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JR在来線の利用促進に向けたデータ分析

岡山県 県民生活部 県民生活交通課

岡山県 住民生活・安全 公的統計データ

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概要

 JR在来線の一部は、少子化や新型コロナウイルス感染症の影響等により、利用状況が厳しいものとなっており、新たな利用者の獲得が急務となっています。
 このためには、利用促進の取組を進める必要がありましたが、在来線の利用実態や沿線地域の現状を十分に把握できていなかったことから、今一度、各種統計データから現状を分析するとともに、データの見える化を図り、関係者間で共有しながら、地域の実情に応じた有効な利用促進策の検討を行いました。

導入費・運用費

導入費 −
運用費 −

取組の流れ

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    効果的な利用促進策を検討するため必要となる在来線の利用実態や沿線地域の現状分析が不足

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    地域の利用が少ないと仮定し、駅の利用実態と駅周辺居住者の関係性を分析

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    岡山県統計年報やjSTAT MAPを利用し、駅ごとの特性や駅周辺居住者の属性に係るデータを収集

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    駅周辺の居住者データをグラフ化し、駅ごとの利用人数、利用形態(定期・普通)、駅周辺人口、年齢構成を比較し、地域ごとの実情や課題を分析

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    県、沿線自治体、JRが連携して、地域住民の行動や意識の変容を促す施策の実施

ヒアリング・ここが知りたい!

どのような課題がありましたか?

効果的な利用促進策を検討するために必要となる在来線の利用実態や沿線地域の現状分析が不足

 JR在来線は、住民の日常生活における大切な移動手段であり、二次交通など地域の公共交通を支える重要な存在であることから、路線を維持していくためにも利用促進に取り組む必要がありますが、これまで、県や沿線自治体において、十分な現状分析が行われていないことから、正確な利用実態や、沿線地域の現状が把握できておらず、データに基づいた効果的な利用促進策が検討できていませんでした。

エビデンス(データ)収集のために、どのような計画を立てましたか?

地域の利用が少ないと仮定し、駅の利用実態と駅周辺居住者の関係性を分析

 沿線自治体や事業者への聞き取りの結果、利用が低調な理由として、地域の方が利用していないことが一つの原因ではないかと仮定し、駅の利用実態と駅周辺と居住者の関係性を分析することにしました。

データの収集はどのように行いましたか?

岡山県統計年報やjSTAT MAPを利用し、駅ごとの特性や駅周辺居住者の属性に係るデータを収集

 駅ごとの利用人数と利用形態(定期・普通)を把握するため、「岡山県統計年報」から鉄道輸送統計調査のデータを収集しました。
 また、駅周辺の居住者の人数や年齢構成を把握するため、「jSTAT MAP」からデータを収集しました。
(活用した統計データ:jSTAT MAP、岡山県統計年報(鉄道輸送統計調査)など)

駅周辺の居住状況に関するデータ

どのような分析を行いましたか?

駅周辺の居住者データをグラフ化し、駅ごとの利用人数、利用形態(定期・普通)、駅周辺人口、年齢構成を比較し、地域ごとの実情や課題を分析

 駅周辺の居住者データをグラフ化し、駅ごとの利用人数、利用形態(定期・普通)、駅周辺人口、年齢構成を比較し、地域ごとの実情や課題を分析しました。
 分析の結果、@駅周辺人口より、駅利用人数が著しく低い駅は、地域住民が利用していないのではないか、A駅周辺に現役世代が多いが、定期券利用者が少ない駅は、通勤手段に鉄道が選択されない理由があるのではないか。B駅周辺に高齢者が多いが、普通利用者が少ない駅は、駅までのアクセスが十分に整備されていないのではないか、C駅周辺人口が少なく、利用人数も少ない駅は、地域外からの誘客を検討する必要があるのではないかなどの実情や課題が明らかになりました。
(活用したツール等:Excel等の表計算ソフト)

駅周辺人口との関係性

結果としてどのような政策に結びつきましたか?

県、沿線自治体、JRが連携して、地域住民の行動や意識の変容を促す施策の実施

 分析の結果、通学生以外の地域住民がほとんど利用していないことがわかった路線について、地域住民に鉄道を利用してもらうため、県、沿線自治体、JRが連携して、以下のような取組を実施しました。
・バスのダイヤ改正やデマンド型タクシーを導入することにより、駅へのアクセスを改善し、鉄道の利用意向があるにも関わらず、実際には利用していない住民に対して、行動の変容を促しました。
・官民共同の組織を設立し、各種啓発活動等を行うことにより、鉄道の利用意向のない住民に対して、意識の変容を促しました。
・臨時列車の運行により、地域外からの利用者を誘致しました。

芸備線利用促進事業

データ利活用(収集や分析)において工夫した点や難しかった点について教えてください。

前例のない分析事例だったためデータ収集から分析手法の検討まで手探りで進めた

 参考となるような分析事例がなかったため、どのようなデータが公開されているのか把握することから始めて、そのデータからどのような分析ができるかや、このような分析をするために必要なデータはどのように収集すればいいかなどを検討しながら手探りで進めました。
 また、利用促進策は、関係者と連携しながら検討していく必要があるため、データを分かりやすく見える化することや、内容について丁寧に説明し、共通認識を持って議論を進められるようにしました。

その政策によって、どのような効果が現れましたか?
また、今後どのような改善点や展望をお考えでしょうか?

共通フォーマットによるデータの見える化により、関係者への説明等が容易に

 乗車人員と周辺人口を結びつけた分析を行ったことにより、地域住民の利用実態が具体的に把握でき、地域の実情に応じた利用促進に取り組むことができました。
 また、県が、共通のフォーマットにより、データを見える化したことにより、関係者間の情報共有が円滑になり、事業化に当たっての自治体内での調整や、地元への説明が容易となり、迅速な実施につながりました。
 これらの取組結果を他路線・地域にもフィードバックすることにより、データ分析の確度の向上が図られ、今後、さらなる効果的な利用促進策の検討ができると考えています。

参考サイト

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