ここから本文です。

産学官民連携により生涯にわたる健康・医療情報の効果的な利活用

吹田市 健康医療部 健康まちづくり室

大阪府吹田市 子育て・教育 健康・福祉 行政運営 行政データ 民間データ 新規に調査

「産学官民連携により生涯にわたる健康・医療情報の効果的な利活用」サムネイル画像

概要

 北大阪健康医療都市(健都)を有する吹田市では、国立循環器病研究センター(以下、「国循」という。)を核として、健康・医療のまちづくりに取り組んでいます。
 産学官民連携により、生涯にわたる健康医療情報の利活用手法を確立し、個人に即した効果的・効率的な保健事業の展開や多職種連携によるまちぐるみでの健康支援等生活習慣改善が自然とできる環境づくりを整備するとともに、新たなイノベーションを創出することで、更なる健康寿命の延伸を目指します。

導入費・運用費

導入費 −
運用費 1,320千円(健康支援アプリの管理運営費(見込み))

受賞

  • 「第11回健康寿命をのばそう!アワード 厚生労働省 健康局長 優良賞 自治体部門」(2022)

取組の流れ

  • PPDAC-problemアイコン画像

    無関心層を含む全ての市民の更なる健康寿命の延伸を図るためには、まちぐるみでの健康づくりの推進(社会的・環境的アプローチ)が重要

  • PPDAC-planアイコン画像

    「情報の一体的管理」、「情報の効果的活用(一次利用)」、「イノベーション促進(二次利用)」を総合的に推進することを計画

  • PPDAC-dataアイコン画像

    健康・医療情報の一体的な管理を可能とするデータプラットフォームを構築

  • PPDAC-analysisアイコン画像

    情報を効率的に活用する2つの取組とイノベーションを促進するための研究を実施

  • PPDAC-conclusionアイコン画像

    個人に情報を還元し、自然と生活習慣を改善ができる環境の構築

ヒアリング・ここが知りたい!

どのような課題がありましたか?

無関心層を含む全ての市民の更なる健康寿命の延伸を図るためには、まちぐるみでの健康づくりの推進(社会的・環境的アプローチ)が重要

 吹田市の平均寿命、健康寿命ともに全国トップクラスですが、今後、無関心層を含む全ての市民の更なる健康寿命の延伸を図るためには、従来の教育的・啓発的なアプローチだけではなく、健康的なライフスタイルを無理なく生活の中に取り込めるような、まちぐるみでの健康づくりの推進(社会的・環境的アプローチ)が重要となると考えていました。

エビデンス(データ)収集のために、どのような計画を立てましたか?

「情報の一体的管理」、「情報の効果的活用(一次利用)」、「イノベーション促進(二次利用)」を総合的に推進することを計画

 県内観光が目指す観光振興に至るまでのロジックモデルを作成し、観光地点間の周遊(県内またはエリアにおいて複数の観光地点を訪れること)の促進が有効であると考え、観光客の移動データから県内の観光客の周遊状況等を明らかにし、周遊促進のための施策構築を検討することにしました。
 ロジックモデルを作成することで、自分達が実施している業務がどういう施策につながり、最終的にどういう目標につながっているかを改めて確認することができます。また、「何のために」「どのような」データ分析を行うのかを明確化し、効果的・効率的に進めることができました。

健都(KENTO)-Digital Health-

データの収集はどのように行いましたか?

健康・医療情報の一体的な管理を可能とするデータプラットフォームを構築

 情報の一体的管理のため、国の「共創の場形成支援プログラム」(2020年12月採択)も活用しながら、各部署と緊密に連携し、住基システムから各システムに宛名番号を自動付与する各情報管理システムの改修等を実施し、宛名番号の突合により健康・医療情報の一体的な管理を可能とするデータプラットフォームを構築しました。
 また、国循等の研究機関や医師会と連携し、子供の生活習慣病予防を目的とした血圧測定や血液検査、市が実施する健診結果、国循が実施する心不全と認知機能の検査等からデータも収集しました。
(活用した統計データ:乳幼児健診データ、学校健診データ、生活習慣病予防検診データ、KDBシステムデータ、健診データ、吹田研究で蓄積された健診データなど)

各種情報の突合等の仕組み

どのような分析を行いましたか?

情報を効率的に活用する2つの取組とイノベーションを促進するための研究を実施

3つの取組

 集められた情報を効率的に活用する取組として、@子供と保護者の健康支援プロジェクトとA"健都"循環器病予防プロジェクトを実施しています。
 @の取組では、乳幼児健診と学校健診の情報を一体的に分析で健康課題の見える化や子供の生活習慣病予防を目的とした血圧測定や血液検査の分析を行いました。
Aの取組では、国循により開発されたリスクスコア(心筋梗塞、心房細動)とBNP(心不全マーカー)を市の健診で実施し、リスク別スクリーニングを実施しました。
 また、イノベーションを促進するため国循が実施する吹田研究(1989年から30年間実施)で蓄積された健診データのAI解析や心不全と認知症に係る国循の新コホート研究(吹田研究NEXT)を実施し新たな知見の獲得を目指しました。
(活用したツール等:国立循環器病研究センター等の分析システム)

結果としてどのような政策に結びつきましたか?

個人に情報を還元し、自然と生活習慣を改善ができる環境の構築

 @子供と保護者の健康支援プロジェクトでは、現在開発中のアプリを通じて、市保有の健診情報等を還元しながら、それらを活用して子供と保護者の生活習慣の改善を促す実証事業を実施しています。
 A"健都"循環器病予防プロジェクトには、2020年11月から1年半の間に、延べ32,000人が参加し、リスク別スクリーニングや吹田研究から得られた知見を踏まえて、要指導者延べ1,000人に保健指導を実施しました。

健康・医療情報の利活用の目指すところ

データ利活用(収集や分析)において工夫した点や難しかった点について教えてください。

研究機関、教育委員会等と緊密な連携・対話を図りながら、積極的な成果の見える化・発信が必要

 健診情報等の利活用に対する市民や市職員の理解が前提となります。科学的なエビデンスを基に研究機関、教育委員会等と緊密な連携・対話を図りながら、積極的な成果の見える化・発信が必要です。
 また、一体的な管理・活用を前提としていない各情報管理システムの改修等の実務的な課題も存在します。

その政策によって、どのような効果が現れましたか?
また、今後どのような改善点や展望をお考えでしょうか?

更なる健康寿命の延伸に向け、多様な主体との連携による新しい技術や知見の活用、幅広い層へのアプローチ、エビデンスに基づく施策の展開を図る

 国循や医師会と取り組んできた"健都"循環器病予防プロジェクトでは、心不全というこれまでになかった切り口で研究機関や地域の医療機関と連携して取り組んだことで、保健指導の参加率が、通常1割未満のところ、約3割と高く、また、初めて保健指導に参加する人も半数と多く、従来手法ではアプローチできなかった新たなハイリスク層を掘り起こし、必要な支援につなぐことができました。
 今後は、薬剤師など多職種との連携や、現在の取組の電子化を進めるとともに、乳幼児健診から学校健診までの健診情報の一体的解析、アプリを活用した子供の健やかな生活習慣の形成支援に取り組むことで、健康情報の市民への還元を進めていく予定です。
 こうした多様な主体との連携によって、新しい技術や知見を積極的に活用し、幅広い層へのアプローチと、エビデンスに基づく施策の展開を図ることで、更なる健康寿命の延伸につなげていきます。

今後の展望

参考サイト

サイトマップ
ページ上部へ アンカーのアイコン画像