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新型コロナウイルス感染症による港区在住者、訪問者、事業所の動向と都市機能への影響の実態に関する研究――多様なデータの活用による動態の最新動向へのアプローチ

東京都 港区 政策創造研究所

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概要

 新型コロナウイルス感染症の影響により、港区の人口動向は大きく変化しました。そこで、港区政策創造研究所と一般財団法人森記念財団都市戦略研究所は、港区のコロナ禍の影響による区内在住者、滞在人口の変化と、事業所の立地、事業展開、従業員の働き方などの変化を把握し、港区の都市としての魅力や競争力への影響を明らかにし、その対応策の検討に資する知見を得ることを目的とした共同研究を2か年にわたり実施しました。

導入費・運用費

導入費 −
運用費 4,308千円(各種調査にかかる直接経費)

受賞

  • 「第7回 地方公共団体における統計データ利活用表彰 特別賞」(2022)

取組の流れ

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    ポストコロナへの円滑な移行に向けた区民・区内事業所の支援のあり方が政策的課題

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    初年度は、最新の動向の把握が可能な定住人口、滞在人口を中心として影響の実態を把握し、次年度、アンケート調査により、初年度に明らかにした実態の詳細把握と要因の考察、対応策の方向性の検討を行う

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    初年度は、公的統計、民間統計、業務取得情報を用いた客観的な動向の分析、次年度では、アンケート調査により関係主体の行動と意識の実態と変容の分析を行った

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    地区別・メッシュ別の集計による属性毎の関連付けにより、コロナ禍の影響の多面性を捉えた。アンケート調査の個票データについて多変量解析を行い、区の生活環境に対する「在住者の満足度」と「来訪者の評価」の構造を明らかにした

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    政策提言が「中小企業DX促進支援事業」のエビデンスにつながる

ヒアリング・ここが知りたい!

どのような課題がありましたか?

ポストコロナへの円滑な移行に向けた区民・区内事業所の支援のあり方が政策的課題

 コロナ禍の影響により、働き方、ライフスタイルの変容とそれに伴う各種ニーズの変化が生じており、個人及び企業双方を取り巻く環境はコロナ禍前のそれとは多方面で変容している。そのため、ポストコロナへの円滑な移行に向けた区民・区内事業所の支援のあり方が政策的課題として現れました。

エビデンス(データ)収集のために、どのような計画を立てましたか?

初年度、最新の動向の把握が可能な定住人口、滞在人口を中心とした実態の把握。次年度、アンケートによる実態の詳細把握と要因の考察、対応策の方向性の検討

 コロナ禍による港区への影響について、一般財団法人森記念財団都市戦略研究所と共同研究を実施しました。まず、できる限り直近の状況を把握するとともに、昼夜間人口が大きいという港区の特徴も踏まえ、月次で最新の動向の把握が可能な定住人口、転出入人口の分析、民間統計を活用した滞在人口の分析を中心として、両者が保有するデータを共有・活用し、その実態を捉えることを目的として共同研究を開始しました。
 令和3年度では、本研究をさらに深掘りすべく、区内の事業所や来訪者、在住者におけるコロナ禍の影響の詳細とその要因を明らかにすることを目的としてアンケート調査を実施しました。

データの収集はどのように行いましたか?

初年度は、客観的な統計データ(公的統計・民間統計)、次年度では、アンケート調査により収集

 令和2年度は、総務省が提供する経済センサスをはじめとする公的統計、区が保有する業務取得統計、民間業者が提供するモバイル空間統計等の客観的な統計データを収集しました。
 令和3年度では、客観的データを深掘りするため、港区内の事業者約5,000件、港区来訪者(通勤、通学者を想定)約400件、港区在住者約600世帯を対象としたアンケート調査データを収集しました。
(活用した統計データ:東京都「住民基本台帳による世帯と人口」、総務省「平成28年経済センサス‐活動調査」、住民基本台帳の抽象化データ、飲食業営業許可件数、株式会社NTTドコモインサイトマーケティング「モバイル空間統計」、ぐるなび資料、NAVITIME資料、アンケート調査の個票データ)

どのような分析を行いましたか?

地区別・メッシュ別の集計による属性毎の関連付けにより、コロナ禍の影響の多面性と地理的な偏在を捉えた。アンケート調査の個票データについて多変量解析を行い、「在住者の満足度」と「来訪者の評価」の構造を明らかにした

 各データの地区別・メッシュ別の集計により、地域の産業特性・人口分布と関連付け、コロナ禍の影響の多面性を捉えるとともに、影響の不均一性(影響の大きい産業・地区)を明らかにしました。また、アンケート調査結果を用いて、在住者や来訪者、区内事業所の実態・動態を詳細に捉えるとともに、それぞれのコロナ禍後の行動の見通しについても明らかにしました。なお、基礎集計のほか、個票データを用いた多変量解析(因子分析・重回帰分析)を行い、「在住者の港区への満足度」及び「来訪者への港区への評価」の規定構造を明らかにしました。
(活用したツール等:e-Stat、Excel等の表計算ソフト、GIS等の地理情報ソフト、SPSS、SAS、Stata等の分析ソフト、行政情報分析基盤システム(住民基本台帳抽象化データ))

分析手法

結果としてどのような政策に結びつきましたか?

政策提言が「中小企業DX促進支援事業」のエビデンスにつながる

 本事業を通して、コロナ禍の影響の不均一性(影響の大きい産業・地区)、港区の評価・イメージ、区の在住者、来訪者、事業所それぞれの実態とコロナ禍後の行動見通しを明らかにし、政策提言を行いました。
 提言の1つである「情報通信基盤投資、組織運営ノウハウ共有等の在宅・テレワーク支援」は、区内中小企業者がウィズコロナ時代を乗り越えるための生産性向上や経営効率化を支援することを目的とした「中小企業DX促進支援事業」のエビデンスとなりました。「中小企業DX促進支援事業」では、勤怠管理や会計管理、オンライン会議等の業務効率化ツールのソフトウェアの導入などに係る経費の助成を行い、多数の実績につながりました。
 また、港区予算編成方針の基礎資料として活用しました。

取組の全体像
取組の全体像

データ利活用(収集や分析)において工夫した点や難しかった点について教えてください。

届出情報や住民基本台帳情報の抽象化データを用い、即時データを取得

 公的統計では把握が困難な飲食業営業許可等の届出情報を統計データとして加工・集計したことにより、リアルタイムのエリアごとの飲食店立地数の増減を把握しました。
 また、行政情報分析基盤システムを用いた住民基本台帳情報の抽象化データを用い、元データを提供せず集計結果のみ提供することで、リアルタイムの実態を把握可能なデータとして分析に活用しました。

その政策によって、どのような効果が現れましたか?
また、今後どのような改善点や展望をお考えでしょうか?

買い物環境に着目し詳細な調査を実施予定

 本研究により、従来より指摘されていた買い物環境への港区民の不満が改めて確認されるとともに、コロナ禍の影響によりその重視度が高まっている可能性があることも把握されました。そこで、ターゲットを買い物環境に絞り、実態や課題の把握、区が取り組むべき施策のあり方を検討するため、事業者及び在住者を対象として、改めてより詳細な調査を実施する予定です(令和4年度実施)。

参考サイト

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