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デジタルマーケティングの習得とシティプロモーションの実践

栃木県  真岡市  総合政策部  秘書広報課

栃木県真岡市 特別賞 広報PR

真岡市のサムネイル画像、キャッチコピー「いちご王国栃木の首都もおか」により、いちごプロモーションを展開していることを示した画像を掲載。

概要

「いちご王国栃木の首都もおか」のいちごプロモーションをデジタルツールで展開するに当たり、全てのデジタルツールの発信結果を集約・分析できるダッシュボード*1を構築しました。これにより得られたデータを基に、HPやSNSでは掲載内容や投稿内容を改善、デジタル広告では訴求効果を分析し、ターゲットに対する伝え方を改善しています。

導入費・運用費

  • 効果計測環境(ダッシュボードTapClicks)利用料 1,320千円
  • デジタルマーケティング*2支援業務 2,640千円

受賞

  • 「Data StaRt Award〜第9回地方公共団体における統計データ利活用表彰〜  特別賞」(2024)
  • シティプロモーションアワード2023金賞・審査員特別大賞・ロジックモデル優秀賞

取組の流れ

  • PPDAC-problemアイコン画像

    イベントにより「日本一のいちごのまち」としてブランド力向上に取り組んできたが、「選ばれるまち」を実現するためのブランド力及び認知度が低い状況にあったため、真岡市を知ってもらうためのプロモーション方針を策定する必要があった。

  • PPDAC-planアイコン画像

    現状分析を行った結果、真岡市はいちご生産量日本一であり、どう考えても真岡市の魅力は「いちご」ではないか、という結論に至った。そこで、真岡市及び真岡のいちごの魅力が伝わっていないのではという仮説から、シビックプライド*3の醸成、来訪機運、関係人口、移住まで、いちごプロモーションに紐づけて展開することを決定した。

  • PPDAC-dataアイコン画像

    真岡市が行う全てのデジタルツールによる情報発信の結果を集約・分析ツールに蓄積し、視覚的に把握・分析できるダッシュボードを構築。

  • PPDAC-analysisアイコン画像

    ダッシュボードでは、発信した文章やクリエイティブの比較のほか、アカウント別や時系列など様々な情報を視覚的に比較することができるため、情報を閲覧したターゲットがどのような反応をしたのかなどを踏まえ、改善点の分析・検討を繰り返し行った。

  • PPDAC-conclusionアイコン画像

    データに基づく分析により情報発信した結果、すべての施策で成果・改善が見られ、デジタルマーケティングの人事育成やEBPMに基づく施策の推進につながった。
    今後は、戦略の基本となるプロモーション指針の見直しを行い、さらにデジタルマーケティングの推進を強化するとともに多くの市民や市外の人々に真岡市の魅力を伝え、本市のブランディングと「真岡のいちご」の認知度向上に取り組む。

ヒアリング・ここが知りたい!

デジタルマーケティングに取り組むことによるメリットは何ですか?

ターゲットに対する情報の伝わり方の結果が数値として見えるようになった。また、リアルタイムな分析や検討した改善策の効果を確認できることで、職員のモチベーション向上にもつながった

これまで、イベントにより「日本一のいちごのまち」としてブランド力向上に取り組んできましたが、「選ばれるまち」を実現するためのブランド力及び認知度が低い状況にありました。

状況を打破するために、栃木県庁主催の研修に参加した結果、行政視点の情報発信ではなく、ユーザー目線に立った情報発信を行うデジタルマーケティング思考を取り入れることで、「伝わる」情報を戦略的に発信しようという意識が醸成されました。

デジタルマーケティングに取り組んだことで、ターゲットに対する情報の伝わり方の結果が数値として見えるようになり、リアルタイムな分析が可能となりました。分析結果を活用し、検討した改善策の効果を実際に数値として確認できるため、職員のモチベーション向上にもつながりました。

情報発信の効果を把握するために、ダッシュボードを使ってどのように分析を行っていますか?

ターゲットがどのような反応をしたかなどを踏まえ、仮説→実践→検証→改善を繰り返し実施

真岡市では、全てのデジタルによる情報発信をダッシュボードで可視化できるようになっており、シティプロモーションサイトへのアクセス状況などを把握することができます。

デジタルマーケティング的思考は経験が重要で、具体的なペルソナ*4を設定し、情報をみて感情がどう変化するか、行動を起こしてもらえるか、というターゲット目線で取り組むことが必要です。ただ、情報発信の効果を把握して終わりではなく、計測したデータを基に、情報を閲覧したターゲットがどのような反応をしたのかなどを踏まえ、仮説→実践→検証→改善を何度も繰り返す必要があります。

特に、検証、改善部分では、シティプロモーション係で「マーケ部」と題して定期的にディスカッションを行いながら、繰り返し取り組むことで成果を上げています。

図、シティプロモーションサイト推移、公式X推移、公式Xの投稿種別比較をダッシュボードで可視化。棒グラフや折れ線グラフでシティプロモーションサイトのインプレッション数、クリック数、CTRなどの推移を確認できます。Xでは、1投稿当たりと投稿方法別のインプレッション数、エンゲージメント数、エンゲージメント率が確認でき、改善の効果を確認することができることを示す図を掲載。
ダッシュボードでの可視化イメージ

シティプロモーションサイト推移、公式X推移、公式Xの投稿種別比較をダッシュボードで可視化。棒グラフや折れ線グラフでシティプロモーションサイトのインプレッション数*5、クリック数、CTR*6などの推移を確認できます。Xでは、1投稿当たりと投稿方法別のインプレッション数、エンゲージメント数*7、エンゲージメント率が確認でき、改善の効果を確認することができることを示す。

