ、データサイエンティストとして自治体の職員のみなさんと接していると、多くの職員の方がデータ活用に強い意欲を持っていることに気付かされます。一方で、「どこから始めればよいか」という悩みも共通して抱えています。重要なのは、完璧を求めすぎないことです。まずは日々の業務で扱っているデータの中から、比較的整備されているものを選び、小さな分析から始めることをお勧めします。例えば、基本的な集計や時系列での変化を可視化するだけでも、新たな気づきが得られることがあります。
このような小さな成功体験を積み重ねることで、データ活用の具体的なイメージが醸成され、組織全体のデータリテラシー向上にもつながっていきます。EBPMの本質は、より良い行政サービスの実現にあります。その第一歩として、身近なデータから始めることが、持続可能なデータ活用の基盤となっていくと考えます。

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