データ利活用をしたプロモーション戦略を立案する上で、工夫した点や苦労した点があれば教えてください。

工夫した点:すべての施策を統一的なプロモーション=「いちご」で展開し、市民やターゲットの認知から態度変容を意識したプロモーション戦略を立案 苦労した点:いちご生産者への取材をもとに、歴史、生産者の情熱、手間暇をかけたこだわりなどを発掘・言語化

移住、観光、ふるさと納税などすべての施策を統一的なプロモーション=「いちご」で展開することにより、市民やターゲットに本市の魅力を伝わりやすくするとともに、デジタルマーケティング効果を最大化するため、キャッチコピー「いちご王国栃木の首都もおか」を宣言しました。

また、市民やターゲットに伝えるべきは、「真岡のいちご」を選んでもらう「理由」であることから、いちご生産者への取材を行い、歴史、生産者の情熱、手間暇をかけたこだわりなどを発掘・言語化しました。そしてターゲットとターゲットに適切なメディアを選定し、クリエイティブの制作、認知から態度変容を意識したプロモーション戦略を立案しました。

図、真岡市シティプロモーション指針のロジックモデルとして、ターゲットの将来像を設定し、デジタルツールを活用して、真岡市の認知から、態度変容を促すまでの流れを示しています。
例として、X、インスタグラム、テレビや動画、デジタル広告による情報発信で、真岡市のいちごって凄い!美味しそう!と思ってもらい、真岡の特産品はいちごであるという認知を高めます。さらにインスタグラムやホームページ、ふるさと納税により、情報発信することで、真岡ってすごい、真岡に行ってみたい、いちごのまちを応援しようと思ってもらい、真岡ファンやいちご就農で移住につながるよう態度変容を促すことを示している図を掲載。
真岡市シティプロモーション指針のロジックモデル

デジタルマーケティングの取組を継続させるために行っている人材教育について、工夫している点はありますか?

全庁を対象とした研修の実施、各課の要望に応じた伴走支援に取り組むとともに、シティプロモーション係を対象とした人材育成を実施することで、自走を目指せる組織に

全庁的にデジタルマーケティングに取り組むため、全庁を対象として年1回、ダッシュボードを活用した実践的なデジタルマーケティングの研修を実施するとともに、各課の要望に応じて、シティプロモーション係が、ホームページやSNS等の運用・改善について、事業の目的・ゴールを明確にし、ターゲットの態度変容フローを検討するなどの伴走支援に取り組んでいます。

また、シティプロモーション係の司令塔としての人材育成については、各課の伴走支援をすることでスキルアップにつなげるともに、「シティプロモーションマーケ部」で、月2回程度、ダッシュボードから改善が必要なツールの洗い出しとPDCAサイクルを回す訓練を行うことで、自走を目指せる組織になっています。

図、全職員を対象としたデジタルマーケティング思考に基づくホームページ改善研修の様子を表した写真。
全職員を対象としたデジタルマーケティング思考に基づくホームページ改善研修の様子
改善研修では、支援業者からの説明のあと、実際に各課のホームページのタイトル改善に取組むとともに、改善後の効果の確認方法を学びました。

本取組を進めるにあたり、特に工夫した点、うまくいった点を教えてください。

全庁的にデジタルマーケティングに取り組み、関連課と連携・協力体制を構築したことで、市民の態度変容につながった

これまでシティプロモーション係がデジタルマーケティングに取り組んでいましたが、いちごプロモーションの展開やデジタルマーケティングの取り組み、成果等について全課に共有することで、関連課と連携・協力体制を構築することができ、市全体で「いちご王国栃木の首都もおか」を核としたプロモーションの取り組みを展開できました。

全庁的にデジタルマーケティングに取り組むことで、SNS開設の標準ルール化・デジタルマーケティングの横展開も行われるようになり、結果として、真岡市をいちごのまちとイメージする市民の割合も向上しました。

本取組で得られた効果、成果を教えてください。

デジタルマーケティングに取り組んだことで、市民やターゲットの態度変容を促し、来訪機運や移住施策にも波及効果をもたらした

デジタルマーケティングの取り組みにより、特にふるさと納税においては、申込件数の約6割が「いちご」となり本市のいちごの認知度が向上するなど、すべての施策でいちごプロモーション戦略が成果に大きく影響しました。

これは、仮説→実践→検証→改善を何度も繰り返し、全ての施策で「いちご王国栃木の首都もおか」を核としたいちごプロモーションの取り組みを展開したことが、成果に大きく影響したと考えています。これにより態度変容を促すことができ、来訪機運や移住施策にも波及効果をもたらす結果となりました。

脚注

*1  ダッシュボード:
複数の情報源からデータを集め、概要を集計値や表、グラフ等でまとめて一覧表示する機能や画面、ソフトウェア。

*2  デジタルマーケティング:
インターネット、コンピュータ、スマートフォン、SNSなどのデジタルを活用したマーケティングの手法のこと。

*3  シビックプライド:
自分が住んでいる地域に対する誇りを示す。

*4  ペルソナ:
マーケティングにおける概念で、特定の商品やサービスを利用する理想的な顧客における架空の人物像のこと。

*5  インプレッション数:
ウェブサイトやSNSにおいて、広告やコンテンツがどれだけ見られたかを示す回数のこと。

*6  CTR:
Click Through Rateの略称。インプレッション数に対して、実際に広告やコンテンツがクリックされた回数の割合を示す指標のこと。

*7  エンゲージメント数:
SNSの各投稿に対し、どの程度反応があったかを示す数値のこと。

参考サイト

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